懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

「川島芳子の生涯」と劇作家・岸田理生

2008-12-09 00:27:38 | Weblog
テレビドラマの「男装の麗人・川島芳子の生涯」は、黒木メイサの神秘的な大きな瞳の意外系男装の麗人が、宝塚系でない男装の麗人像を生んで新鮮な魅力を放っていた。

逆に李香蘭役の堀北の方は、実人物よりずっと凡庸な容姿で鼻白んだ。
李香蘭って、写真ではかなりの美女だから。

なぜかこういう役に限って、実人物に近い美人女優がキャストされない。

ドラマは、TV向きの華やかさが前面に出ていた。

話は変わるが、川島芳子ものとしては、脚本家、劇作家の岸田理生さんの、晩年の作品、舞台で見たものが、異色で記憶に残っていた。

そんなに華麗系ではなくて、物事の本質を追究したのと、戦時の日本の暗さを匂いとして持ってるような、川島の華麗ではない方の臭いも伝わってくるようなものだった。

若い時の岸田さんの、虚構を構築する力で成り立っているような世界とは異質に感じた。戸籍とはなにか、戸籍に縛られることの苦さと理不尽さが結構出ていたように思う。若い時の作品と違い、リアルなのだった。

川島芳子の話ではあるけど、それになぞらえて、「秘密」の岸田さんのなにか生い立ちへの思いにもリンクするのかしらと思いながら見たのを、TVドラマがあって、思い出していた。

でも岸田さん特有の、言葉マジックの世界は顕在だったとも記憶する。

TVドラマもまた、小説をベースに、「男装の麗人」への憧れや幻想へ、最後は飛翔していて、史実の重さより華麗な文化の映像化の方の魅力が勝っていた。
コメント (3)
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