みっけたよ

みっけみっけ

みっけたよ

あたらしいけど

なつかしい

すてきなものを

みっけたよ

うさぎのように

とびはねて

ことりのように

うたうのさ

みっけみっけ

みっけたよ

小鳥の旗

旗をつくる

一羽の小鳥を描く

まるくてちいさなからだに

黒い野生の眼が光る

小鳥の旗をかかげて

わたしの舟を出す

風にのって

わたしの小鳥が

空と海に飛びたつ

小鳥が見あげるその先に

仲間の星を描こう

よろこぶ小鳥が身震いをする

波と雲とが笑いさざめく

植物とおなじ

さよならは

ちりつもる花びら

数えきれない

その花びらをかきわけて

わずかな光に手をのばす

植物とおなじ方法

湖のために

帰り道

アスファルトの上で

思ったんだ

誰のためでもなく

自分のためでもなく

このなかにある湖

空を映す鏡が

濁らない

それだけでいいと

街灯の白い光の下で

思ったんだ

ぽてぽてなのさ

ぽてぽてさ

ひるねのように

あくびのように

どうにもならずに

ぽてぽてなのさ

さいぼうのなか

じかんのながれ

はやくうごかず

ぽてぽてなのさ

てをのばしたら

たまごのからが

あたる日がくる

もうすぐくるさ

ぽてぽてなのさ

冒険

冒険は

自力の物語　

敵は乗り越える壁

仲間はみつけた宝

目に焼き付けたものが

そのひとそのもの

無限

もう

変わっていいんだよ

かたちは

ひとつじゃない

星だけが

地図をひろげても

時間の無駄

道もその行き先も

まだないんだから

ひとの地図は

あてにならない

星だけが

わたしの灯台

小鳥の喉のように

まるで

小鳥の喉のように

やわらかい

あたたかい

なにかをまもる

そのために

今日を捨てず

そのために

明日を受けとる

風 暴走中

風　夜まで暴走中

星　吹きとばされるなよ

風　止まれない龍

夢　遠い場所で芽吹く

風　地球を転がす

記憶　深く波打つ

初夏である

色がこぼれる初夏である

あたたまりきる昼である

蝶がひなたをよこぎる

樹の香りがふってくる

進むも戻るもどちらの向きか

わからなくなるときである

ひとりのひとのそのなかも

かたちを変える初夏である

ほうっておいても

ほうっておいても

月は満ちて欠けるのだろう

ほうっておいても

会うべきものには会うのだろう

ほうっておいても

知らぬ間にはじまるのだろう

ほうっておいても

うまれたからには死ぬものだろう

ほうっておいても

意味なんか剥ぎ取られてなくなるのだろう

ほうっておいても

あの星空の一部の塵になるのだろう

ほうっておいても

そのなかでもういちど会うのだろう

転んだら

転んだら

ぜったい

いいことあるんだからな

ひざ擦りむいて

ばんそうこう

勲章なんだからな

五月がきたね

五月がきたね

細い路地には

ブロック塀からせり出す花

こぼれる香りのかたまり

いま　

誰かに話しかけられた

この白い花だね

とめることもできず

ひらいてしまった花

遠い雪

雪だ

雪が降ってる

遠い

遠いところで

降りつもる音

すいこまれる音

あれはわたし

手のひらにとける

あれはわたし

雪というかたちの

つめたいたましい