想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

国乱れ、神遠く

2012-04-11 11:48:25 | Weblog
森の中も寒いけれど、霞ヶ関あたりはビル風でさぞ
寒いことだろうと、官邸や官庁前にいる人を思いながら
過ごしていた先週末。

朝から降りしきる雪だった。前日にはすっかり雪が融け
春がきたなあと喜んでいたが、甘かった。
ときどきさっと明るい陽もさして期待させまた空は翳る。
ゆっくりふわふわの雪が落ち、10分もすれば地面の黒土は
隠れ、まだらから白へ。そこへまた、さっと陽がさして…。

今度の雪はツブツブでササっと落ちてきて土に刺さるように
落ち、地面を転がる。陽の温みで融け出していた黒土が再び
一面白に覆われていく。

二階の窓からときおり外をのぞき、この繰り返しを眺めていた。
春になったかと東京があまりに暖かかったので錯覚したので、
またなんで忘れるかと思って、なんだかなあ‥アホである。
東京の仕事場に出がけに着て行ったダウンパーカーを置いくる
始末。ここの四月はまだ冬並で、雪がよく降るというのに。

十六年前の四月、初めてこの地を訪れた日も粉雪で風の冷たさに
震えあがった。山の裾野とはいえ、山ひとつづきの森、山特有の
天候と高度のせいで、春と初夏がいっぺんにやってくる。
数日まで淡雪が降っていたのに、桜のつぼみがぐんとふくらんで、
もう咲くんじゃないか、なんて思ってもまた雪が降ってきたり。
桜はある日、開花して驚かせてくれる。

浪江町の山林原野のけっこう広い面積を開拓して住んでいたという
女人がいることをツイッターのリツイートで知った。
ちょっと驚いた。
日々発信されている中身はいまだ住み続けているらしいことと、
放射能の体感であり怒り。嘆く言葉はなく、怒りと告発のつぶやきは
迫力十分で数千人のフォロワーがいた。そこへ加わった。

汚染区域に住民を戻そうと、避難警告解除が行われている。けれど、
除染はこれからなのだ。済んでから帰すんではなくて、帰してから
除染すると言う。
いろんな嘘とインチキを政府は長年繰り返していて、もはや騙されたり
はしない。騙されもしないけれど汚染区域を離れずに居続ける人がいる。
日本じゅう、どこへも逃れられない、もしかしてそういうふうに覚って
しまったからだろうか。

原発列島であることを覚った人は、開拓した自分の土地を捨て
異郷をめざしたとて、生きる術もなくみじめになることを実感
しているのではなかろうか。
除染したいと思って始めた仕事も利権と我欲にまみれた人によって
頓挫した。頓挫してもまだやればいいと軽くは言えない。
あまりにも醜く汚れた人の心は、放射能汚染並みで、簡単に汚れが
とれるとも思えない。
信用という言葉が、木の葉ほどの重みもなく使われる今日‥。

時の神がこれらを裁く時をもたらすことだろう。
ポルポトのジェノサイド、朴政権の韓国、天安門、もっと遡れば
文化革命、そして大日本帝国陸海軍のアジア侵略。すべて破綻し、
時の為政者は弾劾された。
ただ、大日本帝国の幻だけは、いまだ亡霊のようにそこここに
現れ、邪な人の心を支配しているようだ。
日本は神国などではない。
神とは関わりない、愚かな諍いに明け暮れる人の住む国だ。
神は遠のくばかりなり。


コメント
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