カルデアの落ちなし意味なしのぐだぐだ短編集
FGOのカルデアでの小話をまとめたSSです。
マスター(ぐた男)とサーヴァントたちのドタバタコメディを主題としています。
ケルト勢の大らかすぎる性欲に時代のギャップを感じたり、
日本の英霊達で逸話のあれこれを語り合い、バーニング蛇少女の恋話。
などと面白い話を掲載しております。
ぜひ見てください。
「例えそれが夢であれど、只々平穏な世界にて男女が睦ましく愛を語る……これもまたローマ」
視界の端に映った異様な雰囲気を醸し出している筋肉ダルマに驚いて、唇は触れ合う寸前で止まった。
「……どなた?」
「私ローマはローマであり、ローマは私ローマである。
ローマとは世界であり、そこで横たわる我が子もまたローマ。
そして根源ローマの一部、お前もまたローマなのだ」
「ごめんなさい、良く分からないわ……」
現れるはずのない夢の中に出てきた大男、
ローマ帝国の神祖である最も偉大なローマの王ロムルスローマ。
それはマスターにとっては天ローマの救いであったか、それとも目の前で御馳走を奪わんと来た地獄ローマからの使者だったか。
表情がめまぐるしく変わるマスターの表情からは読み取れなかったが、この夢が終わるのは確かな事であった。
「そう……この人を起こしに来たのね。 まだ朝にはなっていないはずだけれど?」
「確かに我が子ローマが穏やかな朝日に包まれるまで時間はある。
だが我が子ローマに余裕はない。 このまま夢の中で蜜月を過ごすのも良いだろう。
だがそうすると現実では非ローマ的な行いが起き、カルデアローマは混沌の炎と化すことになる」
「つまりマスターに何かが起きようとしているのね?」
ロムルスの只ならぬ言い方に、マスターも女性サーヴァントも緊張していた。
自分たちがこうしている間にも世界を救うためのカルデアに危機が迫っているのだ、
となれば今すぐにでも目を覚まして対処しなければならない。
もう少しだけ触れ合いたかった気持ちもマスターとサーヴァントにはあるにはあったが。
「____直球ローマ的に言うと、夜這いに来たある三人が扉の前で鉢合わせになっている」
「あら」
「________!!!!」
これでもかと言うくらいに女性サーヴァントにしがみつくマスター。
まるで起こさないでと言っているように女性サーヴァントの膝へ顔を埋めながら手はしっかりと背中に回してホールドしている。
どれだけ起きたくないか推して知るべし。
「無駄だ、お前もローマならば覚悟を決めローマ」
ある意味惰眠貪ってる場合じゃねぇ状況なのだが、
寝ても地獄起きても地獄ならいっそこのまま寝ていた方が心の平穏だけは保たれる、
そう考えたのであろうがそうは問屋ローマが卸さない、
ロムルスはマスターの足を掴むとそのまま引きずるようにマスターをどこかへ連れて行ってしまった。
声にもならないマスターの泣き声が当たりに響いたが、
あいにくここは夢の中、頼みの和服美人サーヴァントも困ったように笑いながら手を振るだけである。
「今度は起きているときに膝枕してあげましょう……」
もはや遠くなったマスターの泣き声を聞き、
起きた後のマスターの身を気遣いながら和服美人サーヴァントはそう思うのであった。
夜明けは近い。
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