
今泊の集落の中を広い道路がかつての馬場跡である。

公民館の前にそびえる 「 コバテイシ 」

今泊公民館
今帰仁村の今泊は、今帰仁城跡から降りてきた国道505号線から海側に栄えた集落で、
その馬場は、 ( 旧・親泊 ) の 「 大道 」 と呼ばれた馬場である。
この馬場は昔から「ナチジンウェールマイ・ンマーイ」( 今帰仁親泊馬場 ) と言って、
沖縄でも有名な馬場であった。
そんな今泊馬場は、海に近いこともあってダート ( 砂 ) の馬場で、
その長さは250m、幅12~13mあったという。
琉球王朝時代、当地を訪れた三司官 ( 執政 ) 、
蔡温 ( 1682―1761年 ) が 「 戯馬台前会萬人 西風吹起馬蹄塵… 」 ( 馬場の前に万人集う。
西風吹いて馬の蹄が塵を舞い上げる)と漢詩にした由緒ある競馬の舞台である。
作られたのは三山統一(1429年)前の北山時代とされるから
本島の馬場の中でも最古の歴史を持つが、
平良真地同様、戦後、道路に変わり、当時の面影はない。
道の傍らには樹齢三、四百年の落葉樹コバテイシ(クヮディーサー)の巨木があり、
集落の人や馬が木陰で涼をとりながら、
馬の走りに固唾をのんだと伝えられるこの老木は
競馬の光景をいまでも記憶にとどめているのだろう。