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~音楽好き(ニッチーくん改め)マロくんのCD日記や、あれこれ~

259 PINK FLOYD 『THE DARK SIDE OF THE MOON』〈'73 イギリス〉

2012年08月29日 10時28分51秒 | CD日記 '70洋楽編
                     

                     1) (a) SPEAK TO ME
                       (b) BREATHE
                     2) ON THE RUN
                     3) TIME
                     4) THE GREAT GIG IN THE SKY
                     5) MONEY
                     6) US AND THEM
                     7) AND COLOUR YOU LIKE
                     8) BRAIN DAMAGE
                     9) ECLIPSE
              
アメリカのビルボード・チャート200位以内に15年間(740週)ランクインした記録を打ち立てた、ピンク・フロイドの通算8作目のモンスター・アルバム。

“モンスター・アルバム”といって身構えるかもしれません。しかし、現代の観点からすると、「1曲1曲練られていて、アルバム構成もいいですね…」といった印象で、現代の音楽に聞き慣れている人は、特に新鮮味を感じないかもしれません。と言うのも、作品中、聴かれる録音効果などは、現代では普通のものだからです。
おっと、待ってください!私はこの作品にケチを付けている訳ではありません。この作品の凄さを述べるのはこれからです。

現代ではコンピュータなどを用いた当たり前な(?)録音技術などを、コンピュータなど無い約40年前に、彼らはさまざまな工夫を凝らし、作り上げたのです。
例えば、1) は心臓の鼓動でフェイド・インする曲。人の心臓音を録ったものが使えるものではなかったため、ここでの心臓音はバスドラムで再現され、録ったものだとか。
また3) は、多数の時計の時報が鳴る幻想的なオープニング。この音源は、アンティーク時計の店に足を運び、時計が鳴るのを
1つ1つマイクで録音したというエピソードがあります。
5) は(旧式の)レジスターの音が繰り返し聞こえてきますが、現代のようにコンピュータのサンプリング等が無い時代なので、レジスターの音を録り、それを繋ぎ合わせて長いエンドレス・リールテープを作る。これを再生すれば、今のサンプリングのようになる…、といった具合。
他にもいろいろあるようですが、現在の手法と違い、実験をしながら、手間を掛けて作り上げた作品なのです。
発売当時の観点では、それはそれはすごい作品だったことでしょう!
しかし、現在聴いてもクォリティは高く、古臭さを感じまさせません。今では当たり前(普通に)使用されていて、簡単に(?)できる録音技術を、40年程前、ピンク・フロイドは工夫を凝らし、やり遂げました。創意、工夫の上で制作されたこの作品は、現在でも、輝く名盤となっているのです。
そのような背景を知って聴くと、このアルバムの奥深さが見てきます。

音楽誌等では、アナログB面の5)~9) が評価されていますが、私はA面にあたる1)~4) の流れが好きです。
2) は空港をイメージした、イマジネーション曲(効果音曲)。飛行機が飛ぶ音をシンセサイザー(←当時ものは、今のものと少し異質な楽器だった)で再現。右→左、左→右とスピーカーを駆け巡る音にはドキドキします。また最後の爆発音にも、鳥肌が立ちます。
4) も大好きな曲。少し寂しげなピアノメロディが鳴り響き、そこで、ゲストに迎えたソウルフルな女性Voが、
“アァ~~~アァ~~~♪”と即興で歌い上げています。これがジ~ンとくるんですよねぇ。レコーディング中、彼女は熱を帯びたのか、喚くような声を上げてしまい、やり過ぎをメンバーに詫びたようですが、逆にメンバーたちは彼女の声に感動したというエピソードもあります。

日本のプログレバンド、四人囃子のドラマーの岡井大二氏は、二十代の頃、毎年元旦はこのアルバムを爆音で聴くのが習慣だった、と語っているように(←レコード・コレクターズ 2011年10月号に記載)、奥の深い特別なアルバムなんですよね。
私は夜、電灯を消して部屋を暗くして聴いたことがあります。趣が出るんですよねぇ。(笑)
あと、大型のヘッドフォンで聴くとまた感動が深まります。

2011年に、このアルバムのデラックス・エディションが登場し、DISC 2には、このアルバムを再現した未発表のライブ音源が収録されていました。こちらも楽しめる音源でした。

[CD日記 '70洋楽編 # 47]
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