巨人族(ギガンテス)は、オリュンポスの神々の天上の国(天界)をうかがい、空高くにまで山々を積み重ねた。この事件(ギガントマキア)の時、父なる全能の神(ユピテルorゼウス)は、雷電を投げてオリュンポスの山を砕き、ペリオンの峰をその土台にあたるオッサ山(オサ山)から振り落とした。恐ろしい巨人どものからだが、みずからの築いた山塊に押しひしがれ倒れ伏したとき、大地(ガイア)は、このわが子たち(巨人族Gigantes)のおびただしい血を浴びて赤く染まった。だが大地(ガイア)は、このあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた。そこにはみずからの一族の形見たるべき者たちが生き残るようにとの配慮があった。けれどもこの新しい種族(「人類」or「人間」)も、神々をあなどり、野蛮な殺戮を好んで、暴力をふるった。
《感想》この「巻1」(4)「巨人族(ギガンテス)」の人間の起源譚(「大地ガイアが、死んだ巨人族のあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた」)は、「巻1」(2)「人間の誕生」の人間の起源譚(「土くれを、イアペトスの子プロメテウスが雨水と混ぜ合わせ、万物を支配する神々の姿に似せて人間を捏ね上げた」)と異なるが、ギリシア神話には人間の起源についての二つの異なる話があると言える。
《参考1》「ティタン」(Titan):オリュンポスの神々より以前に世界の支配者であったとされる古い世代の神々。天空神ウラノスと大地女神ガイアを父母として生れた,「オケアノス,コイオス,クリオス,ヒュペリオン,イアペトス,クロノスの6兄弟」と,その姉妹でティタニスと呼ばれる,「テイア,レア,テミス,ムネモシュネ,フォイベ,テテュスの6女神」。ウラノスを去勢し,その王権を簒奪したクロノスを統領とし,世界の支配権を握り,それぞれ結婚して多くの子をもうけたが,クロノスとレアの子孫の,ゼウスを頭とするオリュンポス神族の神々との戦いに敗れ,タルタロスに幽閉された。しかしティタンたちのうち,オケアノスとテテュスは,ゼウスの統治下においても,すべての水の源をなす大河の地位を保持し,テミスとムネモシュネはそれぞれ,ゼウスと交わりその子を産んだ。(ブリタニカ国際大百科事典)
《参考2》「ギガンテス」(巨人族)(Gigasの複数形;Gigantes):天空神ウラノスがその子クロノスに陽物を切り落とされたとき,滴り落ちた血で大地ガイアがみごもって「ギガンテス」(巨人族)が生まれた。大地女神ガイアが,ティタンたちをタルタロスに閉じ込めたゼウスとオリュンポスの神々を罰するため,その敵として生み出したとされる。彼らは岩や木の株を武器にしてゼウスの率いるオリュンポス神に戦いを挑んだが,ヘラクレスを味方につけた神々に滅ぼされ,各地の火山の下に埋められたという。「ギガントマキアGigantomachiaと呼ばれるこの戦い」は群像彫刻のかっこうの主題となった。(ブリタニカ国際大百科事典;平凡社/百科事典マイペディア)
《参考2-2》Cf. オリュンポス神であるポセイドンの子アロアダイが、天にのぼろうとしてオリュンポス山の上にオッサ山(オサ山)を置き,さらにその上にペリオン山を重ねたという神話がある。(ブリタニカ国際大百科事典)
《感想》この「巻1」(4)「巨人族(ギガンテス)」の人間の起源譚(「大地ガイアが、死んだ巨人族のあたたかい血潮に生命を与え、それを人間の形に変えた」)は、「巻1」(2)「人間の誕生」の人間の起源譚(「土くれを、イアペトスの子プロメテウスが雨水と混ぜ合わせ、万物を支配する神々の姿に似せて人間を捏ね上げた」)と異なるが、ギリシア神話には人間の起源についての二つの異なる話があると言える。
《参考1》「ティタン」(Titan):オリュンポスの神々より以前に世界の支配者であったとされる古い世代の神々。天空神ウラノスと大地女神ガイアを父母として生れた,「オケアノス,コイオス,クリオス,ヒュペリオン,イアペトス,クロノスの6兄弟」と,その姉妹でティタニスと呼ばれる,「テイア,レア,テミス,ムネモシュネ,フォイベ,テテュスの6女神」。ウラノスを去勢し,その王権を簒奪したクロノスを統領とし,世界の支配権を握り,それぞれ結婚して多くの子をもうけたが,クロノスとレアの子孫の,ゼウスを頭とするオリュンポス神族の神々との戦いに敗れ,タルタロスに幽閉された。しかしティタンたちのうち,オケアノスとテテュスは,ゼウスの統治下においても,すべての水の源をなす大河の地位を保持し,テミスとムネモシュネはそれぞれ,ゼウスと交わりその子を産んだ。(ブリタニカ国際大百科事典)
《参考2》「ギガンテス」(巨人族)(Gigasの複数形;Gigantes):天空神ウラノスがその子クロノスに陽物を切り落とされたとき,滴り落ちた血で大地ガイアがみごもって「ギガンテス」(巨人族)が生まれた。大地女神ガイアが,ティタンたちをタルタロスに閉じ込めたゼウスとオリュンポスの神々を罰するため,その敵として生み出したとされる。彼らは岩や木の株を武器にしてゼウスの率いるオリュンポス神に戦いを挑んだが,ヘラクレスを味方につけた神々に滅ぼされ,各地の火山の下に埋められたという。「ギガントマキアGigantomachiaと呼ばれるこの戦い」は群像彫刻のかっこうの主題となった。(ブリタニカ国際大百科事典;平凡社/百科事典マイペディア)
《参考2-2》Cf. オリュンポス神であるポセイドンの子アロアダイが、天にのぼろうとしてオリュンポス山の上にオッサ山(オサ山)を置き,さらにその上にペリオン山を重ねたという神話がある。(ブリタニカ国際大百科事典)