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想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

節電で暗かった日々

2021-03-11 11:53:00 | Weblog
十年を節目にしたいなら、
あの日からしばらく節電で消えた
東京の街の灯り、電車内の照明、
イルミネーション、電飾に私たちが
しだいに慣れていき
前みたいにアカアカとしていないのが
けっこう居心地いいなど言い出して
原発の電気はなくても
けっこうやっていけるんじゃない?
などなど世間話したことを覚えているかい

そのうち真っ暗闇を少しずつ忘れていった。

ほどほどを知らない。
行けるならどんどんいく。
いったもん、やったもん、勝ち。
目立つには明るくなきゃ。
暗闇ディナーは単なるイベント
冷蔵庫エアコンはエコタイプで罪ではないでしょ、必需品はないとね
妻が言うからさ
洗濯機のない生活、やれるわけないよね
だからほどほど、電気はいるよ

ほどほどは太陽光パネルの林を造り
福島のあの、美しかった福島の
森を黒く染め、森は樹々を失くし
やがて森は水も失くす

首都圏の人々は今もこれからも
福島を買う
ただし魚、野菜、果物、米、キノコ
九州や西日本からでなんとかなって
福島に森や海がなくてもなんてことない
なんなら、水だって他から買えばいい

遠く、といってもたかが二三百キロ
ひと続き
境目のない空でつながり
ヤマメを自由に獲れない源流から
首都圏の太い河口まで
ひと続き

取り戻しようもない幸福を
狭くなった仮の住まいで夢にみる
欲張りが欲を貪らなければ
こんなことにはならなかった








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きょうなすことはきょうのうちに

2021-03-11 00:10:04 | Weblog
高速道路がところどころ波打って
整備が悪いね
知ったかぶりの非難は
あとで思えばあきれるほどの暢気
先週より少しあったかいねと機嫌よし

山の一軒家へ向かう途中
何も心配なくていつものように
街からどんどん離れていく愉快爽快
パトカーが脇につけ、先へ回り込み
先導されても笑っていた

木々の芽が膨らみ一雨ごとに春が近づく
森までこのまま走る
突然の道路封鎖で渋々止まり
ゆっくり国道を行くも楽しいもの
停電で点滅しない信号機

路肩に止まった車を抜いて
ラジオから聞こえる速報に
ゆっくり頭にスイッチ
赤信号、赤信号……まだ気づかない

もう少しで森の入口、ここを抜けたら
と、突然の壁…土の壁、崖崩れ
生まれて初めて、巨大な崩れに遭遇
引き返して、森への迂回路を探し
よろよろ走る

村のよろず屋兼ガソリンスタンドで
満タンにして、そろそろ走る
森はしんとして、わが家は無事に建っていた
鍵を開け
安堵と恐怖が一度にやってきた。

2011年3月11日の午後2時46分から
少し経った頃が境、高速道路の途中まで、
あの阿呆で幸せな自分に二度と会えない日が始まった。
十年が過ぎた。
高速道路を明日走るのは怖い。












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