「カラシニコフⅠ・Ⅱ」(松本仁一著、朝日文庫)を読み終わった。設計の容易さと故障知らずの頑丈さから、今や全世界で使われている旧ソ連製のAK47自動小銃の話である。一カ月近くまともに掃除しなくても問題なく撃てたという話は驚異的である。しかしこの取り扱いの容易さから全世界の紛争地帯に拡散してしまい、「小さな大量破壊兵器」と呼ばれる事態を引き起こした。本書が取材するのはソマリアなどいわゆる「失敗国家」と称される紛争地帯である。よくこんな場所まで取材に行ったものである。しかし筆者が説くこれらの国の実情を聞くと寒気がする。警察にも軍隊にも、そして教師にもまともに給料を払えず、国の内部は武力闘争による弱肉強食、漫画「北斗の拳」を地で行く状況が繰り広げられる訳である。そして恐らくは今この瞬間にもソマリア、シリアやスーダンのダルフールではこの書と大同小異の状況が繰り広げられているのである。これらの国からはスウェーデンにも大量の難民が流れこんでいる訳で。。。スウェーデンの難民受け入れの人道主義的措置を間違っているというつもりはないのだが、これらの世界とスウェーデンの現状との落差を考えると、移民とスウェーデン人とで「常識が違う」という問題は如何ともしがたい状況とも思ってしまう。
Wikipedia「AK-47」
Wikipedia「AK-47」