宮城県知事(村井嘉浩氏)が今日1月22日、強姦(ごうかん)など性犯罪で服役後出所した県内在住者にGPS(全地球測位システム)を携帯させ、県警が常時監視できる条例制定を検討する方針を固めたということです。
全国一律に適用になる法律ではなく、自治体内で定める県条例定めることから、GPSをつけた前歴者が県外に移動すれば効力が及ばないということです。
そもそも、条例は法律の範囲内で定めることができると憲法で決められているので、法律が制限する以上に人権を制限することが条例でできるのか、は問題となります。
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
でも、それ以上に、前科者に、その人の所在が分かってしまう装置を常時つけさせて、監視することは大きな制約で、憲法に違反した人権制限ではないかが問題となりそうです。
また、社会にとって迷惑な者について、監視することで加害を防止するという政策をとれることにしてしまったときには、これが拡大されないかはとても大きな心配です。
特に、現代の社会は都会では隣人も分からないような状態で、誰もが疑心暗鬼で、体感治安というような言葉がいかにも説得的に使われる状況にあります。色々な人が監視・排除の対象にされないかが心配です。
性犯罪についていうと、実はまだまだすべきことがあるのではないかと思っています。
ひとつは、人の性的な自由を尊重することについての教育はほとんどされていません。逆に、AVビデオとか雑誌などで(主に)誤った女性観、性関係をうえつけるようなものがたくさんあり、これらは、多少の戸を立てても、見ようと思えば若い人たちも目にすることは可能です。
性犯罪を犯す若者が、痴漢ビデオを(それ自体は作り物としても)本当にある話と考えたり、女性がそのことをいやがっていないというような間違った認識を植え付けたりしています。
性犯罪の被害者が、どれほどの苦しみを経験することになるかについて、もっと社会が理解しなければ、安易な犯罪が起こります。
自分の身内がそんな被害を受けたら、本当につらいことだということを想像させるためにも、性被害の実態についての理解も重要だと思います。
このように、間違った知識を排除する力をひとり一人につけさせることが必要であって、そういった初歩的な教育をすべきだし、そこにお金をかけるべきです。
さらには、性犯罪を行った人に対して、少年院や刑務所などでの施設で多少の教育はしていますが、時間も限られ、集団での指導だったりして個々人に役立つのかは疑問です。さらには、そとの接触のない純粋培養地での練習は、そもそも効果があるのか。
施設を出てきてから、そういった性癖のある人には教育をしなければならないと思います。これは、薬物も同じなのですが、くり返す可能性のある者に対して、そうしないような更生の手立てをせずに、野放しにするのは、更生を怠って再犯を認めているようなものだと思います。この点を配慮している外国の例もあります。
その人自身を矯正することなく、器具をつけて管理する。これは安上がりですが、人の社会の中では、危険な方向ではないかと思います。
なお、この条例が実現するかは、先に挙げた法律以上の制約になるので違憲ではないか、という点。
人権の制限をするには、より制限程度の軽い方法があるなら、それを選ばなければならない(LRAの基準(Less Restrictive Alternatives~より制限的でない他の選びうる手段))とよびます)ので、この条例の実現までにはまだ慎重な審議が必要だと思います。
全国一律に適用になる法律ではなく、自治体内で定める県条例定めることから、GPSをつけた前歴者が県外に移動すれば効力が及ばないということです。
そもそも、条例は法律の範囲内で定めることができると憲法で決められているので、法律が制限する以上に人権を制限することが条例でできるのか、は問題となります。
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
でも、それ以上に、前科者に、その人の所在が分かってしまう装置を常時つけさせて、監視することは大きな制約で、憲法に違反した人権制限ではないかが問題となりそうです。
また、社会にとって迷惑な者について、監視することで加害を防止するという政策をとれることにしてしまったときには、これが拡大されないかはとても大きな心配です。
特に、現代の社会は都会では隣人も分からないような状態で、誰もが疑心暗鬼で、体感治安というような言葉がいかにも説得的に使われる状況にあります。色々な人が監視・排除の対象にされないかが心配です。
性犯罪についていうと、実はまだまだすべきことがあるのではないかと思っています。
ひとつは、人の性的な自由を尊重することについての教育はほとんどされていません。逆に、AVビデオとか雑誌などで(主に)誤った女性観、性関係をうえつけるようなものがたくさんあり、これらは、多少の戸を立てても、見ようと思えば若い人たちも目にすることは可能です。
性犯罪を犯す若者が、痴漢ビデオを(それ自体は作り物としても)本当にある話と考えたり、女性がそのことをいやがっていないというような間違った認識を植え付けたりしています。
性犯罪の被害者が、どれほどの苦しみを経験することになるかについて、もっと社会が理解しなければ、安易な犯罪が起こります。
自分の身内がそんな被害を受けたら、本当につらいことだということを想像させるためにも、性被害の実態についての理解も重要だと思います。
このように、間違った知識を排除する力をひとり一人につけさせることが必要であって、そういった初歩的な教育をすべきだし、そこにお金をかけるべきです。
さらには、性犯罪を行った人に対して、少年院や刑務所などでの施設で多少の教育はしていますが、時間も限られ、集団での指導だったりして個々人に役立つのかは疑問です。さらには、そとの接触のない純粋培養地での練習は、そもそも効果があるのか。
施設を出てきてから、そういった性癖のある人には教育をしなければならないと思います。これは、薬物も同じなのですが、くり返す可能性のある者に対して、そうしないような更生の手立てをせずに、野放しにするのは、更生を怠って再犯を認めているようなものだと思います。この点を配慮している外国の例もあります。
その人自身を矯正することなく、器具をつけて管理する。これは安上がりですが、人の社会の中では、危険な方向ではないかと思います。
なお、この条例が実現するかは、先に挙げた法律以上の制約になるので違憲ではないか、という点。
人権の制限をするには、より制限程度の軽い方法があるなら、それを選ばなければならない(LRAの基準(Less Restrictive Alternatives~より制限的でない他の選びうる手段))とよびます)ので、この条例の実現までにはまだ慎重な審議が必要だと思います。
私は、性犯罪などある種の犯罪はその人の持つ性癖が大きな要因を占めていると思っていますが、性癖を矯正するという意味で「その人自身を矯正する」というのなら、そっちの方が危険な方向じゃないかと思うんですが。
違いましたらすみません。
他人が矯正するんじゃなくて、その人自身がその人自身を矯正する、思いとどまるように教育していく必要があるんでしょうけど、自分の意思だけではなかなかうまくいかないもの。そこはやはり他者からの働きかけが必要なのでは。
出所後の心理的ケアはもちろん必須ですが、GPSで「監視されている」と思うことで衝動を抑えることもできるのでは、とも思います。
しかし常時「監視されている」というストレスが、逆に衝動を大きくするとも考えられるわけで。しかしまた、性犯罪被害者のメンタル面を考えると。う~ん。
まあ、県条例ではあんまり意味が無いかなぁと思いますね。
杉浦さん仰るようにGPSつけてても県外に出れば効力は無くなるし、逆に県外から入って来たら監視対象外。一県単独で強行した挙句に効果が無いとでもなれば、ひょっとして全国でやれば有効かもしれないこの方法が葬りされれる可能性もありますし。
考えをまとめていたつもりだったんですが、結局何のことやらわからない駄文になってしまいました。申し訳ない。
「常時監視」が、リアルタイムで警察が監視し、例えば被害者の自宅・勤務先に近寄るなどすれば即座に警察が動くというものなのか、それとも単に移動の記録をしておくだけで、問題が起こったときにのみ記録をチェックするというものなのか。
前者なら『憲法に違反した人権制限』かどうかは議論される必要があるでしょうが、後者なら警察が適正に運用するか否かが問題になるだけではないでしょうか。
公表した場合には住居拒否などの差別による更正の阻害や、無関係な人が犯罪者に間違われて嫌がらせを受けたり殺された事件まで報告されている。
内容をよく知らずに、こうすれば被害に合う人が減ると考えているだけの賛成者は多いように思える。が、実際は単なる事件発生から逮捕までの時間短縮にしかならない。
効果があるとすればストーカー犯罪のような特定人物への接触禁止の履行補助くらいだろう。
そもそも国に先駆けてやっていいようなことじゃない。宮城県知事は司法をどのように捉えているのだろうか。
定められた刑罰以上のことを科す権利が一地方条例にあるというなら驚きだ。