昨晩、テレビの歌番組で伊東ゆかりさんが 「小指の思い出」 を歌っているところに居合わせた。この歌は私の青春時代の思い出の歌になっている。切っ掛けは思い出さないが、とにかく気に入ってしまい 「恋のしずく」 とともに長い間愛唱歌になっていたことを、何年か前に母親が思い出させてくれた。お恥ずかしい話だが、この歌を口ずさみながら学校に通っていたという。自分の内側からの観察から生まれた記憶とその時の表現型にギャップを見出す時、いつも新鮮な驚きを感じる。
これも何年か前、彼女のコンサートに顔を出してみた。余り周りを気にしない、競争とは無縁の、のんびり行きましょうというような彼女の人柄が滲み出てくるようなコンサートで、彼女が歌いながら客席に出てきてこちらの方に顔を向けると、なぜか自分だけが見られているような錯覚に陥っていた。ファン心理とはこういうものなのか、と思っていた。久しぶりにこの歌を聞きながら、すべてを許せるような気分になっていた。