二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

第21話「可能性未来」Ⅲ

2014-01-22 22:24:12 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

なんてことだ。
よりにもよってこの男に知られるとは。

「そんなに構えなくていい、
 どの道私はあの殺人貴に殺された消える身。
 ゆえに、今更君を殺したり我が物にしたりする気はない。
 それよりも 老婆心ながら今後の君について言いたいことがある」

思わず襲おうとしたボクを手で制止するようにサインすると、ロアは紳士的に話を進めた。

「改めて言おう、君の吸血鬼としての才能は特異だ。
 私に血を吸われ、グールやリビングデットを通り越していきなり吸血鬼へと変化。
 ある意味君の才能が開花したと言える、もはやこの現象は進化と表現してもいいものだ」

「まったく、嬉しくないね。
 シエル先輩には殺されかけるし」

「ああ、そうだな。
 才能の開花は必ずしも人を幸福にしない。
 見方を変えればむしろそれ以外の生き方を束縛しかねない」

ボクの愚痴に同意するロア。
先ほどまで殺しあったはずの相手だが、
可笑しなことにボクらは随分と親しく話せている。

「そして、例えいずれ出会うアトラス院のエルトナムの娘が、
 どれほど労力を割いてもせいぜい太陽の下を歩ける程度で、君は吸血鬼のままその人生を過ごすだろう」

………ああ、やっぱり。
薄々とだけど覚悟はしていた。
やはりシオンの知識を以ってしても人間に戻るのは無理か。

「君は良くも悪くも吸血鬼として才能がありすぎる。
 姫や殺人貴の元にいる限り今後更なる苦難に見舞われることは間違いない
 ただでさえ、姫は裏の世界では目立つ存在だ。そこにあのバロールの眼を持つ人間、
 空想具現化が使える君が加われば、魔は魔を引き付けるように裏世界の闘争に巻き込まれるのは確実だ」

そっか、ロアから見てもそうなのか。
アルクェイドさんや志貴の傍にいると巻き込まれることは確かなんだ。
元よりあの2人は平穏とは程遠い存在、むしろ原因の渦中になるか飛び込んでしまう性格だ。

だから、彼らの傍にいれば必然的に修羅の道へ自動的に歩んでしまう。
少し前まではそんな修羅の道を避けることばかり考えていたけど、今は違う。

吸血鬼になってしまった以上、
どんなに平穏な日常を過ごすことを努力しても、
遅かれ早かれ巻き込まれ、ビクビクと過ごす日々が来るだろう。

ならば答えは一つ。

「別に構わない、むしろあの2人と一緒に過ごす方がボクにとって重要だから」

「……そうか、君は逃げるという選択はしないのだな」

当たり前だ。
どうせビクビク過ごすならあの2人と一緒にいたほうがいい。











コメント
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