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スター・トレック BEYOND

2016-10-25 | 劇場映画れびゅー
スター・トレック』の新シリーズに続いて、『スター・ウォーズ』の続きをも受けてしまったJ.J.エイブラムズ監督は、多忙につき今回は総指揮のみで、『ワイルド・スピード』シリーズのジャスティン・リンに監督を任せてしまった。
一抹の不安を感じながらも『スター・トレック BEYOND』を観てきました。
★★★★★

前作では、見事こちらの時間軸でもカーンに打ち勝ち、ラストシーンで5年間探査ミッションに出たU.S.S.エンタープライズとそのクルー達。
あれから三年経ったところから、物語は始まります。

何のことは無い、不安なんてどこ吹く風で、J.J.の描いた前二作を、映像的には遥かに上回る勢いで大いに楽しませてくれました。

クルーを散り散り状態に陥れて描きつつも、マニアのサイモン・ペグが書いた絶妙なシナリオで、監督お得意の少人数チーム戦が複数箇所で同時進行する展開に持ち込んで描く。
ファンにとっては居て欲しい場所に居て欲しい人がいる、ある意味ご都合主義万歳な、痒いところに手が届きまくりなところがストレスフリー。
カメラがグルグル回りまくって被写体を追いかける映像は、スピード感120%の気持ち良さを伴うアトラクション状態で、脳汁が出そうな勢い。
ジャスティン・リン監督は、見事『スター・トレック』の世界観を自分の物としてオマージュたっぷりに上書きし、さらに『ワイルド・スピード』のセルフパロディー的な演出まで加えて楽しませてくれた。

IMAXのド迫力映像をもってしても、無限の奥行きまでは感じられないのが現在の映画技術の限界なはずなのに、本作では、動きまくるカメラを駆使して風景はどこまでも遠く、宇宙空間は無限に空間が広がっているように感じられたのも凄い。

ネタバレ
特に凄かったのは、透け透けの巨大宇宙ステーションの斬新なデザインを生かして、迫り来る小型宇宙船の群れの恐怖を見せた後、舞台を内部に移して市民が逃げ惑う市街地とその下を進むU.S.S.フランクリンに空中を舞う小型宇宙船のコントラスト、そしてその直ぐ向こうには広がる宇宙空間。
それらが、グルグル回りながら描かれる事によって無限の奥行を感じさせる映像へと増幅され、まさに実体験として感じられる映画として完成しているところ。
エンドロールの最初に惑星間を飛び回る場面にしても、これまでの2作とやっている事は似ていても、迫力が全然異なる。

そう言えば、エンドロールに入る前のナレーションの声が男性から女性に変わっていく演出が有ったのですが、あれはどう言う意図なのかな?

これまでも何度もクライマックスで破壊されてきたU.S.S.エンタプライズですが、前作のレビューで予想した通り今回は早々に壊された上から、さらに追い討ちをかけてボロボロになる迄こき使われた末、あっさりU.S.S.フランクリンに乗り換えられてしまうと言う、なんとも悲しい扱い。しかし、ラストシーンでまた完全に再建されて残り2年の旅路に出たので、次回作では何事もなかったかのように雄姿を見る事が出来るのでしょう。
旧正史のように、再建した後はNCC-1701の後にAと付いていたのが嬉しい。

旧正史と今の歴史の両方に通じるお約束やオマージュ、パロディーが豊富なところはもう一度観てチェックしたいところ。
特にスポックとマッコイの名コンビがようやく復活して、医者なのに医療以外でも活躍し、さらにカークにこき使われてボヤきながらもやるマッコイの姿にはニヤニヤし通し。

ソフィア・ブテラがめっさキレキレの武闘派エンジニアとして参戦して、ラストシーンで艦隊に誘われたのは興味深い。
アントン・イェルツィンが亡くなって出来てしまったチェコフの穴は、今後ソフィア・ブテラ演じるジェイラーが埋めることになるのか。
追悼の意味もあるのでしょうか、本作ではやたらと無駄にチェコフが登場する場面が多く、カークとマッコイがチェコフの事を語りながらブランデーを飲むシーンは、スピード感ばかりのこの映画において印象に残る休憩ポイント。
エンドロールでも、レナード・ニモイへの追悼メッセージとわざわざ分けて、アントン・イェルツィンの名前を書いた辺りにウルウル来てしまった。
未来から来たスポック大使の遺品に、旧俳優陣の集合写真が入っていて、このチームの永遠性を感じさせていただけに本当に残念な事になってしまいましたが、最近のハリウッド映画の傾向から考えて、次回は違う俳優をキャスティングする事はないだろう。
ジェイラーの存在は、来年からはじまると噂されている新しいスタートレックのテレビシリーズとの絡みも気になるところです。

宇宙空間に放たれてしまったアブロナスが、後々に何か起こしそうな伏線を残している辺りが『スター・トレック』らしくて堪らなく良い。
フツーはツッコミどころになりますが、このシリーズにはこう言う緩い放置プレイがたくさんあるから、作り手は想像を膨らませてることが出来て、新たな“歴史”を紡ぎ出せるんですよね。

旧キャストのジョージ・タケイ本人の意思に反してはいるものの、セクシャリティーのリスペクトとして、スールーをゲイとして思いっきり確定した形で描いたのは斬新。
特に演じるジョン・チョーは韓国系の俳優なので、ゲイに排他的な韓国世論の反応が気になるところ。



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1 コメント

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ナレーション (木下信一)
2016-10-26 20:51:37
初めまして。
終わりのナレーションですが、クルー全員が一節づつ朗読しているのだとおもいます。女性はウラ少尉。
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