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アメリカン・スナイパー

2015-02-24 | 劇場映画れびゅー
外せないクリント・イーストウッド監督最新作、『アメリカン・スナイパー』を観てきました。
★★★★★

戦争の惨状と、戦争によって精神が蝕まれていく兵士の様子。
参戦国であっても、一旦戦地から母国に帰ってきたら平和そのもの。また、戦争をしている裏側では並行して全く平和に暮らしている家族が居ると言うそのギャップの描き方が上手い。
日本に住んでいる俺達にはこれまで話で聞いたり映画で観たりしていた事では有っても、これまでこの映画程それを擬似的に、身近に感じたことはなかった。

正義の名の下に、スコープを通して見ている相手の命を一つずつ確実に奪っていくスナイパー。
母国に帰れば妊娠した妻や子が居て、スコープの向こうには敵ではあっても家族や親子を、その構成を確認しながら危険と感じれば自らの判断で撃ち殺さなければならない。
彼の葛藤や、あいだに家族との満ち足りた生活を挟んでは、繰り返し戦地に赴く度に心の闇は蓄積されていく様子を、本作ではプロデュースもしているブラッドリー・クーパーが真に迫って演じている。
良い仕事をすればするほどに英雄と持ち上げられ、評価はされても心の闇は広がっていくばかりで、戦地におけるPTSDとはこう言うものなのかと観ていて忍びない。

戦争だから、誰かがやらなければならないからと言うのが大儀では有るけれど、この映画で描かれている戦争にしても、現在問題になっている中東のテロ組織の問題にしても、ルーツを辿れば長年に渡る中東におけるアメリカの解決方法に起因しているわけで、こういう英雄が居ても政府の態度が煮え切らないとまた次の悲劇を生み出すだけという辺りについて、とても皮肉に感じながらの鑑賞になりました。

ネタバレ
アメリカではとても高名な英雄なのでしょうけれど、日本にはこう言う戦争の英雄の話はなかなか伝わって来にくく、俺は全く知らなかったもので、まさかの最期に物凄く重たい気持ちでエンドロールへ。
いつものクリント・イーストウッドによるエンドロールの音楽は今回無音でしみじみ…。



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