ずっと寝てばかりの休日というのも問題である。六本木ヒルズ内の森美術館で開催中の「建築の日本展 その遺伝子のもたらすもの」に行ってきた。筆者は建築に詳しい人間でもなんでもないので、記憶に残ったバラバラな感想を述べるのみである。
1、本展覧会最大のみどころは「待庵」の実物大の模型である。上写真が実際の模型である。自分も知らなかったが、千利休が実際に作成したとされる茶室は日本にただ一個しか残っていないのである。京都の妙喜庵にある待庵がそれで、山崎の戦いに臨んだ豊臣秀吉のために千利休が陣中に作成した茶室を移築したとか。ただこの伝説の通りであるなら、かなり急ごしらえで作った茶室が何百年も崩れずに残っている事になり、それも凄い話である。
茶室は本当に狭い。身をかがめて入らなければ入り口は入れず、さらに奥の部屋に行くと何とも言えず独特の雰囲気である。なんというか「人と人が1対1で語り合う」ような雰囲気なのである。狭いが何ともつかぬ居心地の良さがあって、これが千利休が意図したところなのであろうか。
Wikipedia「妙喜庵」
2、前回のカトリック関口教会で紹介した丹下健三であるが、その自宅も模型として作成されて展示されていた。下左から1枚目写真参照。
江戸川橋周辺その10
2階部分に居住スペースを設けた独特の設計で、国内外を問わず建築家たちが集うサロンのような空間だったのだそうな。模型だけではあまり伝わってこないが、実際に人が暮らしているところを撮った写真を見ると生活の空間としては居心地がよさそうである。前川國男邸もそうだが、建築家が自分の為に建てた家というのは誰の家でも興味を引く。
江戸東京たてもの園その8
丹下健三については他の建築物についても展示があって、その中でも目を引いたのが香川県庁舎である。彼の初期の最高傑作とされているのがこの県庁舎で、いつか実物を見てみたいものである。
Wikipedia「香川県庁舎」
3、建築家の隈研吾について、「東京オリンピックの新国立競技場の設計を急遽することになった人物」くらいにしか認識はなかったのであるが、調べるとかなり多才な人物である。根津美術館やサントリー美術館も然り、また京王線の高尾山口駅の新駅舎も彼の設計である。そしてこちらも知らなかったのが、彼の建築物が高知県の檮原町(ゆすはらちょう)という町に多数あること。展示されていたのは同町にある「雲の上ギャラリー」という、ホテルと温泉とをつなぐための渡り廊下の模型であるが、これまた独特の建物である。いつかチャンスがあれば行ってみたい。
Wikipedia「隈研吾」
Wikipedia「檮原町」
4、あと興味深かったのは会津若松の「さざえ堂」の模型。以前から知ってはいたが、こうしてみると昔の人の知恵、建築技術というのは大したものだったと思わせる。ちなみに最近になってから類似の建物があちこちに作られていることも最近知った。
Wikipedia「栄螺堂」
5、あと目を引いたのが金沢市の「鈴木大拙館」の紹介。日本での知名度はよほどでは無いかも知れないが、海外に「禅」の思想を広めた人物である。この建物については全然予備知識はなかったが、不思議な空間と言った印象。旅行ガイドなどにはあまり載ってはいないが、一度訪ねてみたい。
Wikipedia「鈴木大拙館」
残りの写真を適当に。下左から2枚目は六本木ヒルズ全景、3枚目が森美術館の入り口、4枚目がヒルズ前の「ママン」という名のクモ型のオブジェである。