二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 地球教勝利END

2018-02-14 07:07:49 | おススメSS

地球教勝利END

銀河英雄伝説では定番の悪役を割り振られる地球教。
銀河帝国、自由惑星同盟地、フェザーンのいずれかに転生者が割り振られることはあっても、
地球教徒側への転生者は華やかさがないこともあってほぼ皆無という不人気ぶり。
そんな中でこのSSはタイトル通り「もしも地球教徒が勝利したら」という一発ネタです。

自由惑星同盟を乗っ取った地球教が銀河帝国を滅ぼし宇宙の首都を念願の地球への遷都。
これで宇宙の平和が訪れるがそれはジョージ・オーウェルが描いた極端な監視社会の始まりであった。

地球教の正しさを立証すべく歴史の編纂作業、ねつ造を開始。
一般人が有する歴史的な記録は全て没収、逆らう人間は全て抹殺という恐怖政治。
銀河は暗黒の歴史に包み込まれたが同時に諦めの悪い欲に溺れた3人が密かに暗躍をしていた・・・



「本当に最悪だね」

平静を装ってそう口には出したが、じつのところ、自分の気分は高揚していた。
ここで働くようになってから、ド・ヴィリエ一派の活躍を新聞や立体TVで知ることが、ほとんど唯一の楽しみとなっている。
こうした勢力が存在するということ自体が、自分にとっての喜びであり、その活動を知ることが地球教に対する鬱憤晴らしなのだ。

「だろう?」

しずかな怒りを堪えるような態度でセレブリャコーフがそう言った。
同盟軍による悲惨な殲滅作戦をその目で見てきた彼はすっかり反抗心というものが折られてしまい、
地球教を否定するなんてことは考えるだけで身の毛がよだつ所業であるらしい。
彼は身の安全が保障されるならどのような扱いを受けてもいいから、
何も変わってほしくないと強く願っており、そういう考えを持つ恭順者は多い。

しかし地球教に対する反発
(面に出したら宗教警察に捕まってどんな目にあわされるかわからないので絶対にださないが)
を抱えているにもかかわらず、自分は彼らに同情的である。
納得できなくても感情的に彼らの思いに共感できてしまうのだ。
あまりにも途方もなく完璧な方法で、一切の反撃を許さず。
まるでこの世の真理を司る神や悪魔といった超常的存在が本当に地球教に偉大なる加護を与えているのでは、

と、思わずにはいられないのである。

だが、仮にそうだったのだとしても、人間は神や悪魔を轢殺し、
人間の世界を作ることができるはずだ、と、自分は信じたいのだ。
徹底的に管理され、同じ仕事を繰り返し、時間の感覚が曖昧となり、
時として自分は生きているのか死んでいるのかといった疑問さえ抱くことがある状況が打破される日が遠からずくると信じたいのだ。

銀河帝国の学芸省で権力者の都合の良い歴史家をやっていた頃、幸福であったとは言うまい。
愚かしい貴族に媚を売り、あほらしい命令に忠実に従い、
それでろくな成果をあげることができなかったら自分のせいにして激しく怒り狂う貴族どもに対して、ストレスを多く溜め込んでいた。
しかしそれでも、自分というものを感じることができていたはずだ。自分は人間なのだと思うことができたはずだ。だが、今の自分は……!!

自分は都合の良い道具ではないはずなのだ。
いや、都合の良い道具であったとしても、自分は人間であるはずなのだ。
生きているはずなのだ。休日に自由に街中を散歩し、すれ違った人間と挨拶を交わして世間話を興じ、
馬があえば友誼を結び一緒に酒場で飲みあって連絡先を交換する。
そんなありふれた日常は、学芸省の道具であっても享受することができたはずなのだ。

だからこそ、ド・ヴィリエ一派にしずかな期待を寄せずにはいられない。
おお、大神オーディンよ、どうか、彼の者達に地球教を打倒させたまえ。この牢獄のような世界を崩壊させたまえ。





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