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King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『ミレニアム2』読了

2010年05月07日 09時21分16秒 | 読書
『ミレニアム2』
炎と戯れる女


ゴールデンウィーク中はこの本で楽しく過ごしました。

前巻の解説で、この作者がすでに亡くなっている事を知り
残念に思いました。

そして、前巻のお話で唯一気になった物語が法律上クリアに
なっていないことやミカエルがジャーナリストの本分を曲げ
てしまったことが非常に気に入りませんでした。

全てをクリアにしてこそ物語の完全体があり、読者に深い
感動を与えられると思います。

それをやらずに作者や世の中的風潮に流れてしまうのが残念
です。

それでも物語的にも面白く、主人公も魅力的であり謎が謎を
呼び意外な結末と物語に引き込まれる要素を持っているの
で、それなりに楽しめます。

その続きであるこの作品で、法的なクリアな面がまた気に
なる展開でずっと読者はやきもきされるのですが、ラストに
かけてそれはないよなあという気も強くします。

次の作品もあるので、こんな話ではないはずというのは
するものの、物語を見直すと身も蓋もない物語なので
なんじゃという感じもするのです。

前半の長いサランデルのセンチメンタルジャーニーのような
物は必要なのか。この様に必要なのかという物語の書き込み
過ぎのところはサービスなのか国民性なのか律儀な日本の小説
を彷彿とさせますが、まあそれが楽しいといえば楽しいし、
邪魔といえば邪魔の様でもあります。

スウェーデンてユーロじゃないんだとか意外とナチに関係する
ものをひきづっていたり、発見もあります。

いつも居間でテレビをつけている部屋で、深夜テレビを消して
読むことが多かったのですが、気にならなかった色々な音が
するのでびっくりしました。

それは話し声だったり、不気味な声だったり色々な音が深夜
でも、いや深夜だから通って聞こえるのでしょう。本もさる
事ながらそんな音につい耳を澄ませる事も多々ありました。

物語の終わり方は、さらに法律的にはクリアに出来にくい
難しい終わり方をしましたが、次作では読者の予想をまったく
裏切り司法の手にまったく関わることなくリスベットは
しっかり復活なんて事になっている感じがうすうすします。

それは、本の巻末の解説のつまらない内容で前回は作者の
死亡と遺作が実はパソコンに書きかけられていたという
驚きの事実などの情報がもたらされたのに次作に誘う目ぼしい
情報がもたらされないことから逆に次の作はサプライズが
一杯なのではと思ってしまいます。

題名のミレニアムはミカエルが勤める雑誌社の出している
雑誌名なのですが、当然新世紀の時期にこの物語も書かれた
ことを思うと内容的に陳腐化したものも持っています。
世界的に禁煙に流れているのに主人公や登場人物はやたらと
タバコを吸います。

携帯電話やネットの使われ方もなんか少し古い感じです。

海外送金や無記名債権なども個人情報が余りに簡単に扱われ
ているのも今風ではありません。まあそんな細かい不満も
あるもののそれでも一気に読ませる力を持っています。

『ミレニアム』読み始めました。

2010年04月20日 23時19分24秒 | 読書

『ミレニアム』
読み始めました。
そしてあっという間に、ドラゴンタトゥーの女を読み終わりました。

とても面白ろかったです。

その前に読んでいた『犬の力』が余りにつまらなかったので今度の
読書時間は実に快適で、やはり読むものは選ばなくちゃだと思いました。

犬の力はこのミス1位でそれもミレニアムを抜いてということだった
ので、期待し過ぎたのかもしれません。

内容は何でこれが1位かといつも考えてしまいました。

それに引き換え、これは物を読むというそのものに
基本的に持っているべきものを普通に味わえる喜びを
思い起こさせてくれました。

読み出す前は、本編の前に膨大な家系図やら登場人物の
要約と地図が何枚もあり、そんなに複雑な話かと身構えて
しまいます。

それに加えて、全巻6冊という量も読み始めるのを躊躇
させるような構えです。

でも、それは心配無用。

内容はとにかく引き込まれるのです。

終わってみれば、内容的に謎が簡単にわかってしまったり
物語の完結もスピード感覚があり、だらだらと長い話では
ありません。

気になったのは、物語の決し方で、私の信念というかミステリ
の基本としては、解決は常に合法的で主人公が取る決着も
正義と法を是としてそれに沿う方向でなければいけないと
思います。

表には出せないがこんな物語があったという暴露的な小説は
多いですが、探偵小説では探偵は法にのっとり法に従う解決
を目指すものだと思います。

どんな形であれ、法に沿ったものだと感じる解決を選択し、
それが悲しいものであれ、物語的に悲劇になってもそれが
正しい道だと思います。

ミステリではこれが大事なことなのです。

そんな不満も少しあるのですが、全体としてはとても楽しめ
ました。

上巻を読んだときに、著者がもう死んでいることや
スウェーデンでは国民のほとんどが読んだといわれるヒット
であることなどを改めて知りました。

それにしては映画の方は映画館でいつか予告編をみたものの
たいして話題にもならずいつ上映したかという感じだったと
思います。

改めていつ上映だったか調べてみたりしました。

映画がどこまで映画化になったのか知りませんが、そちらも
見て見たいと思いました。

まだ本は2,3とあるといううれしい状況です。

あと1週間は楽しめるでしょう。『1Q84』book3も買ってあり
今月中は楽しい読書が続きそうです。

『犬の力』ドン・ウィンズロウ読了

2010年04月06日 10時05分18秒 | 読書
『犬の力』やっと読み終わりました。
これはこのミスの第一位ということで、かなり期待して
よみました。


しかし、苦労して読み終わり、その間余り楽しくも面白くも
ありませんでした。

今までこのミス系の帯や話題作、受賞作は必読だった
のですが、この一作でそれも変わりました。

もともと書評番組や新聞などでは、今年のミステリーは
『ミレニアム』で決まりという雰囲気でした。

それが、この作品が売り上げ内容とも一位だとなり、
そんなにすごいのかと期待し過ぎたのかもしれません。

そのミレニアムも調べたら六冊もあり、買い揃える
のも一苦労です。

それで先に、犬の力から手に入れて読み始めたのですが
とてもすらすら読める内容でもストーリーでもなく、
何でこれが一位なのかと何度も思いました。

日本の小説のように知的なところは微塵も無く、
ただ暴力的な殺伐とした話が延々とつづくのです。

アメリカというのは法治国家ではないのかと時々
思います。

自由の国というのは、自分のことは自分で守り
自分の財産や意見や主張も自分で守らないとならない
非常に生きにくいところだという感じです。

隣接する国はもっと貧しく貧富の差が激しく麻薬も
そんな国々からやってくるわけです。

銃を持っての外交で臨めば、今のような状況以外
展開は無いでしょうが、麻薬以外に産業を興すと
いう本来の農民の生活重視の政策を国ごとバックアップ
すればできないことでは無いでしょう。

やはり今のままを容認しているのは、麻薬を作ることも
銃の供給とセットで必要としている人たちが入り組んでいる
ことが予想されます。

他のアフガンやイラクも同様で銃による外交から
銃で守れるものを我々は知ることになります。

猫の頭と猫の国

2009年12月18日 15時16分32秒 | 読書
『ねむれ巴里』金子光晴

よいよパリに向かう金子光晴。

彼の口上は益々絶好調です。



そもそもこの本が書かれたのは、実際の巴里に旅をした頃から
はるか後のことらしいです。

それも戦前の巴里であり、書かれたのは昭和後期ということ
ですから、何もいまさらということになるのですが、それが
実にみずみずしい文化論になっているから今も読まれている
のでしょう。

先日、『骸骨ビルの庭』をやっとの思いで読み終わりましたが、
私には、箪笥の奥にある古い出し物をつなげてまた一儲けのような
古臭く陳腐な物語に思えてなりませんでした。

それが世の中的には、何かの賞などをとっていてこれはかつて
ベストセラー作家とか大出版社の大作家ともなるとただ単行本を
出したということにならずにとにかく何でも売れるうちに売って
しまうという身も蓋もないことが今でも起きているんだなあという
感じを受けました。

この本のようになんの脈絡もなくいまだに本の魅力と文化として
残る例もありますが、こういう貴重な体験と世間を見る見本として
必要な物のような気がしてなりませんでした。

最近は、学校を卒業し一度も正社員を経験せずに働きだして、世の中
が不景気に沈むと職を失い、それでもバイトで食いつないでよいよ
そのバイトも歳のせいで勤めづらくなると収入の道を見つけられず
飢え死にしてしまったという人生をテレビで紹介していました。

一方、無職で収入がないため親が死んでも火葬にすらできず遺体を
山中に放置し死体遺棄で捕まった男のニュースにも触れました。

最近の人間は、なんと無力で弱弱しくできているのでしょう。

無知で生き抜くという根本の能力以前に生存の意思が薄弱なのかと
思ってしまいます。

金子光晴が巴里まで行き、男娼以外は何でもやったという赤裸々な
旅の記録は、そんな現代にきっと喝を与えることでしょう。

競争力導入とセィフティネットの完備で活力ある社会を築くはずが
小泉改革は、落ちこぼれていく人々を大量発生させ何も改革や
硬直する社会制度を正せてはいないことを露呈して、政権交代という
耳ぎこえのいい転落の後、ばら撒きだらけのぐだぐだで何も決められない
政府に取って代わられました。

あの一番じゃなきゃだめなんですかという蓮舫議員の言葉の衝撃も
ありましたが、飢えで死んじゃう若い男もいる世の中なんだぞ、
そろそろ本気で世の中変えないと国民新党の亀井氏ではないが
日本が沈んでしまいそうです。

この本の中には、はっとするような出来事とかぞっとするような
出来事も出てきます。

羅生門の中のような出来事も今の世の中これから出てくるかも
しれません。

ベルギーの安食堂の料理がウサギの頭でなく猫の頭を使っていた
というのもかなり衝撃的でした。

当時国によっては猫売りがいたという金子の回想も強烈です。

もちろん猫の肉を売っていたそうです。

その時に思ったのは、『1Q84』の中に出てくる猫の国に行く話し。

小説の中に出てくる小説の話というのは技巧的には、よくみんなが
知っている話を使うものです。

猫の国と言えば萩原朔太郎の猫町であり、ガロに載っていた猫の
銀河鉄道の漫画です。

それらを十分意識したであろうはずの彼の書く小説というのが
まったくの架空のものです。

現実の物を連想させる新興宗教や自分殺しや首都高にある階段とか

あの本には虚実入れ乱れた世界が書かれていました。

ヤナーチェクの曲などこれまた虚構かと思えばこれはちゃんと実在
のもので、クラッシックにかなり専門的な知識があるのかと
思われる選曲です。

現代では、ベルギーでも猫の頭を使った料理屋などあろうはずも
なく、それでも人々はもっとひどい物を食べさせられているかも
知れないという現実を知り、したたかに生きていくことを思考
するべきかもしれません。

それほど回りには助けの手も富の約束もないのですから。


これからはなんと言っても京都でしょ

2009年12月01日 00時03分56秒 | 読書

というわけで、『おひとり京都の愉しみ』を買いました。

これは新聞かなんかで見て気になっていて、先日新しくできた
ショッピングモールの本屋さんで見かけて買ってしまいました。

京都にひとりなんてのはあまりに良くあるシュチエーション。

そして書き出しが、京都大原三千院ですからあまりに仕込まれた
感じです。

これは作者は私と同年代に違いない。

ここでもうこの本は買われる運命にあったのです。

さらに留めとなったのは、おひとりでも最高の日本旅館の紹介が
あったところです。

この旅館は最高のもてなしとか本に紹介される店にろくな物はなく、
料理にしろそうです。

本や雑誌に紹介される店は行く価値はないのです。

紹介しないと商売にならないからです。

本当の本物は逆に常連さんに迷惑がかかるからやめてくれと言います。

良くある雑誌のムック本に載っている店は、お金を払って載せて
もらっているらしいです。

テレビですらそうです。

如何にも苦労して探してきたように紹介されますが、お互い商売で
やっていることですから、消費者に有利な情報を早々無料で渡す
はずがないのです。

世の中の人はそう簡単に気がついていいことになかなか気がつきません。

ネットもグルメサイトとか個人のブログにしても何のしがらみもない
人の意見など昔のように簡単に読めなくなっています。

お店側に優位な商業よりの情報の流れがいつの間にかできてしまい
ました。

コーヒーにしろ、おいしい食事の店にしろ、他人の意見など
ほとんど参考にならないのです。

それに面白いことに、本当においしい店がはやっているかというと
そうとも限らないという現実があります。

本当の本物だけが生き残るなどというもっともらしいご宣託も
必ずしも正しいとは限らないのです。

それはやはり一度ついたお墨付きというブランドが確立すること
の力であり、誤っていても一度世の中に認められてしまえば、
それを書き換えることはなかなかできないのです。

それゆえ業界の業者で作るグループでの護送船団的な行動とそれに
属さない者への排他的な動きと協会の看板がもてはやされるのです。

数に頼んでの動きというのは大量生産大量消費の世の中では全て
善だったわけですが、世は少子化で人口減社会であり、おひとり
さまが標準になりつつあります。

この本はそんな世の中の動きに乗ったおひとりさま社会の先端と
いった物ですが、旅の世界ではおひとり様は本当は一番最初から
あったもので、何をいまさらなのです。

しかし、実際一人旅をする者としては、色々な疎外感を味わうこと
があり、そんな人こそがこういう本を手にして自分の無聊を慰める
ことになるのです。

『骸骨ビルの庭(上)』/宮本輝読んだ

2009年11月25日 12時23分45秒 | 読書
流転の海はどこかの雑誌で連載を開始しているのを
ちらっみました。このシリーズは長いです。本から
本の出る間が長いというのもありますが、待っている
人は多いと思います。



『骸骨ビルの庭(上)』

宮本輝の本を読むのは久しぶりですが、出て来るものが
皆なじみのプロットなので作者としてもうネタがなくなって
いるのではと思います。

淀川橋の畔のビルというのも流転の海のシリーズに
出てくる情景だし、戦後のごたごたで肺炎になった人や
輸送業で成功した人、定食屋で働く女性などみんなどこか
で出てきた人につながります。

ファンとしたら、早く続きを書けと思っているのでは。

しかし、もう続きがないのかとふと思ってしまいます。

それに自分史的なものだと今の自分の年齢に近づくと
書きづらいのも想像できます。

ただ、待っているうちに死んでしまうファンもたくさんいると
最近思います。

昭和を象徴する人がどんどんなくなってる昨今の訃報の数を
みるとやはり早くシリーズを進めるべきではないかと思います。

そうなるとこの小説は、なんのためということになります。
喜ぶファンもいるでしょうが、私はなぜなんだという思いに
駆られます。早くシリーズを完結してほしい。この本で足踏み
しているより、もっと新しい物にチャレンジするなり、テーマに
挑むなりしてもらいたいというもどかしい物を感じます。


知識の遭遇と記憶の叫び『どくろ杯』

2009年11月11日 23時30分21秒 | 読書


『どくろ杯』

この本も、週刊プックレビューの中で紹介され
ました。

しかし、この手の番組で紹介するのは最近刊行された
本に限るのかと思いきや、この本はかなり古い本です。

出てくるのは大正生まれの詩人が昔パリに行ったときの
話です。

というと、実に優雅な詩行の旅かと思いきや
これが実にもどかしい話で本当なら人に話してしまうのも
たばかれる恥ずかしい旅なのです。

それが訥々とあっさりと白状してしまうように昔のこと
だということで書いてしまったのか、今となっては貴重な
紀行文です。

今でこそ、世界をリードする新興国として、毎年二桁の
経済発展を遂げる中国ですが、ついこの間はこんなだったと
改めて思わせる不思議な感覚に満ちています。

戦前の中国はそうだったと改めて思い出すべきことに満ちて
いたと気がつくのです。

北京オリンピックを成功させ世界の中心の感じ一杯の今の
中国ですが、アジアの各地というのは植民地時代にヨーロッパ
列強により作られた都市が基で港も空港もその時のものが
下地に発展したことを思い知らされます。

こういう戦前の記憶を知らせてくれるものというのは読んで
おくべきです。

私は番組で紹介されたときの感じからパリに行く本と聞いて
いたので、それがなかなか日本を出ないし、さらにこの本では
上海がメインで、結局パリに向かったのは彼女だけ。どうなった
んだよそれから。

ということで、次の本も注文しました。この先は、『ねむれ巴里』
『西ひがし』という本に続くのです。

読書の醍醐味としては、今まで知らない事柄にであったり、読めない
字句に出会い、それからいろいろと知識が広がるという、知の楽しみ
という側面があります。

しかし、最近の本にその知の楽しみを味わせてくれるものはなく、
読めない字句も出てきません。

この本ではそんな読めない字句や、意味のわからない言葉や
日本語が変だろうというところが多々あります。

味ったという言い方もあったり、アナルシストという言葉も
多分アナーキーのことなんだろうと見当はつきますが、今ネット
で検索して御覧なさい、恥ずかしい検索をする人になって
しまいます。

カタカナ表記の仕方が違うだけなんだけどかなり頭を使わないと
何のことという意味がつながらない文章だったり、詩人として
味のある文体とは言いづらい綴り物ながら、著される世界は
今は見ることのできない戦前の世界をはっきりと見せてくれ
ました。

『無限記憶』読了

2009年10月25日 21時48分46秒 | 読書


     『無限記憶』

時間封鎖読了後、すぐに続編が出ているので
注文して手に入れました。

文庫本なのに1000円オーバーで、そんな量もなく
割高の感じがします。

それでも、時間封鎖の面白さを考えれば、そんな
ことも言ってられず注文しました。

そして、このシリーズはこの本で終わりでなく、
三部作で題まで決まっているそうです。

時間封鎖が上下二巻なのに無限記憶は一冊で、第三作は
まだ完成しておらず執筆もされていないようです。

私も感じたように、この本はスタンリーキューブリックの
2001年宇宙の旅のオマージュではないかという感じで
ストーリーもこれからよりその映画をイメージさせて
きます。

それと、スターウォーズの逃亡が砂漠の所とか昔みた
映画をSFを書くから全て借りてきたという感じもあります。

それなのに、仮定体という謎の存在の衝撃は並のSFでは
受け得べくもなくも、このシリーズには圧倒されて
しまいました。

そして一旦生み出された仮定体に一体化するという
段階でこれは2001年のオマージュなんだと気がつき
それはそれは今まで見てきた夢が、どこかで見たもの
という現実にまた愕然とするのです。

しかし、仮定体との通信を試みた人類が、その目的を
果たした時に次に来るものは何なのでしょうか。

それ大変興味深いものですが、それを発展させたSFは
今までありません。

変化技としては新文明と旧文明の衝突とか新人類の
進化とか、仮定体の意思がテーマとなるとか考え
られますが、そんな見たものを持ってくるとも
考えられず、ただ機械の連続とした仮定体の正体
を限定的にしたことにより、楽しみとしてはさらに
増した感があります。

これは、大方の想像を覆す壮大なものを持って
きてくれるものと思います。

『ヘブン』読了

2009年10月10日 23時21分03秒 | 読書


あのペーター・レーゼルのピアノを聴いてから
クラッシックの他の音楽を聴かないようにしています。

あの美しいイメージが少しでも長持ちするように
大切に大切にとっておこうという気がするのです。

この小説も『ヘブン』も実に美しいと感じました。

最初は書評とか週間ブックレビューなどでも
いじめをテーマとしているということから『悼む人』みたいな
現実の悲惨な状況をえぐった現代風刺がテーマのような
読むのが苦痛となる本を想像していました。

出揃ったパーツとヘブンという表題から当然、苛められて
どこからに救いを見つけそれが題名に結びついて
いるんだろうなと安易な予測を立ててしまいます。

最近の小説のように殺伐とした人間模様や社会風景は
今更知らされたくもないし、その先にあるものや
作者の導き出しなども安易で陳腐な物が相当と端から
魅力を感じないのです。

最近、そんな小説的な感動を持たない作品ばかりです。

そんなものの一種だと読み出したのですが、テーマと
しての苛めを受ける少年の身の回りはやはり暗く何の
救いのないように展開しますが、しかし何の誇張も
何の割引もない淡々とした展開は妙に静かに美しく
やがて少年の理解者が現れるともうこの世界から
目が離せなくなります。

最近小説を読むと『1Q84』のヒットをねたにした
漫画の一節をいつも思い出します。

小説っておちがなくていいんだ。

普段簡単な完結的な物語に慣らされた人から見れば
それは至極当然な台詞だろうと思います。

小説とはうちっばなしの鉄砲と同じでその軌跡も
見ることはないし、着弾点をどうこうすることも
ないし、そのスタイルをどうこうすることは出来ても
どんな気持ちで弾が飛んでいったかなんて知る由も
ないし正しい飛び方だったかなんて議論することも
憚られるのです。

あの打ち方ならかなりいいところに飛んだんだろうと
いいあい、あの人が打ったからいいとか好きだとか
あの鉄砲だからいいとか日々議論はかしましいのですが
そんなことは本の中の疑似体験とは無関係です。

それでもこの小説は先日のピアノソナタのように美しい
と感じさせる世界があるのです。

切なくむなしいやりきれないような世界を書いているのに
何かを好きになったり、愛おしいと思ったりすることの
なんと美しいことか。

それに気づかせてくれる小説です。

それがとても醜い世界の中での出来事でも、それを見させて
くれてありがとうといわずにはおれない物語でした。

これはいい『時間封鎖』

2009年09月10日 09時28分45秒 | 読書

アメリカのTVドラマとか映画とかの特徴は
とにかく正義は圧倒的に正しく、強く、かなり
困難な状況に追い込まれつつ、そして最後は
勝つというパターンが定着していて、それ以外
の要素が入り込む余地がないほどになっていると
感じていました。

ふと3年前の自分のブログを読み興味深いことが書かれて
いました。

『LOST』とか『ER』とか最近のドラマは主人公が
負け続け失い続ける物語となっているということです。

リーマンショック後の今は、もっと簡単にもっと白黒
はっきりしていて、とにかく正義は勝つというものに
変わっているのか。

昔からアメリカ映画は、アクションと能天気に正しく
勝つ強いヒーローばかりでした。

そんな世界に、毎週同じ時間にチャンネルを合わせる
だけの魅力を持たせられるはずもなく、編み出された
のが、謎に満ちた島や過去の失敗や人生の失敗から
現在に導き出した生きる知恵だったり、決断だったり
クリントイーストウッドなどは愛の形としての生だったり
したわけです。

アメリカでも映画をあれだけばかばかしい内容に塗りこめ
ていても、文化であり芸術だとする人がいてデートに
誘う第一の目的に映画に行こうと言う台詞が多く聞かれ
ます。

そんなアメリカ世界に文学で人々を魅了し人生の深遠を
覗かせてくれるものなど育とうはずもないと思って
いました。

しかし、SFだけは飛び切りに面白く、人生の謎と世界の
謎に突き詰めてもしやこういうことではと現実の世界も
考察させるものが数多くあります。

この本もまさにそんな一冊で、私はヒューゴー賞受賞と
いうことと帯にあるSFが読みたいベストSF第1位という
キャッチに触発されたのですが、まさかここまでという
意外感に包まれました。

よく人類の最後を描く小説はありますが、コーマック
マッカーシーのように大絶賛された本でもただ人類が
核戦争を起こしてしまい、生き残った人類のサバイバル
だったり、というありそうだけどどうしてそうなってその
次どういう世界が展開されるのかという小説はなかった
のです。

その中で、時間封鎖は太陽が膨張し地球を飲み込んで
しまう人類最後の時を描いており、その時何が起きて
何がどうしてしまうという意外なドラマです。

それでありながら、不思議な臨場感に満ちていてありえない
世界がその不思議な現象の謎を見極めたいという欲求の
ままにドラマは進行し、人類の最後はこうかもしれないという
同意感でつつまれます。

今でも話題の『1Q84』の打ちっぱなしの弾のような物語
と違い、打った先、つまり着弾点がはっきり見えるような
そしてその打った先の一つがこの1Q84のひとつにもあたって
います。

久しぶりの読書の醍醐味を味わえた本でした。


『誇りと復讐』

2009年09月03日 10時31分45秒 | 読書


これは大分前に読み終わっていましたが、色々あり
本の感想を書くこともなくなっていました。

しかし、結構本の感想というのが需要があるらしく
あれどうしたんですかとか、本はもう読んでいないのですか
とか言う人がいて、いえいえ三冊同時に常に読んでいますよ
ということで、これからも見た映像と本については
書いておこうと思います。

『誇りと復讐』ジェフリー・アーチャーの本ですが、あまり広告とか
うわさとか話題になりませんね。最近。

印象としては、国会議員で貴族の称号も持つ作家であり
書く本は飛び切り面白いが、選挙がらみからかいきなり
逮捕から実刑まで食らってから、やはり日本では悪と
みなされあまり表立って取り扱われないというのが現状
でしょうか。

現役の議員なら起訴されることも逮捕されることもない
状況でしょうが、様々な権力闘争の末、警告や実際の
攻撃でも効果なく、ついに表舞台で法的に捕らわれ、
葬り去られたということなのでしょうか。

日本では逮捕され、実刑になったというのは小さく報道され
その後の獄中記の最初の頃はまだ広告が大々的にされて
いたものの、いつのまにか過去の人扱いになってしまい
ました。

私は、百万ドルをとりかえせからのファンでした。

彼の人生は、彼の書く本のとおりの波乱万丈の浮き沈み
紆余曲折の繰り返しでそれはそれで興味深いのですが、
しぶとく切り返してくるところはさすがです。

イギリスは、こういう生き方については、やはり保守的
で、封建的で階級的なものが残っていて、アメリカや
日本のマスコミのように人気があればいいみたいなところ
はなく、日本はそのイギリスの貼ったレッテルをそのまま
受けている感じを受けます。

獄中記は何冊か出されましたが、イメージは暗く希望ある
楽しい共同体のように書くことは許されないので、仕方なく
暗く閉ざされたイメージが作風が変わったようなイメージを
与え、本の売れ行きや彼のファンさえ奪った感があります。

しかし、この本については彼の筆力はそのまま健在であり、
物語の面白さもあることを知らしめました。

ちょっと注目すべきはこの後半の作り方です。

物語の作り方としては、古典的であり、ありふれて物新しさ
もないストーリーですが、ひたすら正義が勝つという物語
や悪がとことんやっつけられるという物語でないところが
リアリティがあります。

悪の人々は、世の中でそこそこ成功していて、やはり底辺の
人々では太刀打ちできないのかというあきらめも後半は
立ち込めます。

モンテクリスト伯のオマージュとか言われますが、それなら
もっと復讐劇に緻密さと強烈さがほしいところですが、
それをあえてやらずに主人公の善良さと成長をえがくこと
で、復讐の持つ意味やむなしさと善良性だけでは世は
評価されないという教訓的な終わり方と教育性があります。

これは、アーチャーが強く感じた刑務所生活での教訓と
言うか世の中へのメッセージだったのでしょう。

夏は文芸春秋

2009年08月18日 23時06分03秒 | 読書
夏のこの時期、よく文芸春秋を買い
ます。

芥川賞の発表があるし、今回は選挙と戦争
関連の記事と色々興味あるものが並んで
います。

今日は病院の付き添いで、あまりに長い
待ち時間から、売店で買ってかなりの量を
読んでしまいました。

普段はやらないナンプレと漢字のパズルも
解いてしまいました。

どうして日本の医療はこうも検査検査と
同じことを繰り返すのでしょうか。

病院を変え、また最初から同じ検査を繰り返し
ます。

病室には、原因も治療も解らない難病や
パーキンソン病とかただベットに寝ている人が大勢
います。

ほとんどが年寄りです。

そしておおむね認知症を併発しており、家族は
病院たらい回しでも入院していてくれれば、仕事に
行けるし、自分も介護から開放されるためこのような
状態になっているのではないでしょうか。

高齢化社会といいつつ、実際に使い物になるお年寄りは
極僅かで、後は看護と介護が必要で、医療費だけでなく
一般の働き手の労働力もとられてしまうというやっかいな
存在なのです。

それにしても病院の待ち時間は、すさまじいものがあり、
今日行った病院は、売店や食堂が貧弱で周りは畑しかなく
食事や買い物は限られているのに、休憩場所や食事のできる
ところが少ないというのは非常に設計上のミスだと思います。

今日はいつもはやらないパズルもふたつとも解いてしまい
戦時中の体験には涙が浮かびそうになったりと待ち時間の
数少ない慰めとなってくれました。でも、芥川賞受賞作は
読む気になれませんでした。

読書中『A Prisoner of Birth』

2009年08月10日 23時53分22秒 | 読書
今日上巻を読み終わりました。

ジェフリーアーチャーは好きな作家です。

それは彼の出世作の『百万ドルをとり返せ!』で
実に巧みなストリーテラーぶりを発揮したからで
それを読んでから先を読む楽しみを感じさせてくれる
作家だとファンになっています。

日本でもたくさんのファンがいるのに、なぜか
彼が逮捕されて刑務所に入るようになってから
その人気も急落したようで、あれほど熱狂的に
新刊が出るたびに大宣伝をしていたのに、最近は
あまり話を聞かない存在でした。

刑務所から出てからヒットがなくなったかのような
ピークを過ぎた扱いでしたが、この本は体験した
刑務所暮らしも十分生かされた現代の岩窟王的な
物語で巧みなストーリーとイギリスの現代の法律
事情が解り興味深いお話です。

日本人としては、イギリスというと現代でも王室が
あり、社会保障がしっかりしているため社会が老朽化
した成熟した資本主義の国というイメージでしょうか。

私は、学生時代の知識より、最近のサッカー人気で
ワールドカップになぜイングランドとスコットランド
が出ているのか不思議でイギリスとはウェールズや
北部アイルランドの四つの国で出来た連合王国と
いうことを知るに至りました。

江戸時代に、各大名がそのまま残って天皇の下に
一つ一つの地域じゃなくて国だよといってひとつに
なったようなものでしょうか。

イギリスでは今でも貴族が残り、その分家柄やら
地域性やら色々と差別されるようです。そういう
古くからある領地と領民のような契約は今でも
あるらしくそれらを守り領主様のためのサポート
として法律制度もあるから裁判制度は古くから
あり、古いものを残すために様々な職業も綿々と
続いて残る結果になったのでしょう。

古い制度がいいとは限らず、古いものと新しいものを
整合させるためにまた新たな法律が必要になり、そのため
政治家も必要になります。古い法制度を守り、地域を国と
認めるその態度はEC連合でも積極的にリードするかの
ような位置の国かと思えば、ユーロにも参加しておらず
かつての主軸通貨たるポンドをなくしたくないのでしょう。

先進国で、王室もありかつては日英同盟という同盟国の
間柄で近しいものを感じる人も多いはずなのに、意外と
複雑な国で四つの国で出来ているということも知らない人が
多いのではないでしょうか。

首相にしても、サッチャー、メージャー、ブレアあたりは
すらすら出てきますが、今のゴードンブラウンはすぐに
でてきません。

それに労働党が政権をとってイギリスも変わるという話で
したが、イラクへの派兵やアメリカべったりは相変わらず
だという感じです。

イギリスもサブプライムまでは景気のいいのを一緒に享受
していたんですから当然といえば当然です。

なぜ日本だけバブル崩壊、失われた10年とさらにリーマン
ショックとずっと冷や飯つづきなのでしょうか。

逆に考えれば、日本やイギリスのようにいろんな法で
がんじがらめで、官僚制度がしっかりとした国は米国の
ような激しい競争の国にはなじめず、国際競争からも
はじかれていくということなのでしょう。

三位一体改革や郵政民営化など打ってきた政策がことごとく
国民のためだったのかという疑問ととにかく現政権NOを
言うことから次の日本を期待する国民に示されるマニフェスト
は余計不安を掻き立てるものばかりという混沌を抜け出せ
ない閉塞感に満ちた夏となっています。

そういう現代にあり、自分の運命とか理不尽な正義と法に
対する救いはこの小説のようなリセットと復讐なのでしょう。
閉じ込められたようなこの改善されない世の中に、こういう
破壊がひょっとして自分の人生でも逆転と転生があるのでは
という期待もちょっと持ったりして楽しくなります。

でも下手な復讐は悲しくなるだけです。

そこでアーチゃーの巧みな腕が発揮され、今後どのような
カタルシスに導いてくれるのかということになるのですが、
それは、百万ドルでも彼の腕は実証済みですから、後半の
下巻もこれから楽しみです。

『名もなき毒』読了

2009年08月06日 09時27分52秒 | 読書
3年前ほどベストセラーになった宮部みゆきの
ミステリーです。

今更ですが、手にはいったので読んでみました。



最初に突然爺さんが死んで、主人公のおじさんとどこで
話がつながるのかと読み進んでくると三分の一ほどで
ここでつながるかと思うと、で、この先どうするのという
展開になってしまいます。

きちがい女が幸福な家庭を妬み執拗に狙ってくるという
展開は気持ちが重い展開です。

そのきちがい女の父親が語る悲惨な出来事でロシア文学に
ある人と土地の物語を思い出しますが、それはあまりに
印象的な人の人生をも左右しかねない物語体験なのに
このきちがい女はあまりにいそうでいそうも無いかわいそうな
感じがしてきます。

全体的に出てくる人は、現実にはいそうでいない人ばかりで
いまいち物語に入っていけないということでしょうか。

そこがミステリーの世界というところで踏みとどまれる
世界観なのだろうと思います。

小説として読んで世間の殺人事件や出来事に感情移入して
しまうとあまりにつらい追体験となります。

全体の半分は、きちがい女に振り回されるまともな大人たち
ということなので、読んでいていい気持ちのものでも
ありませんが、女子高校生との交流や有名コラムニストと
探偵ごっこをしたり、楽しむ要素もあります。

最後は事件解決とともに、すっきりと終わるのかと思えば
新聞小説のためなのか色々と後始末が続きます。

最初から物語に読ませる力がありますが、ここでつながるのかと
なってからちょっとこれからどうするだろうという中だるみ
があり、色々不満なところもありますが、夏の午後を過ごすのに
いい読み物でした。

『プリンセストヨトミ』読了

2009年07月22日 10時08分34秒 | 読書
深夜のバッティングにより、昨日もlost3を
見てしまい、今日も寝不足気味です。

それにハードディスクは見てないものが溜まる一方です。

昨日『プリンセストヨトミ』を読み終わりました。

内容はたわいもないものです。

これもNHK週間ブックレビューで紹介されて購入したものだった
と思います。


読んだ人から、何でもありのとんでも本みたいな内容な
ようなことを言われて覚悟して読んだのですが、経済小説
的な趣ではじまり、戦国時代と現代がリンクして大阪と
中央が戦うのかというような展開になり、父と子とか
いじめとか権力とか色々リンクしていて成り立ちとしては
無理な話ではありますが、そんな色々なことを思い巡らし
読める本です。

情報としては、大阪には古い建物が残るということや
大阪の風情とか興味深いものもありました。

私も先日大阪を訪れて大阪城にも行っただけにこんな
大阪人の思い入れが大阪城にもあるのかと思ってみると
面白い感じがしました。