Gibberellin Promotes Shoot Branching in the Perennial Woody Plant Jatropha curcas
Ni et al. Plant Cell Physiol. (2015) 56:1655-1666.
doi:10.1093/pcp/pcv089
中国科学院 シーサンパンナ熱帯植物園のXu らは、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas トウダイグサ科)の二年生苗にジベレリン(GA)もしくはサイトカイニン(BA)を処理することで側枝の成長が促進されることを見出した。しかも、BAはGAよりも効果が強かった。また、両ホルモンは成熟した幹の休眠している腋芽も活性化させた。GA生合成遺伝子JaGA20ox1 を過剰発現させた形質転換体の側芽も成長が促進されることから、GAは側芽の成長に対して促進的に作用すると考えられる。GAとBAを同時に与えると、側芽の成長に対して相乗的に作用した。GA生合成阻害剤のパクロブトラゾール(PAC)とBAを同時に与えると、BAによる側芽成長促進が抑制された。サイトカイニンによる分枝形成促進効果はモデル植物のエンドウにおいても確認されているが、GAによる分枝形成促進やサイトカイニンによる分枝形成促進のPACによる抑制はエンドウでは起こらなかった。サイトカイニンのtrans-ゼアチンは根で生産されることから、ナンヨウアブラギリ芽生えの根を切除してサイトカイニンの供給を抑制するとGAによる側芽成長促進が弱まり、BAを同時に与えるとGAによる促進効果が見られた。したがって、GAによる側芽成長促進にはサイトカイニンが必要である。GAは新たに発達した側芽の葉腋部分からの二次芽の形成を誘導したが、サイトカイニンではそのような誘導は見られなかった。シロイヌナズナでの研究から、BRANCHED1 (BRC1 )およびBRC2 が芽の成長を抑制していることが知られている。ナンヨウアブラギリをGAやサイトカイニンで処理するとBRC1 やBRC2 のホモログ遺伝子JcBRC1 やJcBRC2 の発現量が減少した。これらの遺伝子の発現量は摘心をすることによっても減少した。よって、GA、サイトカイニン、摘心による側芽成長促進はJcBRC1 やJcBRC2 の発現抑制によるものと思われる。GAやサイトカイニンによる芽の成長促進は、合成ストリゴラクトン(SL)のGR24を処理することによって抑制された。したがって、ナンヨウアブラギリでは側芽の成長においてSLがGAやサイトカイニンに対して拮抗的に作用していることが示唆される。SLシグナル伝達に関与しているMORE AXILLARY GROWTH 2 (MAX2 )のナンヨウアブラギリホモログであるJcMAX2 の発現はサイトカイニン処理やGA処理、および摘心によって減少した。よって、これらの処理による芽の成長にはJcMAX2 の発現量低下が関与していると考えられる。このようなGAによる側芽成長促進が他の木本植物においても見られるかを調査したところ、パパイアや複数の科の潅木植物においても同様の効果が見られた。以上の結果から、多年生木本植物の中には側芽の成長に対してジベレリンが関与している種が存在することが示唆される。
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