魔法というものは
おとなしい日常に
仕掛けられた秘密の箱
リボンもついてないし
捨てられてしまいそうに
ちいさな古いひとつの箱
閉じられた箱のなかで
蝶が羽化しているかもしれない
行くべき島の地図や
眠っていた歌が
一度もあけられないまま
書かれているかもしれない
魔法はめだつことを嫌い
秘密を解かれないまま
永遠に生きることを望み
春吹く風にのって
かたちを変えて生きている
とどまることも
どこかにいくことも
どちらでもいい
こころがのぞむことなら
はるがくれば
ゆきがとけるように
それがしぜんなこと
とりがとぶように
はながさくように
だれもとめられない
それがしぜんなこと
まず空っぽになることだ
あしたに行くため
荷物をおろせ
靴のひもを締め直せ
きれいなものを
すてきなものを
探すために生きている
扉のかぎは一つじゃない
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めくる朝はもうすぐだ
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