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96年2月イタリア卒旅編 その7〆

2008-12-13 | リョコウ
七日目、最終日。


この日はローマで一日フリー。
ミラノでの最後の晩餐独占に味を占め、早起きして朝イチで向かったのはヴァチカン美術館。

俺的にはここのシスティーナ礼拝堂がこの旅の目的地。
逸る気持ちを抑えつつ到着したのは、ヴァチカン市国を取り囲む外壁に面した何気ない路地。
こんなところに美術館の入り口があるの?と思ってしまうような、フツーの路地に入り口があり、もう既に数20~30人が列を作って並んでいます。
やっぱりこんな所でまで独占なんて有り得ないよねw

この巨大美術館に初めて来た人がはじめにする事はみんなきっと同じ。
螺旋階段を上から写真を撮ったり、無意味な買い物をしてヴァチカン独自のリラを手に入れてみたり(今はここもユーロなんでしょうか)、独自の切手を買ってここから絵葉書を出してみたり。

それからするのは“教科書で見たことのある美術品巡り”。
そらもう数え切れないなんて言葉じゃ足りない程の美術品、つーか珠玉のお宝の宝物庫状態なので、感覚が完全に麻痺してしまって教科書に載ってない美術品はスルーしてしまいがちですが、どれも日本に貸し出される事は有り得ないものばかりなので、本来は1週間かけてでもじっくり観てまわる価値がある場所なはず。
でもそこまで思い入れが深くなければ、やっぱり半日で駆け足で廻ってしまうでしょう。
そういう俺は…、それこそこの旅から帰ってから日本に○○美術館展なんてのが来るようになったらチェックしに行くようになりましたが、この時はもう麻痺してしまってその価値にも気づいてなかったので、教科書に載ってないものはパス思考。
後で思うと勿体ないばかり。
だいたい時間が全然無さすぎ!

そんなこんなでここには3時間程滞在しましたが、その内1時間はシスティーナ礼拝堂で天井を眺めていました。
言葉が出ない、あの光景は。

「来年も絶対来よう」と決めたのは天井を見上げていた時です。
そんな気持ちで胸がいっぱいになっている人が多い場所だからかフラッシュ撮影禁止なのですが、ドイツ人観光客達はおかいまいなしでバシャバシャフラッシュ撮影してはりましたけれど…。

午前中いっぱいを美術館に費やし、次に向かったのはコンドッティー通り。
ここは『ローマの休日』であまりに有名なスペイン階段のあるスポット。
お約束のスペイン階段でのジェラートは、ここでの飲食が禁止されているので無理っつう事で、「ジェラートがダメならティラミスでしょう」的なノリ(当時日本ではイタ飯ブーム全盛期)で超有名バール“カフェ・グレコ”にてお茶。
このコンドッティー通りもブランド街で有名ですが、一日目のモンテナポレオーネ通りで買物は済んでるので、ここでは買い物に無駄な時間を使う事も無く、お茶が済んだら即移動です。

次に来たのはナボーナ広場。
なるほどー、確かに建物の壁にRが付いてて広場になる前の名残りがあるねーとか、噴水も派手で良いねーなんて思いつつ、もう麻痺してるので「ただの広場やん」と結論付けてさっさと退散。

それから大いなるマンホール“真実の口”のある教会へ。
俺、きっとこれまでの海外旅行の中であのマンホールが一番のガッカリだったかも。
「映画って凄いよねー」と思った瞬間でもありましたけれど。

マンホールにがっかりしながら、ヴィトーリオ・エマニエーレ2世記念堂方面に歩いていた時のこと。
道の向こうから歩いて来た人物と目が合い、お互い同時に声が出ました。
「え?ちょw自分ここで何してんの?!」
もう、ほんまに何してんの状態。
なんと、一年前にやってたバイトの仲間とローマでばったり再開です!
人通りの全くない大通りで。
お互い驚きすぎてたせいか、お互いの仲間が先を急いでいたせいだったか、一言二言会話を交わすと直ぐに別れてしまったのが今考えるともったいないというか、何かの縁なのでせめてその時の連絡先を聞いておきゃ良かった。

前日にバスから見ていたヴィトーリオ・エマニエーレ2世記念堂は、比較的新しい建築物だけれどそれでも作られたのは19世紀。
周囲に在るローマ帝国時代の遺跡と比べるとゴッチャリとしたバロック様式で明らかに浮いてるけど、新しいからって無視するのにはゴージャス過ぎるのが目に付くし、俺はどっちかっつうとフォロ・ロマーノの廃墟っぷりよりもこっちのが好きです。

それよりも大好きなのは、この裏の高台にある市庁舎前広場“カンピドーリオ広場”。
ここはミケランジェロによるデザインっつうのが余りに有名ですが、ローマに有名な広場はたくさん有るけど、この座るところも噴水も無い広場がなんだか一番落ち着くんですよねぇ、ミケランジェロだと思うだけでw
しかも広場から市庁舎の裏側へ回るとフォロ・ロマーノが高台から見渡せる立地。
ここからの景色は古代都市の規模を実感できるし、急ぎの旅ならフォロ・ロマーノはここから眺めるだけで用済み。

イタリアの旅、最後に向かったのはパンテオン。
何度観てもこの建物は偉大。
1900年前の遺跡がそのままの姿で今も建ってるだけじゃなく、建物として機能してる。
中にヴィツトーリオ・エマニエーレ2世とラファエロの墓まである。
木造モルタル、鉄筋コンクリートと、アスファルトの道の世界で育ってきた俺にとっては、この旅でずっと触れてきた石造りの街そのものが新鮮で、そのボリュームと歴史の長さに圧倒されまくってきたけど、このパンテオンの時間の流れの止まったような存在感は、もっとイタリアを知りたいという気持ちをかき立てる。

そんなこんなで初めての海外旅行を終えたわけですが、帰ってから当分の間はイタリア移住を夢見つつ毎年散在する20世紀末となります。



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