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オウィディウス(前43-後18)『変身物語』(上)「巻1」(4)「巨人族(ギガンテス)」:彼らはゼウスの率いるオリュンポス神に戦いを挑んだが,山塊に押しひしがれ倒れ伏し滅ぼされた!

2021-10-08 19:40:31 | 日記
巨人族(ギガンテス)は、オリュンポスの神々の天上の国(天界)をうかがい、空高くにまで山々を積み重ねた。この事件(ギガントマキア)の時、父なる全能の神(ユピテルorゼウス)は、雷電を投げてオリュンポスの山を砕き、ペリオンの峰をその土台にあたるオッサ山(オサ山)から振り落とした。恐ろしい巨人どものからだが、みずからの築いた山塊に押しひしがれ倒れ伏したとき、大地(ガイア)は、このわが子たち(巨人族Gigantes)のおびただしい血を浴びて赤く染まった。だが大地(ガイア)は、このあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた。そこにはみずからの一族の形見たるべき者たちが生き残るようにとの配慮があった。けれどもこの新しい種族(「人類」or「人間」)も、神々をあなどり、野蛮な殺戮を好んで、暴力をふるった。

《感想》この「巻1」(4)「巨人族(ギガンテス)」の人間の起源譚(「大地ガイアが、死んだ巨人族のあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた」)は、「巻1」(2)「人間の誕生」の人間の起源譚(「土くれを、イアペトスの子プロメテウスが雨水と混ぜ合わせ、万物を支配する神々の姿に似せて人間を捏ね上げた」)と異なるが、ギリシア神話には人間の起源についての二つの異なる話があると言える。

《参考1》「ティタン」(Titan):オリュンポスの神々より以前に世界の支配者であったとされる古い世代の神々。天空神ウラノスと大地女神ガイアを父母として生れた,「オケアノス,コイオス,クリオス,ヒュペリオン,イアペトス,クロノスの6兄弟」と,その姉妹でティタニスと呼ばれる,「テイア,レア,テミス,ムネモシュネ,フォイベ,テテュスの6女神」。ウラノスを去勢し,その王権を簒奪したクロノスを統領とし,世界の支配権を握り,それぞれ結婚して多くの子をもうけたが,クロノスとレアの子孫の,ゼウスを頭とするオリュンポス神族の神々との戦いに敗れ,タルタロスに幽閉された。しかしティタンたちのうち,オケアノスとテテュスは,ゼウスの統治下においても,すべての水の源をなす大河の地位を保持し,テミスとムネモシュネはそれぞれ,ゼウスと交わりその子を産んだ。(ブリタニカ国際大百科事典)

《参考2》「ギガンテス」(巨人族)(Gigasの複数形;Gigantes):天空神ウラノスがその子クロノスに陽物を切り落とされたとき,滴り落ちた血で大地ガイアがみごもって「ギガンテス」(巨人族)が生まれた。大地女神ガイアが,ティタンたちをタルタロスに閉じ込めたゼウスとオリュンポスの神々を罰するため,その敵として生み出したとされる。彼らは岩や木の株を武器にしてゼウスの率いるオリュンポス神に戦いを挑んだが,ヘラクレスを味方につけた神々に滅ぼされ,各地の火山の下に埋められたという。「ギガントマキアGigantomachiaと呼ばれるこの戦い」は群像彫刻のかっこうの主題となった。(ブリタニカ国際大百科事典;平凡社/百科事典マイペディア)

《参考2-2》Cf. オリュンポス神であるポセイドンの子アロアダイが、天にのぼろうとしてオリュンポス山の上にオッサ山(オサ山)を置き,さらにその上にペリオン山を重ねたという神話がある。(ブリタニカ国際大百科事典)
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浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(106) 百田氏の誤り①:憲法改正に関するGHQの「3分の2以上の多数決」の方針は、「大日本帝国憲法73条」から継承している!

2021-10-08 16:22:36 | 日記
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「日本の復興」の章(385-455頁)  

(106) 百田氏の誤り①:憲法改正に関するGHQの「3分の2以上の多数決」の方針は、「大日本帝国憲法73条」から継承している!(414-415頁)
E 百田尚樹『日本国紀』は「GHQは、日本人が容易に憲法を改正できないようにと、非常に高いハードルを設けていたのだ(憲法第96条に、憲法改正の国民投票を提起するには国会両院で3分の2以上の議員の賛成による発議が必要と定められている)」(百田455頁)と述べる。
E-2  百田氏の誤り①:百田氏は「憲法改正の国民投票を提起するには国会両院で(※総議員の)3分の2以上の議員の賛成による発議が必要と定められている」ことを「非常に高いハードル」と呼ぶが、「3分の2以上の多数決」の方針は「大日本帝国憲法73条」から継承している。百田氏が「GHQ 」の発案のように述べるのは誤りだ。(414-415頁)
《参考》「大日本帝国憲法73条」
1. 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
2. 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

E-2-2  日本国憲法は「軟性憲法」でなく「硬性憲法」である。アメリカ合衆国、スペイン、ドイツなどなんらかの形で「3分の2以上」の方式を採用している国は多く、日本だけが「非常に高いハードル」なのではない。「硬性憲法」として標準的だ。(414-415頁)
《感想1》日本で憲法改正の「発議」が、戦後70年以上なされなかったのは、憲法改正の発議の方式(「3分の2以上」)の問題でなく、「日本国憲法」が国民に受け入れられていることを意味する。
《感想1-2》憲法は「最高法規」だから普通の「法律」と同様に「過半数」で改正されるべきでないとの見解は正しい。
《感想1-3》民主主義は、国民の「理性」を信頼する制度だ。選挙ごとに多数派(ただし国民の全体でなく「一部」)が入れ替わる中で、国民「全体」にとって最良の方針が、国民の「理性」によって漸近線的に決定されていくとする制度だ。多数派(「過半数」)の決定が誤ることもあるので(Ex. ポピュリズム)、慎重に「3分の2以上の多数決」の方針が取られる方が良い場合もある。(Ex. 「憲法改正」の場合)。
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映画『ダンスウィズミー』(2019年)監督矢口史靖 :ミュージカルが得意だった女の子が、小学生の時のトラウマを、成人して偶然の幸運な出来事によって治癒させる物語!

2021-10-08 14:45:48 | 日記
(1)
一流商社で働く勝ち組OL鈴木静香(三吉彩花)。女子社員たちは、若いエリート男子社員村上涼介(三浦貴大)の話で持ちきりだ。静香は、幼い頃から歌とミュージカルが得意で大好きだったが、小学生の時の学芸会の苦い思い出(緊張しすぎ吐いてしまったトラウマ)から、以後ミュージカルを毛嫌いする。
(2)
ある日、静香は、姪っ子と訪れた遊園地で怪しげな催眠術師マーチン上田(宝田明)のショーを見学。その時、サクラを演じたのが斎藤千絵(やしろ優)だ。そこで催眠術に興味がわき、静香は試しに、催眠術をかけてもらう。ところが驚くことに、「曲が流れると歌って踊らずにいられない」という“ミュージカルスターの催眠術”に本当にかかってしまった。
(3)
その日から、静香は会社でも、街中でも、ちょっとしたメロディや携帯の着信音などあらゆる音楽に反応し、「曲が流れると歌って踊ってしまう」。静香は、メンタルクリニックで診てもらうが脳に異常はない。そこで会社を1週間休み、静香は術を解いてもらおうと再び催眠術師のもとを訪れるが、遊園地はもぬけの殻だった。
(4)
困り果てた静香は探偵社に依頼し、催眠術師を探してもらう。静香は、催眠術師のサクラだった千絵をたまたま発見。千絵は「バイト代を払ってもらってない」と怒り、やはり催眠術師を探していた。探偵社から催眠術師は新潟にいるとの連絡を受け、静香と千絵は車で新潟にむかう。
(5)
ところが新潟に着くと、催眠術師は次の公演先の弘前に出発した後だった。追いかけるためには、しかし静香も千絵も金がない。ところがたまたま路上ライブする洋子(chay)と出会う。3人で演奏し歌うと、これが大好評で、3人は路上ライブやホテルのショーで稼ぎながら弘前に向かう。途中、秋田で洋子が、自分を振った男の結婚式に出て、大暴れし離脱。
(6)
弘前でも催眠術師は移動した後で、結局、静香と千絵は函館に向かう。函館で催眠術師をつかまえ、静香は遂に「曲が流れると歌って踊らずにいられない」という“ミュージカルスターの催眠術”から解放される。千絵もカネを手に入れた。2人は東京に戻る。千絵は「ミュージカルスタジオ」を開く計画を持っていた。静香は会社に戻った。
(7)
静香は、しかし洋子・千絵との3人の歌の大好評と、“ミュージカルスターの催眠術”の治癒効果で、トラウマから解放された。静香は「自分の好きな歌とミュージカルの道で生きたい」と思い、男子社員村上涼介が引きとめるのも拒否し、会社を辞める。静香は、千絵の開く「ミュージカルスタジオ」で働くことにした。

《感想》幼い頃からミュージカルが得意で大好きだった女の子が、小学生の時のトラウマを、成人して偶然の幸運な出来事によって治癒させる物語だ。静香(三吉彩花)のダンスが楽しい。

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