日本での歳末の音楽界と言えば、ベートーベンの第九と
決まったものだが、ヨーロッパでは、第九は滅多に演奏されず
ワルツ王ヨハン・シュトラウス作曲の「こうもり」が演奏される。
兵庫県立芸術文化センターでの、佐渡裕指揮の「こうもり」
は演出家広渡勲の面目躍如というべき世界で魅了してくれ
た。23日(土) のマチネーに行ったのだが、観客席に入った
途端、はて「こうもり」にピエロが出たかしらと思わせる、二人
のピエロがお出迎え。加えてパーティーの主催者ロシアの
貴族で石油王、オルロフスキー公爵に扮したかの立派な
身なりの紳士にも挨拶されて、すでに気分はウィーンに
飛んでいた。
三年前に佐渡・広渡のコンビで「メリーウィドウ」が公演され
たのだが、今回の「こうもり」では、二人の悪ふざけ?が
エスカレートして、誠に華やかで、かつ奇抜な、おそらく世界
でも初めての「こうもり」の世界に引きずりこまれた。
通称ニシキタのゲーブンの大ホールの舞台が、こんなに
狭かったかと思わせる大人数の華やかな衣装の出演者
たちが現れる。本物のバレエダンサーが要所に配置されて
いて、数々のシュトラウスワルツの踊りの世界に。
三年前にも起用された桂ざこばが、今回は狂言回しの役回
りで大活躍。今現在の話題を、ふんだんに取り入れながら、
二幕物に仕立てたお芝居の筋を語って聞かせる趣向は
大当たり。
時事問題を取上げて、「九州男児でB型の人は」とか言い
ながら、手を上げた人の方にシャンペンを持って行く。
「なんや女やないか」で会場をドッと沸かせる。
「政治やけれど菅はあきまへんなあ」とか
「何やて、阪神タイガースがなでしこジャパンに完敗てか」と
いった類のアドリブが多い。それでもこの喜歌劇の筋を巧み
に導く、道化役として立派に勤めあげた。
パーテイの主催者、ロシアの公爵役は舞台では別人が
登場した。男声のオルロフスキーは、ボクは初めて。
この芝居、一回や二回見た程度では、なかなかストーリーが
分かりにくいのだが、その点でも今回のざこばは佐渡の
眼鏡に叶ったのであろう。
最後の方になって、本来この「こうもり」には関係が無い、
「会議は踊る」の主題歌が歌われたり、シュトラウスの父の
方が作曲した「ラデツキー行進曲」で観衆が手拍子で参加
するなどの趣向が盛り込まれ、たいへん楽しい舞台に大いに
ウィーン気分を味あわせてもらった。
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