普段は新幹線の切符を地元の駅で買うのだが、その日は列が長く全く流れていなかったので、東京駅に出てから買うことにする。東京駅では列はあるものの、まさに流れる如く捌かれていた。私が行った窓口は若い化粧気のない小柄な女性が担当している。その作業を見ている時、私の中で何かが起こっていた。
行き先のキーを叩くところから乗り継ぎ駅をチェックし、チケットが出てくるのを待って私に渡してくれるところまで、体全体が小気味よいリズム感に溢れていて、普段の窓口では感じたことのない心地よさを覚えていた。彼女の注意がそのすべてに途切れることなく向けられて、彼女の全霊を傾けてのプロフェショナリズムを見たように感じたからだろう。それと同時に、余りにも機能的に体を動かしているので少し気の毒にも思えてきた。何か機械の一部のように見えたからだ。もっとゆっくりやっていただいてもいいのですよ、と心の中では言っていた。