作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 不毛地帯(2) 】

2010-01-12 12:02:38 | 02 華麗な生活

年末年始のテレビ特番がいまだに続いていて、毎週木曜日
に放映されていた「不毛地帯」も続きを見ることができずにいます。

さて劇中で壱岐正として登場する元大本営参謀は誰が見ても
実在した瀬島龍三氏がモデル。
原作者の山崎豊子さんが、いくら「頭の中で創った人」と
言っても、「そのまんま」じゃないというだけで、これは作家
としての道義の主張。

ボクの「炎の商社マン」にも大勢の人物が登場するが、
その殆どにモデルらしい人物が存在した。
モデルなしに人物像を一から創り出すのはムリですよ。

さて近畿商事ならぬ伊藤忠に入社した瀬島氏はいきなり
繊維部に配属された。
その意味不明かつ何の意義もない。
原作者の書くとおり、大阪船場の小商人相手の丁稚・手代の
小商売。
伊藤忠の越後正一社長が瀬島参謀を敢えて繊維部に入れた
としたら、こんな労働集約的な商売に多くの人間を使っている
現状の虚しさを知らせたかっただけであったろう。

ボクは殆ど同時期に22歳で伊藤忠の同業の一社に入社
したのだが、社員の半数以上が繊維部門配属で労働集約的
な非近代ビジネスだったことに変わりない。

伊藤忠との違いは内地ビジネスが少なく、その分輸出が
多かったぐらい。
輸出といえば格好は良いが、大勢派遣された駐在員の
多くが、現地でインド商人やアラブ商人を相手に繊維製品や
織物を売っていた。
そんなことに貴重な外貨を無駄遣いしていた。
22歳でそのことの無意味と不合理に気が付いたのが
ボクという人間の不幸のはじまりだった。

丁稚根性の上司(ただの年長者)のイジメの対象になって
当たり前であった。
繊維部の空気を少し吸っただけで、国家防衛の大儀を担う
戦闘機ビジネスに抜擢された瀬島氏の物語もいいが、
繊維の内地ビジネスから抜け出して、ヨーロッパを舞台に、
先輩が誰もいないニュービジネスばかりをやって稼ぎ頭に
なった中原信介の物語はもっと面白いし、より多くの
サラリーマンの参考になる。


                   パパゲーノ


                         

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