作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 あの日あの時(5) 】

2010-01-19 18:31:01 | 02 華麗な生活

神戸市民になって二十年にもなるのに、三宮・元町といった
中心部から西にはあまり足を踏み入れたことがない。
せいぜいが湊川神社の辺りまでである。

そんなボクが震災の二日前となる15日に、長田区内を
相当に走り回っていた。
当時すでに93歳になっていた父親が、ボクが新規購入した
超高層マンションなるものを見せろと言ってきて、なんでも
長田区の中華料理店で県知事を囲む会合があり、そこまで
迎えに来てくれと言われたのであった。

マイカーでいったのだが、駐車の場所がみつからず、
やむなく村野工業高校の裏門の辺りに停めて、迎えに
行ったのだった。その二日後に村野工業高校はこの辺りの
遺体置き場になるのだが、そんなことの予想があるわけもない。

父親は若いとき、大阪で繊維商社に勤めた経験があり、
なぜか神戸の町にも詳しかった。
あそこはどうなった、などと聞かれ、見せるのが早かろうと、
菅原市場の界隈もゆっくりとクルマを走らせたのだ。
もちろん、その二日後にこの界隈が一面の焼け野原になる
なんてこと、想像もしていなかった。


                   パパゲーノ

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