杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・少年審判傍聴制度の傍聴実施は約20%(最高裁による)

2009-03-31 01:51:33 | 犯罪被害者
2008年12月から、重大な事件を起こした少年の審判(家庭裁判所で開かれ非公開で行われる)に、希望をすれば被害者が傍聴できる制度ができました。

 原則非公開の少年審判に、この被害者や遺族の傍聴を認める制度が導入されて以降、23事件で43人が実際に傍聴したことが最高裁のまとめによりわかりました。
 制度導入後の3カ月間で、傍聴希望の申出があったのは、殺人や傷害致死、自動車運転過失致死などの25件。一部例外を除き、各家裁で23件の傍聴があったということです。

これは、昨年12月以降から約3カ月間で傍聴対象となった審判の24%に当たる計算となります。この傍聴希望は、対象となる審判全体の2割程度だということです。
 法務省のまとめによると、傍聴の対象となる審判は、2002~2006年のデータを基にするすれば、年間380件ほどだということです。

被害者支援団体などからは「凶悪事件の被害者や遺族の心情を考えれば、傍聴希望者はもっと多いはず」として、遺族へのサポート不足を懸念する声が上がっているようです。

ただ、少年事件は手続きが早く進むために、事件から概ね1ヶ月半、ちょうど49日ころに審判が開かれることから、遺族となった被害者は、まだ気持が整理できない状態ですし、心身共に平常ではないときでしょう。この時期に、加害少年を間近で見ることは、大変で精神科の医師でもそのことを案じている方もいます。
ただ、親の心情として「見届けたい」思いは分かります。

他方、加害少年も大きな事件をおかした時には、そのことについての動揺もあり、あるいはその非行に至るまでの成育上の問題もあったりします。
反省に至るには時間が短く、被害者の方に会っていただくには時期が早いと思うようなこともあります。

いずれにしても、むずかしい制度だと思っています。
でも、新しく制度ができた以上は関わる人たちに、少しでもいいものになるように関係者は努力をしなければならないと思います。

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