今回のフランス大統領選挙の後、社会党の中枢からサルコジ政権に乗り換えるという現象が見られたことから、最新の LE POINT では 「裏切り者」 Les Traîtres を特集としている。ある現象が起こった時に、その周辺事情を詳しく調べるということは普通に行われるが、フランスの文化に触れるようになってから、そこに存在する根源的な問題についても考えるところがあることを感じてきた。今回の例で言えば、それでは一体 「裏切りとはどういうことなの?」 という問の出し方をする。それは必然的に哲学的な問になるざるを得ない。どうも、そういう問の出し方をわれわれはしないようだ。ひょっとすると、このようなものの見方、考え方の違いに触れているうちに、私の精神は次第に開いていったのではないだろうか、などと考えていた。
この特集の中で、以前に取り上げたことのあるお二人が語っている。一人は精神科医のボリス・シリュルニク Boris Cyrulnik さん。もう一人はアラン・フィンキールクロート Alain Finkielkraut さん。明日から彼らの声に耳を傾けてみたい。