それが地獄の日々のスタートを告げる出来事であった。
いくつもの整形外科を訪れた。ひとりじゃ歩けないから
社員の肩を借りてよろけながら行った。世の中にいかに
同病の患者がいるのかを知った。大半が老人であった。
誰でも名前を知っているはずの大病院の扱いが最も
ヒドかった。
さんざ待たされたあげく、ようやく名前が呼ばれたが、
まだ学校を出たばかりと見える若い女医は、カルテに
最低必要事項を書き込むだけで、あとはレントゲンの
撮影を指示するだけであった。
昼食の時間を妨げられた技師はそのイラダチをボクに
ぶつけてきた。
立つこともままならぬ状態のボクに「真っ直ぐに立てよ」
と命令形で怒鳴り、角度を変えて十数枚もの写真を撮った。
その翌週に部長先生の診断があるからと言われて
帰された。若い女医は単なる受付の役を果たすだけの
役割の模様であった。
約束の日時に別の医療機関で撮ったMRIのフイルムを
持参して行ったが、そのMRIは無視され「改めてウチで
撮り直す」と厳かにのたまわれた。
驚いたことに、先週十数枚も撮ったレントゲン写真が
一枚も無かった。あれは一体何のための撮影だったのか、
単なる点数稼ぎを超有名病院がやるのか。
ボクは遠慮なく部長先生にその点を質した。
持参のMRIを見ようともしない点も併せて、この事実を
天下に公表するぞと居直った。部長先生は態度を豹変し
深々と頭を下げて謝罪した。この病院では全くラチがあかなかった。
パパゲーノ
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