(1)「黄金の時代」:無政府、無国家の時代!異なる民族、言語、文化と出会うことがない!戦いのない時代!土地所有のない時代!農業・牧畜成立以前の時代!狩猟・採集生活!人々の欲望が無限に拡大することがなかった!(15-16頁)
(a)「黄金の時代」が最初に生じた。懲罰者もいず、法律もなしに、おのずから信実と正義が守られていた。刑罰も恐怖もなく、罰し手などいなくても生活は無事であった。
《感想1》「黄金の時代」は、「無政府」の時代。そして人間が「無垢(ムク)」(innocent)な時代だ。また、まだ「(都市)国家」が成立してない。
(b)船が作られ異国へ旅することがない。人々は、故郷(フルサト)の海辺しか知らなかった。
《感想1-2》「黄金の時代」は、異なる民族、言語、文化と出会わない時代だ。
(c)切り立った堀が都市を囲むことはなかった。
《感想1-3》「黄金の時代」は、まだ「(都市)国家」が成立してない。
(d)兜も剣もなく、兵士は不要であり、いずこの民も、安全無事に、穏やかで気楽な日々を送っていた。
《感想1-4》「黄金の時代」は誰もが貧しかった。農耕・牧畜・土地所有制度の以前の時代だ。貯蔵される穀物も、また財産としての家畜もなかった。人々は集団をなし狩猟・採集で暮らした。おそらく他の集団と出会っても、戦かわなかったろう。狩猟・採集の大地が広く豊かで、また人間が少なかった。
(e)大地が、人に仕える義務はなく、鍬で汚され、鋤の刃で傷つけられることがなかった。
《感想1-5》「黄金の時代」は、土地所有(Cf. 広義の土地所有概念で、近代的な「私有」ではない。)の制度が成立していない。農業も始まっていない。
(f)大地は人間に、おのずから必要なすべてを与えていた。人々は、ひとりでにできる食べ物に満足していた。やまもも、野いちご、山ぐみ、木いちご、どんぐり等々。
《感想1-6》「黄金の時代」は採集生活だ。人々の欲望が無限に拡大することがなかった。
(g)四季は無く、常春(トコハル)の季節がつづいた。大地は耕さなくても穀物をもたらした。乳の川が流れ、甘露(ネクタル)の流れが走り、木々から黄金色の蜜が滴った。
《感想1-7》「黄金の時代」は自然から、穀物、乳、酒(ネクタル、不老不死の霊酒、Ex. ぶどう酒)、蜜が手に入った。
(2)「銀の時代」:狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行し、定住生活が始まった!(16頁)
サトゥルヌス(※クロノス)が奈落の底へ送られ、世界がユピテル(※ゼウス)の支配下に服したとき、「銀の時代」がやって来た。「銀の時代」は「黄金の時代」より劣っていたが、「銅の時代」より価値がまさっていた。
(h) ユピテルは 常春であった春の期間を縮め、4つの季節で1年が終わるようにした。
(i)「家」に住むことが行われたのもこの時が初めてだった。「家」と言っても、洞穴、密生した茂み、樹皮でつなぎ合わされた小枝だった。
(j)穀物の種子が長い畝に蒔かれ、若い雄牛が軛に押さえられて呻吟したのも、この「銀の時代」が初めてのことだった。
《感想2》「銀の時代」に狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行した。そして定住生活が始まった。
(3)「銅の時代」:人々は、ためらいもなく残忍な武器を手にとったが、しかし罪深いというほどではなかった!(16頁)
三番目に「銅の時代」の種族が続いた。
(k)彼らは、気質がいっそう荒々しく、いっそうためらいもなく残忍な武器を手にとった。しかし罪深いというほどではなかった。
《感想3》狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行し、貯蔵された穀物、また財産としての家畜の略奪が始まった。土地所有の制度も成立し、土地の取り合いのための戦い・征服が始まった。「銅の時代」は、「(都市)国家」成立への移行期だ。富(土地・財産・穀物・家畜)を集中する権力者たちor国家が出現する。兵士が組織される。「国家」が超人的・法人的な懲罰者として出現し、法律が制定される。だがまだ、「国家」の外で、安全無事に、穏やかで気楽な日々を送る人々もいたろう。
(4)「鉄の時代」:「国家」の時代!「戦争」の時代!異なる民族、言語、文化と出会う時代!土地所有制度の確立した時代!農業・牧畜の時代!定住の時代!人々の欲望が無限に拡大する時代!諸悪を誘い出す「鉄」と「金」の時代!(17頁)
最後は、いっそう質の劣った「鉄の時代」だ。
(l)あらゆる悪行が押し寄せ、恥じらいや、真実や、信義は逃げ去った。それらの代わりに、欺瞞、奸計、陰謀、暴力、そして忌まわしい所有欲がやって来た。
《感想4》「黄金の時代」は、懲罰者もいず、法律もなしに、おのずから信実と正義が守られていた。刑罰も恐怖もなく、罰し手などいなくても生活は無事であった。
《感想4-2》「黄金の時代」は、無政府、無国家の時代、戦いのない時代だ。また異なる民族、言語、文化と出会うこともない時代だ。いまだ土地所有制度のない時代、つまり農業・牧畜成立以前の時代、かくて狩猟・採集生活の時代、したがって定住以前の時代だ。「黄金の時代」は人々の欲望が無限に拡大することがなかった!
(m) 「鉄の時代」には、山の木々が船となり、水夫は風に帆をあげた。
《感想4-3》異なる民族、言語、文化と出会わなかった「黄金の時代」が、いまや完全に終わった。
(n)これまでは、日の光や空気のように共通の財であった土地に、用心深い測量者が、長い境界線で目印をつけた。
《感想4-4》「鉄の時代」には、土地所有の制度が成立し、土地の取り合いのための戦い・征服が生じる。
(o)豊かな大地は、穀物や当然与えるべき食糧を求められただけでなく、地中の深い内奥の富までが掘り出された。「鉄」と「金」だ。
(o)-2 「鉄」と「金」は諸悪を誘い出す源となった。「有害な鉄」と、「鉄よりも有害な金」が今や出現した。
(o)-3 こうして「鉄」と「金」を手立てとする血まみれの「戦争」が発生した。
(o)-4 「略奪」が生活の手段となり、主人は客の、婿は舅(シュウト)の安全を守らず、「兄弟愛」もまれとなった。夫は妻の、妻は夫の死を画策する。継母が死の毒薬を調合する。息子は早くから父の寿命に探りをいれる。「敬虔」は打ち負かされ、「正義」も、殺戮の血に濡れたこの土地を去った。
《感想4-5》今や、最も質の劣った「鉄の時代」だ。あらゆる悪行が押し寄せ、恥じらいや、真実や、信義は逃げ去った。それらの代わりに、欺瞞、奸計、陰謀、暴力、戦争、そして忌まわしい所有欲がやって来た。人々の欲望が無限に拡大した。
(a)「黄金の時代」が最初に生じた。懲罰者もいず、法律もなしに、おのずから信実と正義が守られていた。刑罰も恐怖もなく、罰し手などいなくても生活は無事であった。
《感想1》「黄金の時代」は、「無政府」の時代。そして人間が「無垢(ムク)」(innocent)な時代だ。また、まだ「(都市)国家」が成立してない。
(b)船が作られ異国へ旅することがない。人々は、故郷(フルサト)の海辺しか知らなかった。
《感想1-2》「黄金の時代」は、異なる民族、言語、文化と出会わない時代だ。
(c)切り立った堀が都市を囲むことはなかった。
《感想1-3》「黄金の時代」は、まだ「(都市)国家」が成立してない。
(d)兜も剣もなく、兵士は不要であり、いずこの民も、安全無事に、穏やかで気楽な日々を送っていた。
《感想1-4》「黄金の時代」は誰もが貧しかった。農耕・牧畜・土地所有制度の以前の時代だ。貯蔵される穀物も、また財産としての家畜もなかった。人々は集団をなし狩猟・採集で暮らした。おそらく他の集団と出会っても、戦かわなかったろう。狩猟・採集の大地が広く豊かで、また人間が少なかった。
(e)大地が、人に仕える義務はなく、鍬で汚され、鋤の刃で傷つけられることがなかった。
《感想1-5》「黄金の時代」は、土地所有(Cf. 広義の土地所有概念で、近代的な「私有」ではない。)の制度が成立していない。農業も始まっていない。
(f)大地は人間に、おのずから必要なすべてを与えていた。人々は、ひとりでにできる食べ物に満足していた。やまもも、野いちご、山ぐみ、木いちご、どんぐり等々。
《感想1-6》「黄金の時代」は採集生活だ。人々の欲望が無限に拡大することがなかった。
(g)四季は無く、常春(トコハル)の季節がつづいた。大地は耕さなくても穀物をもたらした。乳の川が流れ、甘露(ネクタル)の流れが走り、木々から黄金色の蜜が滴った。
《感想1-7》「黄金の時代」は自然から、穀物、乳、酒(ネクタル、不老不死の霊酒、Ex. ぶどう酒)、蜜が手に入った。
(2)「銀の時代」:狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行し、定住生活が始まった!(16頁)
サトゥルヌス(※クロノス)が奈落の底へ送られ、世界がユピテル(※ゼウス)の支配下に服したとき、「銀の時代」がやって来た。「銀の時代」は「黄金の時代」より劣っていたが、「銅の時代」より価値がまさっていた。
(h) ユピテルは 常春であった春の期間を縮め、4つの季節で1年が終わるようにした。
(i)「家」に住むことが行われたのもこの時が初めてだった。「家」と言っても、洞穴、密生した茂み、樹皮でつなぎ合わされた小枝だった。
(j)穀物の種子が長い畝に蒔かれ、若い雄牛が軛に押さえられて呻吟したのも、この「銀の時代」が初めてのことだった。
《感想2》「銀の時代」に狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行した。そして定住生活が始まった。
(3)「銅の時代」:人々は、ためらいもなく残忍な武器を手にとったが、しかし罪深いというほどではなかった!(16頁)
三番目に「銅の時代」の種族が続いた。
(k)彼らは、気質がいっそう荒々しく、いっそうためらいもなく残忍な武器を手にとった。しかし罪深いというほどではなかった。
《感想3》狩猟採集経済から農耕牧畜経済へ移行し、貯蔵された穀物、また財産としての家畜の略奪が始まった。土地所有の制度も成立し、土地の取り合いのための戦い・征服が始まった。「銅の時代」は、「(都市)国家」成立への移行期だ。富(土地・財産・穀物・家畜)を集中する権力者たちor国家が出現する。兵士が組織される。「国家」が超人的・法人的な懲罰者として出現し、法律が制定される。だがまだ、「国家」の外で、安全無事に、穏やかで気楽な日々を送る人々もいたろう。
(4)「鉄の時代」:「国家」の時代!「戦争」の時代!異なる民族、言語、文化と出会う時代!土地所有制度の確立した時代!農業・牧畜の時代!定住の時代!人々の欲望が無限に拡大する時代!諸悪を誘い出す「鉄」と「金」の時代!(17頁)
最後は、いっそう質の劣った「鉄の時代」だ。
(l)あらゆる悪行が押し寄せ、恥じらいや、真実や、信義は逃げ去った。それらの代わりに、欺瞞、奸計、陰謀、暴力、そして忌まわしい所有欲がやって来た。
《感想4》「黄金の時代」は、懲罰者もいず、法律もなしに、おのずから信実と正義が守られていた。刑罰も恐怖もなく、罰し手などいなくても生活は無事であった。
《感想4-2》「黄金の時代」は、無政府、無国家の時代、戦いのない時代だ。また異なる民族、言語、文化と出会うこともない時代だ。いまだ土地所有制度のない時代、つまり農業・牧畜成立以前の時代、かくて狩猟・採集生活の時代、したがって定住以前の時代だ。「黄金の時代」は人々の欲望が無限に拡大することがなかった!
(m) 「鉄の時代」には、山の木々が船となり、水夫は風に帆をあげた。
《感想4-3》異なる民族、言語、文化と出会わなかった「黄金の時代」が、いまや完全に終わった。
(n)これまでは、日の光や空気のように共通の財であった土地に、用心深い測量者が、長い境界線で目印をつけた。
《感想4-4》「鉄の時代」には、土地所有の制度が成立し、土地の取り合いのための戦い・征服が生じる。
(o)豊かな大地は、穀物や当然与えるべき食糧を求められただけでなく、地中の深い内奥の富までが掘り出された。「鉄」と「金」だ。
(o)-2 「鉄」と「金」は諸悪を誘い出す源となった。「有害な鉄」と、「鉄よりも有害な金」が今や出現した。
(o)-3 こうして「鉄」と「金」を手立てとする血まみれの「戦争」が発生した。
(o)-4 「略奪」が生活の手段となり、主人は客の、婿は舅(シュウト)の安全を守らず、「兄弟愛」もまれとなった。夫は妻の、妻は夫の死を画策する。継母が死の毒薬を調合する。息子は早くから父の寿命に探りをいれる。「敬虔」は打ち負かされ、「正義」も、殺戮の血に濡れたこの土地を去った。
《感想4-5》今や、最も質の劣った「鉄の時代」だ。あらゆる悪行が押し寄せ、恥じらいや、真実や、信義は逃げ去った。それらの代わりに、欺瞞、奸計、陰謀、暴力、戦争、そして忌まわしい所有欲がやって来た。人々の欲望が無限に拡大した。