雪の日の晴れ間に写真を撮ろうと森庭へ出た。
カメがあれを、と指差した方を見上げた。
高く伸びた枝が折り重なったところに鳥の巣が乗っている。
このへんでよく鳴いている野鳥かな、と聞くとあの大きさは
小鳥じゃないと思うよという返事、うまいこと作ってるなあ
としばし感心して見ていた。まったくもってかなわない。
樹々は葉を落として枝も幹も丸裸だ。でも寒そうではなくて、
そばに寄ると樹の体温が伝わってきそうだ。生きている証の。
積雪量はさほどではないが、体感温度はキリキリと冷たい。
新しく降った雪の下は凍ったままだ。
雪の白と樹々の灰褐色、そしてたまに見える空の青。
静寂のなか、朗らかな気が満ちている。
時々、どさりと雪の落ちる音がするほかはしんとして。
突然、パーンという鉄砲の音が響く。
その音で俗世に引き戻されるまではこれぞ我が世界と、楽しい。
享楽生活とは異質な、無碍孤独にある楽しさだ。
だから雪に覆われる冬が一年のうちで一番楽園らしくなる。
自然を通して大いなる意志にふれる季節だ。
そして、ここに来て初めて君のいない冬をどう乗り切ろうかと
案じていたけれど、だいじょうぶなようである。
君はいないということじゃなくて、わたしの方が君に近づく
ことができたと、今はよくわかる。
君は自然の一部、大いなる意志に初めから融けていたわけで。
ヒトから「心ある』人へと誘い、
寄り添いながら教えてくれたんだった。
ぷーちゃんの円墳で、ぐるりと足跡をつけながら廻る。
そばにいたときと同じように歌いながら、廻る。
いっしょにいるのと同じ。
雪の日にはしゃいでいたね、子どもだった時も爺ちゃんに
なってからも、雪がとても好きだった。
白く化粧した円錐形、丸みがあるからカマクラみたいにも
見えて、いい眺めだ。
もうじき一年が経つ。