REVOLUTA and WRKY53 connect early and late leaf development in Arabidopsis
Xie et al. Development (2014) 141:4772-4783.
doi:10.1242/dev.117689
クラスⅢホメオドメインロイシンジッパー(HD-ZIPⅢ)型転写因子のREVOLTA(REV)は、植物の極性に関連した様々な成長過程の制御に関与していることが知られている。ドイツ チュービンゲン大学のWenkel らは、シロイヌナズナゲノムにおいてREVが結合する領域を探索し、葉の老化に関連しているWRKY53 転写因子遺伝子のプロモーター領域にREVが結合することを明らかにした。REV を過剰発現させることでWRKY53 プロモーター活性が上がること、REV の変異体はWRKY53 転写産物量が野生型よりも少ないことから、REVはWRKY53 の発現を直接に正に制御していると考えられる。WRKY53 とREV はともに若い芽生えにおいて発現していた。REV の転写産物量や活性が低下した系統ではWRKY53 の発現部位が排水組織に限定され、子葉での発現量が減少していた。また、芽生えの成長過程全体を通して、両遺伝子は根の維管束で共発現していた。WRKY53 は過酸化水素に応答して発現量が増加することが知られている。REV の転写産物量や活性が低下した系統では過酸化水素処理によるWRKY53 の発現誘導が低下しており、酸化ストレスシグナルに応答したWRKY53 の発現誘導にはREV活性が関与していることが示唆される。REV の発現は過酸化水素処理によって誘導されなかったが、REVタンパク質のDNAへの結合は還元条件で高く、酸化条件では低くなった。WRKY53タンパク質の機能の1つに老化開始の制御があり、wrky53 変異体は老化遅延を示す。REV の転写産物量や活性が低下した系統も老化遅延を示し、wrky53 変異体よりも表現型が強く現れた。よって、WRKY53 はREVによって制御されている唯一の老化関連遺伝子という訳ではないと考えられる。rev5 変異体、wrky53 変異体、rev5 wrky53 二重変異体では、クロロフィル含量の減少が脂質の過酸化が遅延し、老化マーカー遺伝子(SAG12 、SAG13 )の発現量が減少していた。これらの結果から、REVは老化誘導においてWRKY53 よりも上位に位置していると考えられる。wrky53 変異体は葉の成長初期の異常は見られないことから、WRKY53は葉の成長過程においけるREVの機能には関与していないと考えられる。REV とWRKY53 は根の維管束で共発現しているが、接木試験の結果から、この共発現は葉の老化誘導には関与していないと考えられる。以上の結果から、REVOLUTAは、葉の形成初期過程だけでなく、老化の制御にも関与していることが示唆される。
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