DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻1」(11)「アルゴス」:ユピテルは、イオを白い雌牛に変えた!ユノーは、百の目を持つアルゴスに雌牛を見張らせた!

2021-10-15 13:52:53 | 日記
(1)ユピテルは、イオを白い雌牛に変えた!
ユピテル(ゼウス)の后(キサキ)ユノー(ヘラ)は、見下ろした広野のさなかに突如黒雲が湧いて、夜のようになったのに驚いた。夫ユピテルがいない。ユノーは「夫の情事」でないかと疑った。妻は天界の頂(イタダキ)から降下し、黒雲に退去を命じた。ユピテルは妻の到着を予知し、イオを白い雌牛に変えた。(39-40頁)
(2)ユノーは、百の目を持つアルゴスに雌牛を見張らせた!
后ユノーが「この牛を私にください」とユピテルに言った。「いやだ」と言えば疑惑を招くとユピテルは思った。(ユノーは姉であり妻だ。)かくてユノーは夫の情婦(雌牛)を頂戴し、アレストルの息子アルゴスに見張らせることにした。このアルゴスは、頭の周囲に百の目を持っていて、そのうちの二つずつが交代で眠るが、残りの目は見張っていて、任務が途切れることがない。(40-41頁)

(3)イオは足で砂に文字を書き、変身の悲しい知らせを父に伝えた!
雌牛にされたイオは、父親イナコスの河の堤に行った。イオは父のあとを追い、姉妹たちの後を追うが、誰も気づかない。言葉は「モー」という鳴き声だけだ。けれどもイオはついに、足で砂に文字を書いて、変身の悲しい知らせを父(河神イナコス)に伝えた。だが嘆くイナコスを、百の目を持つアルゴスが押しのけ、雌牛(イオ)を父親から奪い取った。(41-42頁)
(4)ユピテルは、息子メルクリウスに、アルゴスを殺すよう命じた!
神々の王ユピテルは、イオの苦しみを捨ておけなくなり、息子メルクリウス(ヘルメス;マーキュリー)を呼び、「アルゴスを殺すように」と命じた。メルクリウスは、両の足に翼を装備し、頭に旅行帽を乗せ、「眠りをもたらす魔法の杖」を持って、天空から地上に飛び降りた。メルクリウスは、葦笛を吹き鳴らす。聞き慣れぬ音色と巧みさが気に入り、アルゴスは、メルクリウスを傍らに坐らせた。メルクリウスは葦笛を奏で、アルゴスを眠らそうとしたが、相手は忍び寄る眠気に勝とうと、一生懸命だ。(43頁)


ジョヴァンニ・アンブロージョ・フィジーノ『ヘーラー、ゼウス、牛のイーオー』(1599年)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『私をくいとめて』(2020年、日本):みつ子と多田くんが、「共白髪」となること(夫婦ともに白髪になるまで長生きすること)を望む!

2021-10-15 08:54:18 | 日記
(1)みつ子、ノゾミさん、カーター、沢田さん、多田くん!
「彼氏いない歴」が長いが、「ひとり暮らし」にすっかり慣れた31歳の黒田みつ子。彼女は自分の分身の「A」と対話して、心のバランスを取る。会社でみつ子の先輩のノゾミさんが、何かとみつ子の相談に乗ってくれる。ノゾミさんは「カッコマン」の社員カーターに惚れている。上司の沢田さんは切れ者・やり手で、ヘッドハンティングで入社した。みつ子は取引先の2歳年下の多田くんに好意を持つ。
《感想1》平穏な正社員のみの会社だ。ブラックでない。のんびりしてる。これで給料がもらえるとは、黒田みつ子もラッキーだ。だが薄給だ。
(2)多田くんとみつ子!
多田くんは独身で、みつ子の近所に住み、夕飯のおかずをみつ子の家に受け取りに来る。また夕飯を一緒に食べに、みつ子の家に来る。多田くんは内気で真面目だ。
《感想2》みつ子が男性を自分の部屋に呼んで、しかも性的関係が生じないのが、珍しい。ノゾミさんが「やった?」とみつ子に尋ねるが、当然だ。みつ子は「やってない」と答える。
《感想2-2》みつ子は、「人が心のままに、つまり感情・価値に従って行動する」のが、「正直」であり、「正直がよい」と思っている。しかし正直に行動したら人間関係はすぐに壊れる。みつ子はそれも知っているが、「自分の感情・価値に反する行動はしたくない。自分に正直でありたい、正直に行動したい」と思っている。
(3)みつ子は「セクハラ」を許せない!
みつ子は会社での「セクハラ」、世の中での「セクハラ」を許せない。女は男の性的欲望を満足させるための道具・物でない。「女は人間であり、男は女の人格に敬意を払うべきだ」とみつ子は思う。みつ子は、今は「ミニお局(ツボネ)」となり、上司の「セクハラ」をはねのけることができる。
《感想3》みつ子は「女」としてでなく、「人間」として生きたい。
(4)ローマに住むかつての親友さつき!
みつ子は年末年始の休暇で、かつての親友さつきに会いに行く。さつきは美術学部の優秀な学生で、デザイン・建築の方面に進み、2年前、イタリア人と結婚しローマに住む。今、妊娠中だ。みつ子は、さつきも国際結婚で苦労していることを知る。
《感想4》「隣の花は赤い」と言う。しばしば「自分が不幸で、他人は幸せに見える」ものだが、幸せに見える他人にも悩み(不幸)はある。
(5)みつ子はその「スケベ」な男を拒否!
みつ子は金持ちの歯医者と付き合ってみたが、その男はみつ子との性的関係しか望んでいなかった。みつ子はその「スケベ」な男を拒否した。
《感想5》みつ子はさしあたり経済的に自立しており、自分の性的魅力・性的資源・美貌を巧みに売って(or利用して)生活する必要はない。
《感想5-2》もちろん女性には性的魅力・性的資源・美貌を巧みに売って(or利用して)生活する(or成功する)道もある。みつ子は《そうした道は選択しない》or《そうした能力に欠ける》or《そうした道に関心がない》。
(6)「誰か私をくいとめて」!
みつ子は多田くんの食事に誘われ、その帰り、ホテルに泊まる。しかし久しぶりの恋愛にみつ子は躊躇する。多田くんと性的関係を持つことを拒否する。「誰か私をくいとめて」(恋愛したくない)とみつ子が言う。
《感想6》みつ子は「一人で住む」ほうがよい、「二人はめんどくさい」と思う。そして確かに、DV夫もいるし、怠け者の夫もいる。
《感想6-2》「一人で住む」ほうがよい:(ア)子どもが老後のあてにならない時代だ。(イ)年取ってから茶飲み友だちを探せれば結婚は不要だ。ただし(ウ)死後の始末、老後の病気のケアが「一人住まい」でも可能な社会を望みたい。
《感想6-3》今日のような「未来のない格差の激しい社会」は、滅びてよいとも思う。子供が増えなくて(or生まれなくて)もいい。(評者の私見。)
(7)
だがみつ子は、ついに多田くんと沖縄旅行に出発する。「よろしく頼みます」とみつ子が多田くんに言う。
《感想7》これからみつ子と多田くんの新しい関係が始まる。みつ子と多田くんが、「共白髪」(トモシラガ)となること(夫婦ともに白髪になるまで長生きすること)を望む!


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする