想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

朝霜の

2021-12-29 10:38:38 | Weblog
12月8日記
冬はいつかいつかと思っているうち
唐突にやってくるよねと話していたら、
数日後、やってきた。
まだ雪虫も見ていないのに、だ。

寒くて目覚めた朝、庭は一面銀色だった。
とーぜん、ガウンを羽織って裸足のまま
サンダルはいて庭へ。
雪が降った時と同じ、見に行くのである。
それに朝霜のは消にかかる枕詞、
急がねば消えてしまう。



朝霜の消なば消ぬべく思いつつ
いかにこの夜を明かしてむかも
(柿本人麻呂)

思考をコントロールする訓練がある。
瞑想はその基本なので、効果はあるが
本当に思いを整理しきれるかというと、
そう簡単ではない。
しかし思いをひきずっていると睡眠が
浅くなり、昼間もどうかすると勘違いや
物忘れをしたり判断が鈍るという悪い
兆候が表れ、ろくなことはない。



冷たい夜から光満ちる時へ移りゆき
陽の光はささっと霜を溶かしてしまう。
霜は水滴になり土に滲み通り沈んでいく。
その土に立ち、歩を前へ一歩。
忘れるのではなく
消すのではなく
新しい一歩を、歩む。
思いあぐねた結実、もう溶けていい。

人の現実はそうはいかないけれど
執着の居場所などない自然は
眩しくて気持ちよい。

この十日後に本格的に雪が降った。






















コメント
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