Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

ギル・シャハム@ロンドン、ウィグモアホール

2009-10-23 00:30:00 | コンサート

ギル・シャハムの演奏でバッハのパルティータ3番、ソナタ2番、パルティータ2番をロンドン、ウィグモアホールで聴いた。

使用楽器は1699年製の「ポリニャック伯爵夫人」の銘を持つストラド。しかし、ストラドにしては太く艶やかな音、音量も豊かで、少しガルネリのように思われた。(それにしても、あんな田舎娘の名前をこんなに素晴らしいストラドに付けるなんて!)

バッハだからか、ビブラートを多用せず、特に曲の終わりやフレーズの最後など、真直ぐで、恐ろしく澄明な音に思われた。こんな風に自信を持った音を出したい(いつもビブラートをかけて音程を誤魔化す私)。

演奏方法は、右手首をあまり動かさず、また演奏中に舞台の上を前後左右に動くところなども、五嶋みどりの演奏方法と非常に似ていると感じた。果たして家に帰ってぐぐってみると、彼もドロシー・ディレイ門下らしい。早いパッセージで弓も激しく動かす必要のあるときには手首で弓を動かしたくなるものだが、彼は腕全体を弧を描くように動かしていた。今度この方法を試してみよう(無駄な試み?)。

生演奏であるから、ところどころ音程が怪しくなるのは止むを得ないのだろう。しかし最後のシャコンヌは流石。弾いている回数が、恐らく他の曲とは違うのではないかと感じた。曲作り自体は、私の中にあるシャコンヌとは異なる部分も多かったが、早いパッセージの正確さ、速さは流石だ。シャコンヌはとても素晴らしかったので、却って拍手が出来なかった。体から力が抜けてしまったようであった。アンコールを弾いてくださったが、シャコンヌの後には何も要らない気がする。

勿論、恒例の手の写真を撮らせていただいた。本当はストラドの銘を「ポリニャック伯爵夫人」から「ポンパドゥール侯爵夫人」に変更するよう提案したかったのだが、すっかり舞い上がって言い忘れてしまった。残念だ。

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