二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ヴァルハラの乙女 第3話「原作開始Ⅱ」Ⅱ

2014-02-16 11:02:12 | 習作SS

ネウロイは光線をこれでもかと放ってくるが、
攻撃するさいに一箇所に留まらず小刻みに動くことで回避している。
やむなくシールドを使う時も出来るだけ長く足を止めないように努めている。

「リロード!」

シャーリーが装填の合図をする。
その間にわたしが前に出る形で火線を絶やさないようにする。

「装填完了!」

そしてまた2人で高速でネウロイの周囲を旋回し鉛弾のシャワーをネウロイに浴びせる。
連装MG151/20機関砲はこれまでのMG42と比較して使う方として反動が大きく、
いくら魔法で強化された筋力で押さえ込んでいるとはいえ、流石に体に響く反動はややつらい。

おまけに背中には【原作】の第2期ではジェットストライカーユニットと共に、
登場した30ミリMK108機関砲を1つ背負っており、弾薬ともども重いことこの上ない。

だが、その分の労力は報われている。
MG151/20は口径が20ミリで【原作】で一貫して使用されたMG42の7.92ミリ、
と比較すれば物理的に遥かに威力は増大している、しかも炸裂弾を使用するため威力はさらに割り増しとなる。

【原作】ではドラマCDによると補給が追いつかない、という理由で登場しなかったが、
どういうわけかわたしがいる世界では【原作】で登場しなかったTa152共々わたしの元にある。

どのような原因でそうなったかは、分からない。
しかし、わたしのこの新しい玩具を手配した人物には感謝しよう。

ん、今ネウロイが赤く光った?

「コアだ!」

シャーリーが叫ぶ。
その言葉に改めてネウロイを見る。
一方的に殴られたため、ボロボロと崩れ白い結晶のような破片を落とすネウロイ。
その中央部に赤い宝石のような物が露出していた、太陽の光に反射してチカチカと赤い光が漏れている。

「ああ、終わりだな」

どうやら、わたしの【原作】介入は成功したようだ。
艦隊の被害も駆逐艦数隻が未だ無傷で『赤城』も航行中で宮藤芳佳が出る幕はないだろう。
そして、ネウロイはわたし達に背中を見せ、欧州大陸へ向けて撤退する航路を取る動きをとった。

無論逃がす心算など当初からないため、即座に追撃する。
今度は生き延びるために必死に光線の弾幕を張るネウロイだが、
どうやら先程から脅威度が高い追撃するわたし達に集中するあまり正面にいる彼女に気づいていないようだ。

『2人共、感謝する。
 だからここで終わらせよう』

坂本少佐だ、
彼女は軍刀を上段に構えネウロイの正面で対峙していた。
今更ながら自分の正面に天敵の魔女の存在を認識したネウロイは光線を放つ。
が、急に認識したせいかまばらでどれも明後日の方向へ飛んでゆく。

坂本少佐は動揺することなかった。
閉じた眼を見開き、静かに息をすっ、と吸う音を、
わたしは無線越しで聞き取ると彼女は雄叫びとともにネウロイに突貫した。

『おおおおおお!!!』

ネウロイは距離的に回避することも、光線の弾幕を張る余裕はなく。
ただ坂本少佐の斬撃を受けることを待つだけの存在へと成り下がっていた。

少佐がネウロイと衝突すると思われた刹那、
上段から振り下ろされた軍刀がネウロイの漆黒の装甲に接触。
まずは火花が散り、次に装甲が破壊されれ白い結晶が周囲に飛び散った。

相対速度に従い少佐はそのままネウロイを両断するかと思われたが、
ネウロイが少し上向きに動き、完全に両断することは出来ず少佐は飛び出した。

それでもネウロイからすれば兜割りを受けたような姿、
つまり真ん中から一直線に半分以上割れている有様でコアも破壊されたらしく、
ネウロイはその機能を停止させ、急速に高度を落として崩壊しつつあった。

「すっげー!流石坂本少佐、ネウロイを斬っちまったよ」

まったく同意である。
銃火器で攻撃するよりも、ああした物理攻撃の困難さは比べようにない。
三次元空間を移動する目標に斬撃を叩き込む技量、何よりもネウロイと事実上密着するまで接近する度胸。

それらがなければ実現することはできない。
こうして見るとなぜ【原作】で坂本少佐が尊敬されていたのか改めて理解できる。
















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ヴァルハラの乙女 第3話「原作開始Ⅱ」Ⅰ

2014-02-15 19:44:26 | 習作SS

「騎兵隊参上、といったところかな少佐?」

あ艦、坂本少佐が『リベリオンの映画なら騎兵隊がくるのだがな』
と無線越しで呟いているのが聞こえたからつい言ってしまった。
今更ながら臭い台詞で顔が赤くなるのが自分でも分かる。

現に横にいるシャーリーが、
「うまいこと言ったな」と言いたげにニヤニヤと笑みを浮かべていた。

しかし、相変わらず大型ネウロイは硬い。
20ミリMG151/20機関砲の連装タイプで撃ち込んだがまだ悠々と空を飛んでいる。
実際、お返しとばかりにこっちに光線が雨あられと飛んで来ている。

「先に少佐と合流する、
 最大速度でネウロイの脇を抜けるがいけるか?」

「私に加速魔法があるのを忘れているのかい?」

まずは坂本少佐と合流する。
その際位置的に坂本少佐との間にいるネウロイの脇を通らなければいけない。

しかし、わたしの『Ta152H-0型』の最大時速は760キロ、
シャーリーのストライカーユニット『P51』の最大時速は703キロと足並みが普通なら揃わないが、
彼女には加速魔法があるのでわたしの速度についてこられるので、わたしの質問に頷いて見せた。

「よろしい。今からカウントするから、
 0になったら一気に行くぞ3……2……」

魔力をストライカーユニットに一定以上注ぎ込む、
大量の魔力を食らい、魔道エンジンから爆音と漏れ出す。
さらに、魔力は運動エネルギーへ変換されつつあり、加速への準備が整いつつあった。

「……1……0!」

そして、注ぎ込んだ魔力がMW50水エーテル噴射装置を経由して、
エンジンに水エーテルを噴射した刹那、わたしは時速760キロの世界に突入した。

冷たく鋭い風が顔を叩くが、
それよりも雲が続々と視界の脇に押しやられ、過ぎ行く景色と爽快感がとても心地よい。
青い空に飛行機雲を描き、まるで天使が後押ししてくれている気分だ。

そんなわたし達にネウロイからさらに光線が降り注ぐ、
まるで東方の某弾幕ゲーのような光景で避けるのは困難であるように見えたが、
少なくても足を止めない限り当たる事はないのを知っているので、ただ加速して進む。

ネウロイの横を通り過ぎる際、光線がわたし達の横から追いかけるが、
偏差射撃も追いつかず、わたし達が通り過ぎた後から光線が飛ぶありさまである。
そして、ネウロイを通り過ぎると、孤軍奮闘していた坂本少佐に合流した。

「バルクホルン、そしてシャーリー。
 よく来てくれた、見ての通り『赤城』と駆逐艦数隻を除いて壊滅している。
 早速すまないが2人は速度を生かして囮になってくれ、その間に私がネウロイのコアを破壊する!」

「了解した」

「了解!」

久々に会ったことで積もる話をしたい所であったが、
残念なことにここは戦場であるために、軍務が優先される。

何よりも返事をした次の瞬間、
休む間もなくネウロイから唸り声と共に光線が飛んで来た。
わたし達は散開すると、シャーリーと2人でネウロイの周囲で旋回し盛んに鉛弾のシャワーを浴びせる。
的が大きいこともあって外れる弾はなく、続々と命中しネウロイが悲鳴を挙げた。




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おススメSS 金剛(壊)  

2014-02-13 19:00:07 | おススメSS
金剛(壊)

今話題の「艦隊これくしょん」のSSを紹介します。
内容は『金剛に現実から憑依』してしまう憑依ネタSSであり、
無表情無感情な感情表現しかできないため色々勘違いされる勘違いネタも含みます。

・他者視点

…―けれど。【彼女】は、どうだろうか。
外面こそ金剛という艦娘のものだが。
その在り様は、まるで違う。

そこに、よく知られている金剛という艦娘の姿は無い。
快活で溌剌。
積極性と行動力に長け、周囲の雰囲気を高揚させる抜群のムードーメーカー。
そんな、金剛という種の艦娘の共通特徴が-
【彼女】にはまるで無い。

表情を変えず、言葉を喋らず。
底知れない不気味さ。
得体の知れない、計り難さ。

…けれど、そんなことは。
この第六駆逐隊と彼女達の提督にとっては何ら問題では無いのだ。

彼らは知っている。
【彼女】が、その機械のような瞳の下にどれだけの思いを秘めているのか。
無表情な顔の下にどれだけの温もりを持っているのか。
その強さに。その優しさに。
今まで、どれだけ救われてきたことだろうか。

…彼らにとって、【彼女】は。
出会ってからずっと共に戦ってきた、何よりも頼りになる「仲間」なのだ。


「(あの時からだった、な。俺達の流れが変わったのは-)」

通信を介して戦場と繋がっている鎮守府に身を置きながら。
青年提督は、過去に思いを馳せる。
少しずつ追い詰められていた自分達が新たな道に踏み出すことができた、そのきっかけとなった、あの日。
【彼女】と、出会った日のことを思い起こす-・・・・・



・中の人

ど う し て こ う な っ た 。

いや、確かに艦これには嵌ってたし。
金剛ちゃん来ないかな~とは思ってたけど。

だからと言ってこれはないだろ。

胸が湧き踊り、心が熱くなるような幻想。
それは、二次元の世界だからこそいいのであって。
現実は、平凡平穏が一番なのだ。

そんな俺にとっては、今、身を置いてる状況は非常によろしくない。
何が悲しくて、化け物-深海棲艦と命を懸けて張り合わねばならんのだ。
とっとと逃げ出すに限る…と行きたいが、残念ながらそれもできない。

後ろに視線を向ければ自分の船体の後ろ。
整然と列を形作って続いている駆逐艦と、その分身として顕現してる艦娘達。
第六駆逐隊の面々である。
懸命なその姿と、可愛さ全開な外見は正に至宝。
彼女達と出会えたことはこの世界に来て得た、数少ない幸福の1つだね。
もちろん、あくまで眺めるだけであり。彼女達の嫌がることはしない。
理由をつけて無理やり触るとか言語道断だ。
YESロリータ、NOタッチだ。

…それでも目がにやけちゃうのは止められない。
元の世界の元の外見で晒してたら通報ものだろうなってツラを晒すとこだけど。
今の、無表情金剛フェイスは微塵も動かないので、内心を悟られる心配は全く無い。

自分で見ても不気味な、機械みたいな目だけど。
こういう面でみれば感謝感謝だな。
いくら内心で鼻息荒くハァハァしててもバレないよ!やったね!


と、まあこんな感じです。
戦闘シーンの描写も一人一人のキャラクターの内心を掘り下げているため、
緻密なものとなっており、見ごたえがあります。

ぜひ見てください





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ヴァルハラの乙女 第2話「原作開始」

2014-02-12 19:47:35 | ヴァルハラの乙女

1944年、夏。
本日は晴天なり、されど波高し。
けど、下界の様子とは違いここは上空5000メートル。
どこまでの澄み渡る青い空、そして流れる風が心地よい。
ストライカーの構造上コックピットで計器に囲まれることはなく、
魔法障壁があるとはいえ、ほとんど生身なせいかまるで自分が鳥になった気分だ。
多くのウィッチが空に思いをはせ、シャーリーが音速にこだわることも頷ける。

ただ、「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」な世界なのはどうにかならないものだろうか…。
自分はスパッツを履くことで辛うじて精神を安定させているが、未だに慣れない。

で、だ。

「なんだい、不景気な面をして?」
「いや、なんでもない」

ズボンじゃなくてどう見てもパンティーを履いている上に、
グラマスナな我侭ボディを持つ少女、シャーロット・E・イェーガがわたしの横にいた。

何故彼女がわたしの横にいるか?
それはわたしが新型ユニットであるTa152の、
最高時速760キロという性能を知ったスピード狂いの彼女が、

「勝負しょうぜ!!」

とわたしの試験飛行に付き合ったからだ。
加速試験もかねた結果、加速魔法ありでは、
彼女に追い抜かれしまったが魔法なしではこちらが振り切ることに成功した。
史実ではこのユニットの元ネタの設計者であったクルト・タンク氏は2機のP51に追われたが、
自らが操縦したTa152は完全に振り切った、というエピソードがあるように加速性能は抜群であった。

本国から来た技術スタッフの「最強のレシプロ型ストライカーユニット」
という触れ込みは半信半疑であったが、最強の名には相応しいことが今日証明された。
そして、もしもこれが開戦前にあれば祖国を守りきることができたのに、と悔しがった顔をわたしは忘れることができない。

「いやー、まいたったまいった。
 たしかの私の加速魔法なら追い越すことが出来るけど、
 魔法なしだとまったく追いつけないなんて、高高度性能もすごいしなぁ!」

「そうか、それは――――おい、叩くな!今は飛行中なんだぞ」

「細かいことは気にすんな!
 本当、カールスラントの技術はすごいなぁ!」

「あーわかった、わかったから。
 いいから止めろ、今は一応任務中なんだぞ!」

HAHAHAHA!
とアメリカンな笑い声と共にバンバンと肩を叩く。
一応試験飛行と哨戒飛行も兼任した任務中なのでビシッと決めて行きたいのだが、
別に悪意があってやっている訳でなく、アメリカン的親愛表現であるのは分かっているから始末に終えない。

ついでに、普段からちゃらけた態度を取り、
おまけにユニットの無断改造が原因で原隊からここに飛ばされたのだが、
空戦における才能はあるし、こんなアメリカンなノリで部隊の空気を和らげたりと彼女は501に必要な人材だ。

「しっかし、いいなぁーバルクホルンは、
 新型ユニットがもらえて、私もほしいなー」

うっとり、とまるで恋する乙女かのごとく、
彼女が足に履いているストライカーユニットを見る。
一瞬、ウィッチは美人揃いなためシャーリーの乙女な表情にドキッと来たが、
残念なことに彼女の対象はわたしではなく、足に履いているストライカーユニットであった。

「だったら、普段の素行を改めるべきだとわたしは助言するがな。
 ああ、一応言っておくが一応軍機に触れるものだからイェーガ大尉に触れさせるわけにはいかない」

「それがどーした、軍機は破るもの!
 あ、痛、いたたたた!!ごめんごめん冗談だってば!」

とりあえず頭を締め付けるように腕を伸ばし、
この某革命提督的精神主義者にお灸をすえておくことにする。
そのせいで、お互いかなり密着しており前世ならマイ・ソンが反応してもおかしくないが、
悲しいことに今のわたしは女性であり、裸やズボンと主張するパンツを除けばドキマギしない。

「でさ、話は変わるけど、今回坂本少佐が連れてくる新人がどんな奴か教えてくれない?」

わたしの胸元で赤橙色の髪をした少女が瞳を輝かせ問いかけてきた。

「それはウィッチとしての技能のことか?それともおっぱいの事か?」
「もちろん、おっぱいさ!」

即答であった。
しかもこれ以上ない程、実にいい笑顔つきで。

「やはり、おっぱいはアレか?
 夢とロマンが詰まっているからか?」

「話が分かるじゃないか、その通り。
 おっぱいには夢とロマンが詰まっているのだからさ。
 できれば今回来る新人もリーネくらいあると嬉しいなぁ」

「おいおい、リーネの歳であの大きさは例外中の例外で、
 ペリーヌやエーリカあたりが平均であり、常識的というべきだろ」

「ペリーヌか、ふっ」

こいつ、今鼻で笑いやがった……。

「…本人の前でそんなこと言うなよ、
 ああ見えて毎晩こっそりバストアップの体操をしているくらい健気なのだから。
 それと胸は小さいなりに小さいで需要はあるし、単にデカければいい物とはわたしは思わないな」

「大艦巨砲主義は常に正義っていうだろ?」

「貴様は全世界の貧乳に喧嘩を売ったな――――わっぷ!?」

わたしの腕の拘束を振りほどくと、
シャーリーはわたしを胸元に引き寄せて自らの胸に押し付けた。
まあ、ようするにわたしは彼女の胸に挟まれパフパフ状態であったわけだ。

「ほーら、これでも貧乳派でいられるかなー?」

むぎゅ、とわたしをさらに胸に押し付ける。
そして感じる女性特有の柔らかく、暖かい感触にほのかな香りは眠気を誘う。
このままずっといたいと願ってしうまいそうで、まるで赤子に帰ったかのような感覚。

貧乳信者というより、並乳、豊乳、
美乳も加えてそれぞれの乳に乳なりの魅力を感じる自分であるが、
はたしてこのような心地よい感覚をそれらが再現できるのであろうか?

貧乳はステータスだ、希少価値だ。
という言葉を前世で聞いたがそもそも貧乳は成長途上で一度は誰もが通る道。
とはいえ、確かに胸の大きさで女性の全てが決まるわけではないし萌えの要素だ。
貧乳は幼さと健気さを主張し、我々を今後の成長と健気な態度で頬を緩ませる。

しかし、そんな貧乳も多くはいつか成長し、やがて豊乳や並乳へと変わってしまう。
中には一生貧乳の魅力を後の世代までその身をもって語ることが出来る人物もいるが、
貧乳とは時間の経過と共に消え逝くひと時の儚い命で、その尊さをわたしは敬意を払っている。

けど、今はこの巨乳の圧倒的母性の魅力にわたしは逆らえないっ……!

「負けを認めるか?」
「ぐっ、わ、わたしは」

ここで負けを認めてしまえば、
この世全ての貧乳少女に面目が立たないし、
何よりもペリーヌのためにも巨乳に屈するわけにはいかない!

「正直になれば楽になるよ?」
「ち、違う、そんなことは――――」

だが、彼女の言葉で心が揺らぐ。
大艦巨砲主義という言葉はまるで、
男性だけが巨乳に誘惑されているような言い方だが、
その言葉とは逆にこれは慈愛と慈悲を主張する母性の塊だ。
彼女の言うとおり、母性に身を委ねればどれだけ楽になることか!

だから決断しよう、わたしは――――。

「なっ!?」
「っ!!」

結論を口にしようとした寸前、
遠くから響く爆発音、さらに水平線の先で小さく煙が立ち上った。
今自分がいる方位と位置、時間から推測して煙が立ち上った場所には、

「『赤城』がネウロイに襲われたな…!」

基地に寄港する予定の赤城がいる。
そう、これは原作が開始した瞬間だった。

『こちら、ミーナ。
 『赤城』から大型ネウロイ1に襲撃されたと緊急救難信号を受信したわ。
 バルクホルン大尉とイェーガ大尉の2人は直ちに『赤城』の援護へ向かって。
 現在坂本少佐と『赤城』の飛行隊が抑えているけど、押し切られるのは時間の問題よ』

「了解した!直ちに向かう」

そして細かい情報をいくつか聞き終えるとシャーリーと離れる。
改めて彼女に状況を説明しようと思い彼女を見るが、彼女の顔は先程までのおちゃらけた態度は消え、
緊張と興奮がミックスされた、所謂これから戦いに赴く兵士の表情を浮かべていた。

「行くぞ、イェーガ。ついてこられるか?」
「ハッ、もちろんさ!」

わたし達の間ではそれだけで十分だった。
申し合わせたわけでもなく、次の瞬間には最高速度で『赤城』の元へ飛んだ。



※ ※ ※



――――駄目だ!

手は軍刀でネウロイを切り裂いた確かな感触を感じた。
巨大なエイのような姿をしたネウロイは金属音を立てて裂けた。
下に白い結晶となった破片が落ち、先程まで一方的に蹂躙されていた海軍の将兵が喝采を挙げる。

しかし、坂本美緒の思考は違った。
すなわち殺し損ねてしまったという後悔であった。
なぜなら、ネウロイはコアを破壊しなければ何度でも修復してしまう厄介な性質を有している。
事実、派手にその黒い翼をもいだがすでに修復が始まっている。

(そもそも私1人では火力不足だ)

悔しげに歯を食いしばる坂本少佐。
通常、こうした大型ネウロイに対するセオリーは集団攻撃である。
早い話、複数のウィッチが寄って集って蛸殴りにするのがいつものやり方だ。

大型ネウロイのその火力の大きさは単機では手に余ることもあるが、
そうしなければ、分厚い装甲の下に存在するコアを破壊することはできない。

下界、
海では空母『赤城』を始めとする艦船がいるが、
大型ネウロイの厄介な点は駆逐艦クラスの主砲ではまったく効果がない。
それこそ、戦艦クラスの主砲による直撃弾を浴びせねばならないほどに。

だが、今は戦艦どころか重巡洋艦すら存在していない。
こうしてネウロイを引き付けていても、全滅は時間の問題に過ぎないのだ。

『駆逐艦『浦風』轟沈!』
「くそっ!」

視線を下に向ければ、
陽炎型駆逐艦第11番艦の『浦風』、
の艦首が持ち上がると棒立ちになって急速に沈んだ。
その周囲には黒煙と重油の輪が広がり、濃紺色の海を汚していた。

(あれでは、誰も助からないな……)

仇は必ずとる、と坂本少佐は内心で誓ったが現状は厳しい。
『赤城』の航空隊は次々に落とされている上に、ネウロイの火力に衰えは見られない。
それどころか、ネウロイはこの中で一番脅威である彼女に向けて光線を激しく放ってきた。

幾十もの光線がただ一人、坂本少佐を狙う。
彼女はその光のシャワーの間に応じる僅かな隙間を曲芸のごとく入り込み回避する。

隙あらばもう一度切り込むことをもくろみ、
ただ前前へと進むが、ネウロイも一度斬られたことを警戒しており、
坂本少佐を中心に円を描くような動きをとり、決して自分から近寄らないようにしている。

そのおかげで攻撃は彼女一人に集中してはいたが、
それでも艦隊からすれば空から降り注ぐネウロイの光線の威力に変わりはなく、
直撃を受けて大破漂流する艦や、大爆発を起こしてくの字に折れる艦が相次いだ。

『赤城』の航空隊も片手で数える程度まで減り、
至近弾で巡洋戦艦を改装した『赤城』の船体が大きく揺れるに至り、坂本少佐の焦りはピークに達した。

「こんな時、リベリオンの映画なら騎兵隊が参上するのだがな……」

焦りだけでなく、
怒りや興奮がごった煮された思考の中で、
なぜか慰安で見たリベリオンの西部劇映画を思い出す。

鳥の羽飾りをした野蛮なインディアンに追い詰められ、
もはやこれまで、という時にカーボーイハットを被った正義の騎兵隊が駆けつける!
と、実に分かりやすい物で、ヒーロー精神がこれでもかと強調されていた。

しかし現実は、この戦争でそんなことはない、
いつも援軍は遅すぎ、少なすぎが定番でそんな話は虚構に過ぎない。

そんな黒い感情が坂本少佐の心を犯そうとした刹那。
彼方の空から飛翔音と同時に飛来した弾丸がネウロイを叩いた。

そして続けて曳光弾のシャワーがネウロイに浴びせられ破壊音が轟く。
少なくとも20ミリクラスの大口径の弾丸らしく、ネウロイから金属を引きずったような悲鳴が挙がる。

「まさか……!?」

事前に501から連絡は着ていた、
試作機の飛行訓練もかねて自分と会うと。

そう、その名は――――。

「騎兵隊参上、といったところかな少佐?」

ゲルトルート・バルクホルンであった。




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ヴァルハラの乙女 第2話「原作開始」Ⅱ

2014-02-11 21:09:26 | 習作SS

「やはり、おっぱいはアレか?
 夢とロマンが詰まっているからか?」

「話が分かるじゃないか、その通り。
 おっぱいには夢とロマンが詰まっているのだからさ。
 できれば今回来る新人もリーネくらいあると嬉しいなぁ」

「おいおい、リーネの歳であの大きさは例外中の例外で、
 ペリーヌやエーリカあたりが平均であり、常識的というべきだろ」

「ペリーヌか、ふっ」

こいつ、今鼻で笑いやがった……。

「…本人の前でそんなこと言うなよ、
 ああ見えて毎晩こっそりバストアップの体操をしているくらい健気なのだから。
 それと胸は小さいなりに小さいで需要はあるし、単にデカければいい物とはわたしは思わないな」

「大艦巨砲主義は常に正義っていうだろ?」

「貴様は全世界の貧乳に喧嘩を売ったな――――わっぷ!?」

わたしの腕の拘束を振りほどくと、
シャーリーはわたしを胸元に引き寄せて自らの胸に押し付けた。
まあ、ようするにわたしは彼女の胸に挟まれパフパフ状態であったわけだ。

「ほーら、これでも貧乳派でいられるかなー?」

むぎゅ、とわたしをさらに胸に押し付ける。
そして感じる女性特有の柔らかく、暖かい感触にほのかな香りは眠気を誘う。
このままずっといたいと願ってしうまいそうで、まるで赤子に帰ったかのような感覚。

貧乳信者というより、並乳、豊乳、
美乳も加えてそれぞれの乳に乳なりの魅力を感じる自分であるが、
はたしてこのような心地よい感覚をそれらが再現できるのであろうか?

貧乳はステータスだ、希少価値だ。
という言葉を前世で聞いたがそもそも貧乳は成長途上で一度は誰もが通る道。
とはいえ、確かに胸の大きさで女性の全てが決まるわけではないし萌えの要素だ。
貧乳は幼さと健気さを主張し、我々を今後の成長と健気な態度で頬を緩ませる。

しかし、そんな貧乳も多くはいつか成長し、やがて豊乳や並乳へと変わってしまう。
中には一生貧乳の魅力を後の世代までその身をもって語ることが出来る人物もいるが、
貧乳とは時間の経過と共に消え逝くひと時の儚い命で、その尊さをわたしは敬意を払っている。

けど、今はこの巨乳の圧倒的母性の魅力にわたしは逆らえないっ……!

「負けを認めるか?」
「ぐっ、わ、わたしは」

ここで負けを認めてしまえば、
この世全ての貧乳少女に面目が立たないし、
何よりもペリーヌのためにも巨乳に屈するわけにはいかない!

「正直になれば楽になるよ?」
「ち、違う、そんなことは――――」

だが、彼女の言葉で心が揺らぐ。
大艦巨砲主義という言葉はまるで、
男性だけが巨乳に誘惑されているような言い方だが、
その言葉とは逆にこれは慈愛と慈悲を主張する母性の塊だ。
彼女の言うとおり、母性に身を委ねればどれだけ楽になることか!

だから決断しよう、わたしは――――。

「なっ!?」
「っ!!」

結論を口にしようとした寸前、
遠くから響く爆発音、さらに水平線の先で小さく煙が立ち上った。
今自分がいる方位と位置、時間から推測して煙が立ち上った場所には、

「『赤城』がネウロイに襲われたな…!」

基地に寄港する予定の赤城がいる。
そう、これは原作が開始した瞬間だった。

『こちら、ミーナ。
 『赤城』から大型ネウロイ1に襲撃されたと緊急救難信号を受信したわ。
 バルクホルン大尉とイェーガ大尉の2人は直ちに『赤城』の援護へ向かって。
 現在坂本少佐と『赤城』の飛行隊が抑えているけど、押し切られるのは時間の問題よ』

「了解した!直ちに向かう」

そして細かい情報をいくつか聞き終えるとシャーリーと離れる。
改めて彼女に状況を説明しようと思い彼女を見るが、彼女の顔は先程までのおちゃらけた態度は消え、
緊張と興奮がミックスされた、所謂これから戦いに赴く兵士の表情を浮かべていた。

「行くぞ、イェーガ。ついてこられるか?」
「ハッ、もちろんさ!」

わたし達の間ではそれだけで十分だった。
申し合わせたわけでもなく、次の瞬間には最高速度で『赤城』の元へ飛んだ。




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