King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『名もなき毒』読了

2009年08月06日 09時27分52秒 | 読書
3年前ほどベストセラーになった宮部みゆきの
ミステリーです。

今更ですが、手にはいったので読んでみました。



最初に突然爺さんが死んで、主人公のおじさんとどこで
話がつながるのかと読み進んでくると三分の一ほどで
ここでつながるかと思うと、で、この先どうするのという
展開になってしまいます。

きちがい女が幸福な家庭を妬み執拗に狙ってくるという
展開は気持ちが重い展開です。

そのきちがい女の父親が語る悲惨な出来事でロシア文学に
ある人と土地の物語を思い出しますが、それはあまりに
印象的な人の人生をも左右しかねない物語体験なのに
このきちがい女はあまりにいそうでいそうも無いかわいそうな
感じがしてきます。

全体的に出てくる人は、現実にはいそうでいない人ばかりで
いまいち物語に入っていけないということでしょうか。

そこがミステリーの世界というところで踏みとどまれる
世界観なのだろうと思います。

小説として読んで世間の殺人事件や出来事に感情移入して
しまうとあまりにつらい追体験となります。

全体の半分は、きちがい女に振り回されるまともな大人たち
ということなので、読んでいていい気持ちのものでも
ありませんが、女子高校生との交流や有名コラムニストと
探偵ごっこをしたり、楽しむ要素もあります。

最後は事件解決とともに、すっきりと終わるのかと思えば
新聞小説のためなのか色々と後始末が続きます。

最初から物語に読ませる力がありますが、ここでつながるのかと
なってからちょっとこれからどうするだろうという中だるみ
があり、色々不満なところもありますが、夏の午後を過ごすのに
いい読み物でした。
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