身死して財残る事は、智者のせざる処なり。よからぬ物蓄へ置きたるもつたなく、よき物は、心を止めけんとはかなし。こちたく多かる、まして口惜し。「我こそ得め」など言ふ者どもありて、跡に争ひたる、様あし。後は誰にと志す物あらば、生けらんうちにぞ譲るべき。
朝夕なくて叶はざらん物こそあらめ、その外は、何も持たでぞあらまほしき。
<口語訳>
我が身死んでたから残る事は、智者のしないところだ。よからぬもの蓄え置いとくのも下らなく、良いものは、心を止めたと(思われ)情けない。むやみに多そう、まして口惜しい。「我こそ得たい」など言ふ者どもあって、のちに争う、様わるい。後は誰にと志す物あれば、生きてるうちにこそ譲るべき。
朝夕なくて叶はない物こそあれ、その他は、何も持たずにありたい。
<意訳>
自分が死んだ後に、財産を残す奴は馬鹿だ。
生前は人前でいいかっこしてたくせに、死んだ後、つまんない物を集めていたのが他人にばれるのは非常にかっこ悪い。下手すると溝上さんに「なんだ。以外につまんない人だったのね」と死んでから笑われてしまうことになる。
価値ある財産なら、なおのこと。その財産が「さぞや心残りで亡くなられたのでしょうね」なんて他人に評価されたら、情けなくて死んでも死にきれない。それに「俺にくれ」って奴が必ずあらわれる。死んでまで争いの種を残すのは、死に様が悪い。化けて出ちゃいそうだ。
死んだらあいつにやろうなどと思う物があるなら、生きているうちにやっちまばいい。毎日のなくちゃならない物以外は残さないで死ぬのがカッコイイ。
<感想>
俺もぜひ死ぬまでには、秘蔵のエロビデオとエロ本を処分しておきたいと思う。
価値ある財産は見事にない。争いは残さない、よかった。
原作 兼好法師