お母さんの羽

ヒナは　

お母さんの羽に守られて

眠ります

だから　小鳥は

お母さんの羽の色が好き

だって　とっても

あんしん　だもの

ヒナは　

お母さんの羽に守られて

空を飛びます

おとなになっても

いつまでも

いつまでも
　
お母さんの羽に

守られています

旅立つ心

あまりにも

あまりにも

ただよう心が

いっぱいだ


波間に揺れるたましいは

ちかちか光るたましいは

どこへゆけば　いいのだろう


これから旅立つ渡り鳥

道を教えてあげてくれ

静かな海をもういちど

旅立つ心に見せてくれ

おおーい

おおーい

元気か

元気なら　いいんだ

それだけで　いいんだ

届けば　いいな

おおーい

元気か

花と唄の意味

花は　なぜ　咲くの


たくさんの花を

手向ける


花は　そのために

咲くのです


唄は　なぜ　あるの


たくさんの唄を

手向ける


唄は　そのために

あるのです

種のことば

小さな種は

おひさまに会うため

昼も夜も

闘っている

おひさま

もうすぐです

あなたが　

だいすきです

祈り

祈るしか
できない
いまは
それだけ

ちかいきもち

抱っこされてる犬

抱っこしてるひと

ぴったりとひとつ


ほんとうに

安心なのね

おんなじものを

見てるのね


きもちがひとつで

しいんと静か


しあわせと

さびしさは

こんなにも　

ちかいのね

遊ぼ

遊ぼ　遊ぼ　　

せっかく　この世にきたのなら

どこまでも　大真面目に　遊ぶ

それが　

命の　礼儀　と　いうものだ

遊び疲れて　眠るまえ

その目に映る　夕焼けは

どれだけ　きれいな　ことだろう

花を活ける

花を　活ける

その花は　買ったものでなく

歩いて見つけてきた

ちいさな　花

花の時間をいただいて　　

空に　地に　水に　

花を　活ける

雪の日の犬

雪だ　雪だ

ふわふわ　白い

綿毛みたいな

おおきな　雪だ

雪だ　雪だ

わたしのなかの犬が跳ねる

わたしのなかの犬が走る

犬は空向き　口あけて

雪をうけとめ　笑うんだ

小さな羽

小さな羽があるのなら

ぱたぱた　飛んでみればよい

空より地面が近くても


小さな羽があるのなら

まいにちひとつの冒険を

木の実をみつける時のように


小さな羽があるのなら

小さなさえずり　風に乗せ

どこかの誰かに届くから

涙

涙は　呼び水

地底で眠っていたものを

呼び覚まし　動きを与える

涙は　雨

かちかちに　乾いていたものを

ゆっくりと　潤して

小さな緑を　芽吹かせる

暖炉があれば

いいこ

いいこ

みんな　いいこ

冷たい風が吹く夜に

外で震えているのなら

いいこ

いいこ

みんな　いいこ

ものみなすべてを暖める

暖炉があれば　いいのにな

どのこもみんな　あたたかく

眠りにつければ　いいのにな

いっぽんの線

いっぽんの線をひく

力を入れたり抜いたり

くるくる輪にしたり

きざきざにしたり

花丸にしたり

ひたすら細く震えたり

ついつい弾んではみ出したり

それでもこれは

いっぽんの線

決してとぎれず

わたしは　線をひく

どのような一日であっても

わたしは　わたしの　線をひく

予感

湖が　しんと　静か

水面に　映る　月が　

まるく　潤んで　浮かぶ

わずかな　波は

あふれた　きもち

わずかな　風は

ちいさな　予感