昨年12月以来、コロン劇場のアンドレア・シェニエの感動に浸って(笑)録画・録音を繰り返し聞き直しているうちに、はや1月も後半に入ってしまいました。
ご挨拶が大変に遅れてしまいましたが、どうか今年もよろしくお願いいたします。
●クーラのプロダクションがサンフランシスコの開幕公演に
そうこうしているうちに、嬉しいニュースが入ってきました。クーラ制作のカヴァレリア・ルスティカーナ&道化師のプロダクションが、2018/19シーズンのサンフランシスコ・オペラで再演されるそうです。何とサンフランシスコの2018/19シーズン開幕公演です。
日程は、2018年9月7,12,16,19,22,28,30の7公演のようです。
以下の画像をクリックすると、サンフランシスコオペラのHPにリンクしています。
≪CAST AND CREATIVE≫
Conductor= Daniele Callegari *
Production= José Cura
Revival Director= Jose Maria Condemi
Chorus Director= Ian Robertson
Turiddu= Roberto Aronica
Santuzza= Ekaterina Semenchuk
Alfio= Dimitri Platanias *
Lola= Laura Krumm
Mamma Lucia= Jill Grove
Canio= Marco Berti
Nedda= Lianna Haroutounian
Tonio= Dimitri Platanias *
Silvio= David Pershall
Beppe= Amitai Pati
●クーラが舞台デザイン・演出・主演を行ったリエージュでの初演
このプロダクションは、もともと2012年にベルギーのリエージュにあるワロン王立歌劇場で、クーラの舞台デザイン・演出・主演(トゥリッドウとカニオ両方)によって初演され、観客からも批評家らも大好評だったものです。その後、2015年にクーラの故郷アルゼンチンのテアトロコロンで再演されました。その時には、クーラが演出、そしてカニオだけに出演したのでした。
このプロダクションの特徴と2015年のテアトロコロンでの再演の様子を、以前の記事で紹介しています。クーラの作品への思い、解釈、最愛のトゥリッドゥと呼んでいるカヴァレリアの主人公への思い入れをその一端だけでも知っていただけるかと思います。
→カヴァレリア・ルスティカーナと道化師の演出
●サンフランシスコではクーラは演出も主演もしない・・😞
そして今回は、スタッフ・キャストの一覧を見ていただいてお分かりのように、クーラは、演出も出演もせず、クーラのプロダクションだけがサンフランシスコに渡ることになるようです。トゥリッドゥはロベルト・アロニカ、カニオはマルコ・ベルティ。
とても残念ですが、そのあたりの事情をクーラがFBで説明してくれました。
クーラはちょうどこの時期(2018年9月)に、エストニアのタリン国立歌劇場で、プッチーニの西部の娘の新制作を演出・セットデザイン、そして指揮するためでした。このFBで書いているように、クーラ自身、サンフランシスコでの再演は大変、喜ばしいことであるとともに、自分の「子ども」の晴れ舞台を見届けられないことは、残念を通り越して怒りを感じるほどだそうです。開幕公演という時期でのオファーのために、うまく調整できなかったのでしょうか。ファンとしては、クーラが演出して、せめてカニオだけでも歌ってほしかったというのが率直な感想です。
幸い、再演を同郷の演出家が担うということで、今後、緊密に連携しながら準備していくとのことです。
エストニアの西部の娘のプロダクションについては、以前の記事で紹介しています。クーラのインタビューや録音を紹介したラジオ番組のリンクなども紹介しています。
→「(告知編)2018年 ホセ・クーラ プッチーニの西部の娘を演出・指揮」
●サンフランシスコオペラのHPより
こちらの画像は、サンフランシスコオペラのHPにアップされている2018/19シーズンパンフレットから、クーラのプロダクション紹介ページです。
●リエージュでの初演時の紹介動画
初演の際のワロン王立歌劇場がアップした紹介動画です。
Cavalleria Rusticana & Pagliacci (Pietro Mascagni) - Extraits
同様に劇場がアップした動画で、リハーサルの様子やクーラのインタビューが収録されています。
Cavalleria Rusticana & Pagliacci (Pietro Mascagni) - Répétitions
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このプロダクションは、舞台をイタリアのシチリア島から、クーラの故郷アルゼンチンのイタリア移民の街に移し、バンドネオンの音楽、タンゴなど、ブエノスアイレスの雰囲気たっぷりに設計されています。2作品が同じ街、時間的にもつながった事件として描かれていて、登場人物の人間像、行動の動機と因果関係、感情の掘り下げが深く、とにかくエモーショナルです。セットの細部や小物、登場する群衆の一人ひとりにまで目配りされ、映画のような美しい舞台となっていました。
私はリエージュでのクーラ主演の公演を、ARTEでオンデマンド放送されていた際に視聴することができました。DVDになるかと期待していたのですが、現在までリリースされていません。それは今回のように、他の劇場からプロダクション利用の要請があるからなのでしょうか?そのあたりの事情はまったく分かりません。
現在クーラは、2月のモンテカルロ歌劇場でのピーター・グライムズ再演(演出、舞台デザイン、主演、2017年ボンで初演)を控えています。
これはおまけの話ですが(笑)、先日、クーラがインスタグラムとFBにアップした、マドリードの自宅近くの森の写真に、私がちょっとしたコメントを書き込んだところ、たまたま目をとめたクーラが返信をくれました(#^^#) これまでも運が良いと返信してくれることがあり、ほんのささやかな対話ですが、クーラのファンを大切にする優しい人柄が感じられてとても嬉しかったです。
今年はこのプロダクションの他に、クーラは、先ほど紹介したタリンでの西部の娘と、プラハでのヴェルディのナブッコと、2つの新演出に取り組みます。
ますます演出家・舞台デザイナーとして、また作曲家、指揮者としての仕事が増え、多忙になっているように思われます。
健康を維持して、多面的で豊かな実りがもたらされることを祈るとともに、コロンのシェニエで見せてくれたように、歌手としても、まだまだ美しく魅力的な歌声を聞く機会が増えることも願わずにはいられません。
*画像は劇場HPからお借りしました。