杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・イダさんの「恋空」評を読んで、新しいドラマを思いつく

2008-08-09 17:48:12 | 女性
イダさんのブログで ソウル・ヨガ(イダヒロユキ)
『恋空』はひどい恋愛イメージをばらまいている
という記事を見つけました。

たまたま、私もこの「恋空」の1回目、テレビがそのチャンネルになっていたのでを片づけをしながら、少し見ました。
その内容は、イダさんのようにエピソードまでは追っていなかったのですが
たしかにそんな流れの少女ラブストーリーでした。

イダさんの記事から(イダさんのコメントをそのままに)引用させていただきます。


見る気がなかったが、あまりにひどくて、デートDV、暴力的で、ひどいので、録画して、教材に使おうと思った。

女子高生(ミカ)の話し方や歩き方、いまどきのおどおど=かわいい系。
うぶな女子高生がヒロという男子に急に無理やりキスされる。
「もしかして、はじめてだった?」というヒロ。
ばかなホストのような口ぶり。
なのに、女子高生は、気になり始める。

だが、そのヒロには恋人がいると友達からきいて、ミカはそこでおどろき、悲しみ、「またからかわれちゃった。ファーストキスだったんだけどな」という。

無理やりキスされたこと自体を問題としていない。

ファーストキスに価値をおき、恋愛幻想で、キスされたことで恋愛感情になっていく。なんと単純な。

ヒロは、恋人でもないのに、ミカが他の男子といるところにいき、急にミカが食べていた焼きそばを叩き落し、男子を殴り、ミカの手を引っ張って連れて行く。

これだけでも犯罪的暴力なのに、従順についていくミカ。殴ったことなどを問題として、警察に突き出すべきなのに、なにもしない。

少しあとに「どうしてこんなことをするの」としかきかず、それに対し、ヒロが「そんなの、好きだからにきまってるじゃん」というとはぐらかされている。まさにダメホストの言い方、程度ではないか。


でも、すべてが悪く描かれないのだ。ミカは「恋人がいるくせに、からかわないで」というだけ。一夫一婦制にのっとっているだけで、暴力自体を問題としていない。

ケータイのストラップも、「お前との思い出だ」と言われるが、まったく一方的なもの。
でも少し笑って、これで女を落とせるというようなヒロ。

ヒロは、そこに咲いている花を差し出す。 
機嫌直せよ、と言って、彼女を抱きしめてキスしようとする。
あー、ウザ過ぎるシーンの連続。

ヒロには、全体に、どこかで習ったのだろう、女はこうすれば喜ぶという女性への蔑視がにじみ出ていて、気持ち悪い。あほな、DV男の典型のひとつだ。

だが、顔がハンサムだから、すべてOKとなっている。
もしヒロが不細工・ブオトコなら、すぐに気持ち悪がられ、ストーカー扱いされる。
でもこのものがたりではまったくそうはされない。

こんな、程度の低い「女の落とし方」のオンパレードで、実際に若い無知な女の子が恋に落ちていくという話。

これをみて、男子はこのように自分の気持ちを強引に押しつけてもいいのだと学ぶ。これはDVだと学ぶのではなく、恋愛テクニックとして、これが愛情の伝え方なのだと学ぶ。

小説として何らかの価値があるかどうかはここでは横においておいて、伝える情報という点で、ひどすぎる低い質のものだ。
でもそれがテレビで流され、多くの若者が観る。実際、こんな話が売れている。あほくさくて、こんなものをテレビでやる大人もナサケナイ。


もう少し話の続きを見ていこう。この程度のひどいこと(デートDV肯定、賛美)の連続だった。


ミカが、もっとゆっくりと気持ちが高まって恋愛になることを夢見ていたというと、ヒロは「そんなメンドクセーことしてられっかよ!」と怒ったようにバカにする。ムチャクチャである。

サイテーといわれても、「ミカ、浴衣、似合うな」という。あー、バカマニュアルの連続。だめなホスト体質をこれでもかと見せつけ続ける番組。

ミカの姉は、表面を見てヒロを悪く言うんじゃなくて、相手をよく知ったほうがいいし、好きになってくれたことには感謝すべきという。つまり、暴力した加害者を擁護して、被害者がだまされていく道筋に手を貸す。暴力自体、DV自体をまったく問題としない。


すべては「愛されるのはステキなこと」、恋愛幻想ばらまき。

ヒロは久しぶりにあったとき、拒否されているのに、なれなれしく声をかけ、急にミカの髪の毛をぐちゃぐちゃさわる。やられるがままのミカ。「挨拶ぐらいしてくれてもいいじゃん」というヒロ。

これが、大人のちゃんとした関係なら、あるいはブオトコなら叫ばれて、犯罪モノで、退学させられるような行為である。

ヒロは次に、ミカが「ヒロに恋人がいる」ということにこだわっているのだと思って、ミカの前で、自分のケータイの「彼女のアドレス」を消す動作をし、「これで信用した?」という。

この一夫一婦制=カップル単位恋愛観ずぶずぶの連続は、もう気持ちわるくてみてられない。(でも我慢して見続けた)

次に、彼女が教室で授業を受けていると、急にヒロが侵入してきて、ミカを連れ出す。先生も生徒も誰も止めない。そんなあほな。 誘拐だ。拉致だ。 

でもミカも大きな抵抗はせず、彼の言うまま自転車の後に乗っていく。「どうしていつも強引なの?」というが、素直についていく。「どこにいくの?」だって。あほか。
ムチャクチャ。

このように不良で強引で、デモそんなかっこいい男の子がステキ! って、イヤ、そりゃ、無理です。
若いということは ばかということなのか。

こんな小説や番組を、少しでもいいと思うのは、若いからしかたないとはいえない。やはり愚かだといっていくべきだとおもう。

ヒロは「最高の誕生日プレゼントをあげる」という。このように、プレゼントなどといえば、女は落ちると思うのが、ウザイ。

そしてミカが空が好きなのを知ってるから 広い河原に連れて行って、指で空を区切って見せて、プレゼントだという。くさい。もう、世界中で使いふるされたような、何のオリジナリティもなような、三流小説の連続。

なのに、それで手をつないで恋愛成立。

暴力DV男が強引にアプローチすると、女は落ちる、という話。
なさけない。

このようなケースはあるかといわれれば、あるといえる。
ただ、DV的支配だということも同時に言わねばならないが。

少女の単純な恋愛イメージをもてあそぶような、ホスト的テクニックで、恋に落ちる少女。
それを美化する番組。

本当にウザイシーンの連続です。

***** 以上、イダさんのブログからの引用でした

ちなみに、このあとにイダさんは個人の感想を書いておられますが
私は女性の立場で、特にものがよくわかっていない中学生・高校生(私たちの時代は高校生も何も知らない純粋培養種も多数いたと思います)のころに照らし見ると
こんなタイプのストーリーにあこがれる気持があることは、あることだと断言できます。

しかも、場合によっては、ドラマの主人公ほどイケメンでなくてもあり得るかも知れない。

だから、そのようなものにあこがれることに否定的ではないのですが、
ただ、これからは実感。

たわいもないつきあいごっこならいいかも知れませんが、
現実には、こんな横暴な相手とでは、自分らしい幸せな生活はできないということです。
この強引さが本気で素敵だと思って結婚して、「失敗した」という方の離婚事件は嫌というほど見ます。
なぜ、同じ間違いを多くの人(あえて人と書いていますが、多くは女性です)がおかすのか。(それも、イケメンではなくても!)

イダさんのいわれることをズバズバ言う女友達を登場させ、
平行して、このパターンで結婚したことで不幸な体験をしたヒロインの離婚相談シーンと、離婚裁判シーンまでをしっかり描いたドラマをつくったらどうでしょうか。
ねえ、イダさん。





最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
DVからの脱出のためのハウツー (杉浦ひとみ)
2008-08-12 15:58:50
ジェンダー関係のMLに、
DV的恋愛を「リアルな恋愛」とする文化が蔓延しているのではないかを心配されているご意見があり、

新しいドラマ仕立てにするなら、以下の点も追加してください、というコメントがありました。

「電話相談、シェルターへの避難、保護命令申請、引越し、生活保護申請と職探し、子どもの転校手続き、保険証の書き換え等、脱出から自立までのプロセスを追加してください。

さらに、中高生の社会科教育の一環として、電話相談以下の一連の手続きを、どこでどのようにすればいいのか、援助機関、警察、役所を実際に回り、書類も全部書いてみるという実習を組み込んで欲しいと思っています。」

本当に、大変な現実に直面するとこのような手段が必要になってきます。

その方は続けて
「地震や火事の避難訓練同様、DVの避難訓練も定期的に必要です。」

との適切なアドバイスもされていましたので、ここでご紹介します。




返信する
同感です (ともこ)
2008-09-01 20:00:08
瞳さんがおっしゃるような新しいドラマ、本当にできればいいのに。
何気なくテレビをつけていたら、ドラマ「恋空」をやっていて、思わず見入ってしまいました。授業中なのに、ヒロがいきなり他クラスの教室に入り、「ミカを借ります」と言って強引に連れ出した。どこに行くのかと思えば、ヒロの好きな河原。あんなところ、放課後に行けば済むではないか。授業中にあんな大騒ぎして連れ出す必要がどこにあるのか?ミカも、「ちょ、ちょっと…」なんて言っている場合ではない。ヒロに対して、「今は授業中だから、こんな非常識なことはやめてください」とハッキリ自分で言うべきなのに。非常識な行動で周りからミカを隔絶させて、「ミカは俺が守る」(口調がカタギじゃない)って…。あまりの内容の連続に、憤りを通り越して呆れて笑ってしまいました。
私は30代ですが、もし中学時代に「恋空」を見ていたら、「様々な障害に立ち向かう純愛」という状況設定に酔って、あのような恋愛(もどき)に憧れていたかもしれません。中高大学生には、あのドラマを解説付で、DVの教材として見てほしいくらいです。出版社やテレビ局の方々(大人)は、「恋空」を本、映画、土曜8時のテレビドラマにしてはいけなかったと思います。
返信する
あぶないですね ()
2008-09-02 00:49:39
ともこさん、こんにちは。
今回もそんなことをやっているわけですね。
(「花より男子」っていうのも、ちょっとそんなところがありますよね)
ともこさんの言われるように、年齢によっては「ステキ!」に映ってしまう危うさがありますね。
大人はそれで辛い経験をしていたりもするのだから、ちゃんと教える義務がありますよね。

外国にもこの手のドラマがあるのかしらね?
返信する
海外のドラマ (ともこ)
2008-09-04 01:02:07
こんにちは
ミカの対極にいるような性格の女性が主人公の、アメリカドラマしか観たことがなく狭いのですが…。アリー・マクビール、アグリーベティ、SATC、ティーン向けのビバリーヒルズ高校白書でさえ、「俺の女」「こっち来い!」なんて言われて喜んでいるような女性は皆無でした。あくまでも想像ですが、アメリカでは、もしヒロのような男性が登場人物にいたら、ちゃんと「DV・問題のある人物」として描くのではないでしょうか。優しく魅力的な男性、ということにはしないような気がします。
テレビで恋空を見たあと、ふと「アウトサイダー」という映画を思い出しました。ダイアン・レインやマット・ディロン、トム・クルーズが、高校生くらいの年齢で出ていました。不良という設定の人がウジャウジャ出てきて、不良少年がお嬢様女子高生と惹かれ合ったりしていました。「設定は似ていても、何か決定的に恋空と違う、何だろう」と思いました。ヒロが、好きな人の立場を思いやることよりも、自分の欲望に忠実になることのほうを優先させているところ。それと、アウトサイダーの中の不良高校生は、(良い意味で)ちゃんとコンプレックスを持っていたこと、だと感じました。
「花より男子」、ちょっとそうですよね。コメディタッチでつくしが元気だから、ちょっと判りにくいですが
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。