今日は花粉が始まっているので近くを散策。家族でパンを作っている小さなカフェに立ち寄る。パンとコーヒーの昼食である。中に入ると誰もいない。突然音楽が流れ始める。それが戦前か戦後すぐかの時代物のジャズ。ご主人、いや奥様の趣味なのか。お姿を拝見してもどうしても結びつかない。意外な感じである。SP盤のような音を出しながら女性シンガーが歌っているが、やや気だるい雰囲気を漂わせた音楽で、お昼ではあるが人気のないカフェによくマッチして非常によい。曲名は一つもわからなかった。
その音楽を聞いていると一つの情景がすぐに浮かんだ。数年前、仕事で滞在していたストックホルムの夕方。裏町の裏通りだったか、東欧出身の人 (ハンガリーだっただろうか、今は思い出せない) がやっているレストラン・バーに入った。異邦人の経営するそのお店の装飾が歴史物で埋め尽くされ、その瞬間に異空間に引きずり込まれるような錯覚を覚えた。怖さも感じた。その時に流れていたのがこの音楽である。場所と時間を超えて歴史の中のどこかを彷徨っているような不思議な体験をした。音楽がなければもう少し違った時間になっていただろう。
健康的な日の光を浴びての昼食であったが、頭の中はその時の気だるい、やや不健康とも思える時間を追体験していた。今日音楽が流れていなければ、スウェーデンでのことも思い出すことはなかっただろう。昨日の話と少しは繋がっているのか。
私も日常生活のあらゆるシーンにおいて、音楽の効用というか、影響を数多く受けているように思います。癒されたり、励まされたり、、、
落ち込んでいるとき、ジャズ音楽のパワーとエネルギー感に力付けられたことも多いですね。