想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

カゲボウシ 如実知見

2008-07-18 23:36:09 | Weblog

 カゲボウシ、輪郭、目に見えるわたしの形。
 わたしが手を上げれば 黒いカゲもゆらりと動く。

 鏡に映せばもっと自分を見ることができるはず。

 ところが、自分で見ている目の前に映った自分と、
 他人が見たわたし自身とは必ずしも同じではない。 

 カゲボウシ、あなたはほんとうにわたしのものか?

 あなたが動くまえに、すでにわたしは動いている。
 ゆらりとあなたが行くまえに
 わたしはわたしのなかで すでに次へ行く。

 カゲボウシ、その形どられたわたしは
 鏡に映るわたしに重なるだろう

 けれども他人の眼に映るわたしはまた
 違うわたしだということ。

 ならば眼は何を映しているか。
 わたしの眼と
 他の誰かの眼とは 同じものを映してはいないのか。




 黒い影絵に隠れて、そっと咲いていた紫蘇の葉。
 その種がどこから運ばれてきたか わたしは
 覚えている。
 流れゆくものの仮の宿。
 わたしが一歩前へ行って
 日向に現れる鮮やかな紫の葉。

 象られないものを 見ている眼
 そのやわらかな視線の元へ
 わたしもカゲボウシも 一緒に傾く

 見えすぎる不幸
 透かして ひっくり返して 一巡して
 カゲボウシの中に あるべきようが立っている
 

 

 

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