DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke, 1875 - 1926)「寂寥」『形象詩集』(1902/1906)所収

2017-04-27 20:42:06 | 日記
 寂寥

寂寥は雨のごとし。
それは海より夕暮れに向かってのぼる。
それは、はるかかなたにある平原から、
それがつねに宿る天空に向かう。
そして、それはおもむろに天空より街の上に降り注ぐ。

寂寥は昼と夜の間の時に、雨となり降り下る。
それはすべての小路が朝へと向かう時、
またそれは(情交し)虚無を互いに見た肉体が、
幻滅し悲哀のうちに互いに離れ合う時、
はたまた、それは相にくむ人間が、
一つの床に共に眠らねばならぬ時。

その時、寂寥が川水とともに流れゆく。

《感想1》
寂寥は雨に似ている。
寂寥が、(水蒸気のように)海から夕暮れへと上る。
また寂寥は、遠い平原から天空へと上る。
そして雨のように街に降り注ぐ。
《感想2》
寂寥が、雨となり降り注ぐ時は、昼と夜の間、つまり夜明け時。
それは、情交し虚無を互いに見た肉体が、夢幻から去り、悲しみのうちで別れる時。その時、寂寥が降る。
それは、相にくむ人間が、一つの床に共に眠らねばならぬ時。その時、寂寥が降る。
寂寥が、川水とともに流れゆく。
《感想3》
情交は、肉体を越えてその先にたどり着くことがない。肉体は互いに相手の心に至らない。肉体は心をさえぎる壁である。肉体は互いに虚無と出会うのみ。
互いを確認したいとの期待は、夢幻だったと証明される。幻滅!そして別れの悲しみ。その時の寂寥。
他方、相にくむ人間が、一つの床に共に眠る時、降り注ぐ寂寥は残酷である。

 EINSAMKEIT

Die Einsamkeit ist wie ein Regen.
Sie steigt vom Meer den Abenden entgegen;
von Ebenen, die fern sind und entlegen,
geht sie zum Himmel, der sie immer hat.
Und erst vom Himmel fällt sie auf die Stadt.

Regnet hernieder in den Zwitterstunden,
wenn sich nach Morgen wenden alle Gassen
und wenn die Leiber, welche nichts gefunden,
enttäusht und traurig von voneinander lassen;
und wenn die Menschen, die einander hassen,
in einem Bett zusammen schlafen müssen:

dann geht die Einsamkeit mit den Flüssen….
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