King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『誇りと復讐』

2009年09月03日 10時31分45秒 | 読書


これは大分前に読み終わっていましたが、色々あり
本の感想を書くこともなくなっていました。

しかし、結構本の感想というのが需要があるらしく
あれどうしたんですかとか、本はもう読んでいないのですか
とか言う人がいて、いえいえ三冊同時に常に読んでいますよ
ということで、これからも見た映像と本については
書いておこうと思います。

『誇りと復讐』ジェフリー・アーチャーの本ですが、あまり広告とか
うわさとか話題になりませんね。最近。

印象としては、国会議員で貴族の称号も持つ作家であり
書く本は飛び切り面白いが、選挙がらみからかいきなり
逮捕から実刑まで食らってから、やはり日本では悪と
みなされあまり表立って取り扱われないというのが現状
でしょうか。

現役の議員なら起訴されることも逮捕されることもない
状況でしょうが、様々な権力闘争の末、警告や実際の
攻撃でも効果なく、ついに表舞台で法的に捕らわれ、
葬り去られたということなのでしょうか。

日本では逮捕され、実刑になったというのは小さく報道され
その後の獄中記の最初の頃はまだ広告が大々的にされて
いたものの、いつのまにか過去の人扱いになってしまい
ました。

私は、百万ドルをとりかえせからのファンでした。

彼の人生は、彼の書く本のとおりの波乱万丈の浮き沈み
紆余曲折の繰り返しでそれはそれで興味深いのですが、
しぶとく切り返してくるところはさすがです。

イギリスは、こういう生き方については、やはり保守的
で、封建的で階級的なものが残っていて、アメリカや
日本のマスコミのように人気があればいいみたいなところ
はなく、日本はそのイギリスの貼ったレッテルをそのまま
受けている感じを受けます。

獄中記は何冊か出されましたが、イメージは暗く希望ある
楽しい共同体のように書くことは許されないので、仕方なく
暗く閉ざされたイメージが作風が変わったようなイメージを
与え、本の売れ行きや彼のファンさえ奪った感があります。

しかし、この本については彼の筆力はそのまま健在であり、
物語の面白さもあることを知らしめました。

ちょっと注目すべきはこの後半の作り方です。

物語の作り方としては、古典的であり、ありふれて物新しさ
もないストーリーですが、ひたすら正義が勝つという物語
や悪がとことんやっつけられるという物語でないところが
リアリティがあります。

悪の人々は、世の中でそこそこ成功していて、やはり底辺の
人々では太刀打ちできないのかというあきらめも後半は
立ち込めます。

モンテクリスト伯のオマージュとか言われますが、それなら
もっと復讐劇に緻密さと強烈さがほしいところですが、
それをあえてやらずに主人公の善良さと成長をえがくこと
で、復讐の持つ意味やむなしさと善良性だけでは世は
評価されないという教訓的な終わり方と教育性があります。

これは、アーチャーが強く感じた刑務所生活での教訓と
言うか世の中へのメッセージだったのでしょう。
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