二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 【ネタ】【東方×銀英伝(一部)】古明地文里の優雅な日々

2014-07-09 22:39:13 | おススメSS

【ネタ】【東方×銀英伝(一部)】古明地文里の優雅な日々

憑依ネタのSSを紹介します。
しかし、今回は現実から二次元の世界へ転生憑依すのではなく、
東方の古明文理に銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーが憑依する、と珍しいSSです。
戦闘シーンは一切はありせんが、どこか型月を思わせるような文章の構成と合わさって地雷要素な設定にも関わらず純粋に楽しめます。

しかし更新速度は非常に遅く、まだ2話だけでエタる可能性が非常に高いですがそれでも今後に期待。



さて。
かつて、古明地さとりが現世に絶望し、ほかのさとりたち同様に自らを失おうとしていた時。
出会った霊魂は、もはや消え去らんとしているところであった。無理からぬことである。
まずもって、死に方が良くなかった。宇宙の只中で、出血多量により徐々に死に至るなど、その時点でかなりの負荷である。

そうでなくとも、このヤン・ウェンリーという一人の優秀な提督には、随分と負担がかかっていた。
彼自身はのらりくらりとかわしているつもりであり、周囲もそうしていると見ていたが、それでも彼のなすべきことは多く、そのどれも大変な労力を要することはいうまでもない。

そしてそもそも、死した魂という枠でありながら、世界を超えてしまったこと。
彼の世界にいうヴァルハラへ逝けなかった時点において、その魂が真っ当に還ることなどありえない。
そして魂というやつは、聖書が教えるほど頑強ではない――。

ゆえにその魂は、さとりへ完全に同化した。
あの歴史と平和と怠惰を愛し、民主制とひとりの養子、
妻と友人たちを守るために戦った若き提督の知恵も記憶も喜怒哀楽もなにもかも──愛という感情すらも、さとりは受け取ってしまったのだ。

ヤン・ウェンリーという個は、喪われた。古明地さとりという個も、完全なものはもはやそこになかった。
そこに在るのは、そのどちらでもある存在。

ヤンの知と精神力はさとりのもつ欠陥を埋めた。
声なき声を時に受け止め、時に無視し、時に頭を掻いてごまかして、
そしてその心情を汲み取って、先を見据えた策を打つ。ヤンの得意分野である。

そもそもさとりが是非曲直庁に入り込んだのは、その知によるところが大きい。
是非曲直庁はつまるところ裁判所と刑務所の運営団体であり、相手がさとりであろうとなんだろうと公平に扱う。
それどころか、それまで嫌われ迫害された分同情的ですらあった。まずそれだけで、入り込む価値が十二分にあった。

もとより、さとりは事務仕事の類を苦にしない。自らの先が長いことも知っている。
ならば、寄らば大樹の陰である。是非曲直庁という大樹を頼るのに、少々の労を惜しむ理由はなかった。

財政改革の間隙を縫って地霊殿管理官の職を掠め取ったのは、さとりの読心能力がうまく働いた結果だった。
そのまま切り捨てるのはいくらなんでも無責任が過ぎると騒ぐ反主流の一派につき、
自らその処理役に名乗りを上げることで、地霊殿への永住権を手に入れた。
幹から離れれば、面倒な権力闘争に巻き込まれることも少なくなる。何をためらうことがあろうか。

旧地獄の妖怪たちとうまく住み分けてみせたのは、宇宙艦隊の変わり者やあらくれものを扱ったという経験が背後にあった。
幸運なことに、流入した妖怪たちの中には、原始的ながら力をもとにした秩序が生まれていた。
そういった手合には最初から意図も何も全て吐いてしまったほうがいいと記憶から引き出したさとりは、うまくその協力を得ることに成功する。

結果として、妹を世話しつつ時折いくらかの竹簡を送り、
それ以外は概ね読書に励む生活という天国がさとりのものとなったのである。









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