演奏会後半はポリーニのピアノでブラームスPf協奏曲第1番。ポリーニはこの間のロイヤルフェスティバルホールでの演奏を聴いて「さよなら」をしたところなのだが、リタイアが相当近い予感がするので、聞き逃すのは惜しいと、出かけた。
直前入手のチケットは前から3列目。ポリーニの指が良く見える。と、今回は、何とポリーニの鼻息と鼻歌の特典付きであった。
第一楽章は、オクターブで音をとる部分の多い、見ているだけで手がつりそうな楽章。ポリーニもいまひとつ精彩に欠けた演奏だったのではないか。若かった時はこんなではなかったのだろうな。一方、アルペジオはとても美しい。
第二楽章のアダージョは美しい。ポリーニもノッてきたのか、余裕が出てきたのか、鼻歌が混じる。第三楽章も、第二楽章からの良い雰囲気を引き継いで、鼻歌交じりの演奏だ。
まだ70歳にならないのに、相当老けた印象のポリーニ。呼吸音(鼻息)がずっと聞こえ、少々苦しそうなのだ。医師でない私が診断を下すことは出来ないが、COPDではないかと推察する。どんな天才も病気には勝てない。どんな演奏人生の幕引きを考えているのか、と思わず考えてしまう。
この曲を聴きながら、先の現代曲は勘弁して欲しいけれど、今更こんな感じの曲を「作曲しました!」と持ってこられても、やっぱりダメな気がした。ちなみに、この曲も初演のときは大変に不評だったとか。
ということは、先の曲も100年くらいすると、21世紀初頭の名曲、になるのだろうか。
いや、ならないほうに100万円くらいなら賭けてもいいな。