杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・カナダの軍オンブズマンの紹介(転載)

2007-12-23 10:19:39 | Weblog
軍事オンブズマンについてですが、
ヤメ記者弁護士さんのブログに以下のような、カナダの軍オンブズマンの紹介がされていました。
転載させていただきます。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カナダの軍オンブズマンの紹介~その1…全ての自衛隊員およびその家族のために


有事法制関連 / 2007-12-15 09:27:24



 自衛隊の民主化、透明化のための、ステップその1として、カナダの軍オンブズマン制度を、ウェブサイトの記載を紹介することから始めたい。ネット上の翻訳ソフト使ったうえで、手を加えた形で紹介するので、こなれていなかったり間違えたりすると思いますが、ご指摘下さい。

 では、早速、紹介文(about us:http://www.ombudsman.forces.gc.ca/au-ns/index-eng.asp)から…

■■原文引用+翻訳開始■■
 The Office of the Ombudsman was created in 1998 to increase openness and transparency in the Canadian Forces and the Department of National Defence, and to ensure the fair treatment of concerns raised by Canadian Forces members, departmental employees and their families.


 オンブズマンオフィスは、1998年にカナダ軍と防衛省の開放性と透明性を高めることおよびカナダ軍、防衛省で働く人およびその家族の苦情に適切に対応するため、1998年に設立されました。

 Since it was established, the office has been contacted more than 12,000 times by members of the Defence community looking for assistance.

 設立されて以来、オンブズマンオフィスは支援を探す軍、防衛省関係のメンバーから1万2000回以上接触されています。

 The office acts as a direct source of information, referral and education. It helps members of the Defence community navigate a large and complex organization in order to access existing channels of assistance or redress when they have a complaint or concern. Last year, the office assisted with 75 requests for information from members of the Defence community.

 オンブズマンオフィスは情報、紹介および教育を直接提供します。軍および防衛省関係のメンバーが苦情を持っていたり問題意識を持っていたりするとき、支援か救済を受けるため既存の複雑で巨大な組織のどこにいかにアクセスするべきか手助けします。昨年、オフィスは軍および防衛省関係のメンバーが情報を求める要求75件について支援しました。

 The office is also responsible for reviewing and investigating concerns and complaints from current and former Canadian Forces members, departmental employees and their immediate family members who believe that they have been treated improperly or unfairly by the Department of National Defence or the Canadian Forces.

 また、オンブズマンオフィスは、現役・退役のカナダ兵士並びに防衛省従業員及び彼らの肉親が、カナダ防衛省及びカナダ軍によって不適切か不公平に扱われたと主張する苦情について、見直し、調査します。

 Last year, the office was contacted 1,439 times by individuals in the Defence community. The top five categories of complaints were related to benefits, release from military service, recruiting, medical issues, and harassment. The office also assists individuals with complaints related to military postings and promotions, access to information and privacy, grievance issues, housing and more.

 昨年、オンブズマンオフィスはカナダ軍及び防衛省関係の個人から1,439回接触されました。 苦情のトップ5のカテゴリは、待遇、兵役からの解除、新人募集、医療問題、およびハラスメントに関連しました。 また、苦情が、配属や昇進、情報入手、プライバシー、苦情問題、住宅、およびその他に関連するものについても、オンブズマンオフィスは個人を支援します。

 Ombudsman investigators always attempt to resolve complaints informally and at the lowest possible level. However, complaints can also be the subject of thorough investigations, leading to a formal report with findings and recommendations that are made public.

 オンブズマンの調査担当者は、いつも非公式で最も低い可能なレベルにおいて苦情を解決するのを試みます。 しかしながら、それらの苦情は徹底的な調査の対象になり、調査結果と改善策を盛り込んだ正式な報告書として公表されるものになるかもしれません。

Members of the Defence community who bring a concern or complaint to the Ombudsman’s Office can do so without fear of reprisal. In addition, all information obtained by the office during the handling of cases is treated as confidential. The office will not provide any information related to a case or investigation to anyone without written consent from the complainant.

苦情などをオンブズマンオフィスに申し立てたカナダ軍及び防衛省関連のメンバーは、報復を恐れる必要はありません。 さらに、相談事例に関して入手したすべての情報が秘密として取り扱われます。 オンブズマンオフィスは、相談者の承諾書なしでは、事例及び調査に関連する情報は、だれにも提供しません。

More broadly, the Ombudsman has a mandate to investigate and make recommendations to improve the overall well-being and quality of life of the members of the Defence community.

オンブズマンには、カナダ軍及び防衛省関連のメンバーの幸福と生活の質を改善するために調査し、改善を勧告する権限があります。

Previous investigations from the office have led to substantial and long-lasting improvements in the Canadian Forces, including important changes in the areas of post-traumatic stress disorder and operational stress injuries and improvements in the treatment received by the families of military members who are killed in the course of their duties.

これまでに行ったオンブズマンオフィスの調査は、カナダ軍の実質的で持続的な改善につながりました。例えば、外傷後ストレス症候群と作戦上のストレスによる負傷の分野や、戦死した兵士の家族への支援について改善されたりしています。

■■終了■■

相談の数の多さから、このシステムがある程度機能していることが分かる。このような組織を通じて外部と連絡をとれることがいかに組織内の民主化に貢献しているか、想像に難くない。

それに引き替え、我が日本の自衛隊は、公益通報について【平成18年4月1日から平成19年3月31日の間に防衛省の公益通報窓口に寄せられた情報については、公益通報の受理対象となるものはありませんでした】という情報しか開示していない(http://www.mod.go.jp/j/library/koueki_tuho/index.htm)。何件の情報が寄せられたのか、さえ、明らかにしていない「非民主的」「非公正な」組織だなんや…。


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9 コメント

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紹介ありがとうございます。 (崩壊した家族)
2007-12-23 17:00:10
 ヤメ記者弁護士さん、そして転載してくださった杉浦様ありがとうございます。
 スェ-デン、ドイツ、デンマークなどの制度は知っていたのですが、カナダのは知りませんでした。
 早速HPで調べて勉強させて頂きます。
 
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モデルチェンジ? (TOJC)
2007-12-26 01:01:34
和みから今度は目の保養?いいですね。
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そんなにカナダ軍を見習いたいなら (宇宙戦士バルディオス)
2007-12-26 19:04:55
 軍事裁判所の設置も作りましょうね。
 そういうように主張して下さい。
http://www.forces.gc.ca/jag/military_justice/default_e.asp

 もう一度書いておきましょう。
「軍隊に民主主義というものはない」(ダグラス・マッカーサー)
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軍隊に民主主義は・・・ (杉浦ひとみ)
2007-12-26 22:35:07
宇宙戦士バルディオスさん、「軍隊に民主主義というものはない」(ダグラス・マッカーサー)を引用されていますが、これは結論ですよね。
軍隊に民主主義がないことを、宇宙戦士さんの言葉でわかりやすく説明していただけますか。

そのときに、軍隊に民主主義があることは難しいということなのか、その存在は背理だということか、も明らかにしていただけたら助かります。
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宇宙戦士バルディオスさん。また非現実的な話ですか。 (崩壊した家族)
2007-12-27 01:01:26
こんばんは。

宇宙戦士バルディオスさん。
また、非現実的というか後ろ向きの話ですね。


「防衛省「守屋氏」ひとりの問題にせずに」では机上の空論を述べまくり今度は、「軍隊に民主主義というものはない」とダグラス・マッカーサーの言葉を引用し・・・

杉浦 様はカナダ軍を見習うというよりも軍事オンブズマン制度を見習いなさいと仰っているのだと思います。
癒着や腐敗そして軍人やその家族の人権を守るために


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そんなものを守るために (宇宙戦士バルディオス)
2007-12-29 16:00:28
 別に予算かけてオンブズマン作る必要を感じないですね。

>癒着や腐敗そして軍人やその家族の人権を守るために

 癒着や腐敗が犯罪に当たるなら、証拠を手に入れた者が刑事訴訟法239条に基づき、捜査機関に告発すればよいのです。オンブズマンがなくても、告発はできます。オンブズマンが間に介在しなければ、告発できないということもありません。それとも、オンブズマンには、証拠もなくて告発・捜査する権限を与えますか?適正手続きを害しますね。
 軍人(自衛官は軍人ではありませんよ)やその家族の人権を守るためにも、必須ではありません。世界150数カ国の中で、オンブズマン制度を抱えている国は圧倒的な少数派であって、残りの国全てで軍隊関係者の人権が害されているというわけでもない。現在の日本でも、人権侵害の実例が発見されたら、民事責任なり、刑事責任を司法の場で問うなり、国会で問題にすれば、オンブズマンと同じ効果を上げることができます。人権侵害の事実があるなら、それを理由に国会で防衛大臣の問責決議を成立させればよいのです。問責決議が怖い大臣は、必死になって組織内の人権侵害を改善するでしょう。できないなら、それは裁判所や国会が無能だと言っていることと同じです。まぁ、今の国会が有能な人間で動かされているとは思えませんが、特に野党は(第1党を含んで)。

 軍隊は、終局的には非民主的手続きによって選ばれた「指揮官」が全責任を負います。この点、憲法学の基本書でも「非民主的機関」と称される裁判所に似ている。軍隊が多数決で動くということは、あり得ない。部下の意見を聴することはあっても、指揮官が最終的には自分の責任において、自分だけで決心し、組織を動かします。指揮官は、時の権力者(内閣・大統領等)に責任を負うことはあっても、国民の代表である国会に直接責任を負うことはあり得ない。また、政治家と違って、選挙で地位を失うということもない。
 最終的には単一の指揮官が全責任を負う、この点こそが民主主義がないという理由です。
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オンブズマンいいですね (ken)
2007-12-31 14:11:29
 日本でも見習うといいと思います。
 警察や裁判所に訴えるというのもありますが、学校のいじめでもそうですが、大げさになって解決に時間がかかります。素早く対応できる機関が必要です。もちろん適性手続きは必要ですが、事実関係や正不正に争いが起こらないような場合も多いでしょう。裁判に訴えたら、ライフワークになりかねません。
 軍隊の実際の動きは非民主的でしょう。現場の判断で動くなんてことがあっては困ります。とんでもない発言がありましたが、、。ですが、トップやその判断はきちんと民主的な手続きで決めてもらわなければ困ります。
 
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あけましておめでとうございます。 (崩壊した家族)
2008-01-05 02:32:14
杉浦 様。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

今年初めてのコメントです。

宇宙戦士バルディオス 様。
>そんなものを守るために
 コメントの題名が挑戦的ですね。
 人権を守るや腐敗、癒着を絶つことが「そんなものを守 るためとは」いやはやです。

>軍人(自衛官は軍人ではありませんよ)やその家族の人 権を守るためにも、必須ではありません。世界150数 カ国の中で、オンブズマン制度を抱えている国は圧倒的 な少数派であって、残りの国全てで軍隊関係者の人権が 害されているというわけでもない

 宇宙戦士バルディオスさんは必要無いというのは良く分 かりました。オンブズマン制度を採用している国が少数 だからということで採用しないのは、おかしいですよ  ね。説得力が無い。
 軍事オンブズマンの調査権は、いつでもどこでにも立ち 入ることができ、国防大臣はじめ全ての将兵に報告を求 めうるという大きな権限です。
 それ故に人権が守られるのです。(100%ではないです  が)
 それと以前にもお話しましたが、自衛官はロシア、アメ リカ、中国などから軍人と見られていますし実際、自衛 隊の教育においても職業軍人としての教育がなされてい ます。

>現在の日本でも、人権侵害の実例が発見されたら、民事 責任なり、刑事責任を司法の場で問うなり、国会で問題 にすれば、オンブズマンと同じ効果を上げることができ ます。
 
 自衛隊内における、いじめや自殺などにおいて人権が守 られていないのが実情です。
 宇宙戦士バルディオスさんは国防を司る自衛官が平時で いじめや自殺で人的戦闘力が損耗しても良いのです   か?

>軍隊は、終局的には非民主的手続きによって選ばれた  「指揮官」が全責任を負います。

 ご高説拝聴しました。
 駆けつけ警護やインド洋の給油で自殺した自衛官、そし て平時において、いじめを受けたものや自殺した人たち の責任を部隊の指揮官は今まで責任を取っていません  よ。
 それを言うのであれば、平時において責任をとれない指 揮官が有事で責任をとれるとは思えないですね。

>部下の意見を聴することはあっても、指揮官が最終的に は自分の責任において、自分だけで決心し、組織を動か します。

 宇宙戦士バルディオスさんの本領発揮というコメントで すね。
 それでは、シビリアンコントロールとの整合がとれない じゃないですか。
 どのように説明されるのですか。
 旧軍の関東軍になっても宇宙戦士バルディオスさんは  OKということですか?

 
 今年も宇宙戦士バルディオスさん独自である机上の空論的、ご高説を期待しています。

 杉浦 様、今年も騒がしくなるかも知れませんが宜しくお願い致します。
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それでも、生きて行こう! (羽柴孫七郎)
2016-06-15 21:50:15
ドイツやロシアでもオンブズマンはあるみたいです。
こういった制度は日本でも取り入れるべきでしょうね!
カナダでも事件や事故はありますが銃規制や死刑の廃止などリベラルな国民性が特徴的みたいです。 アメリカに嫌気が指してカナダに移住するアメリカ人が多いのも頷けます。
今後もカナダのオンブズマン制度についてもっと詳しく調べてみたいです!
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