杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・「セカンドチャンス!」を読んだ被害者の方とお目にかかって

2011-10-11 20:43:27 | 犯罪被害者
「北海道から所要で上京してきて時間がありますのでお目にかかれますか?」
今日、事務所に急にお電話をいただいた。
セカンドチャンス!のことでお話がしたいとのこと。

お昼過ぎに事務所に来られた女性は、お嬢さんが、飲酒運転ドライバーによる交通事故で大きな障害の残る被害を受けられたとのこと。
ただ、このおかあさんの鬼のリハビリで(「鬼」とはいわれていなかったかしら?)
驚くほど回復されて、今は新しい人生を歩まれているとのこと。
はじめにここまで話されて、私もホッと心がほころんだ。

その後、加害者に対する恨みや憎しみがあるということ、
そのことは忘れようがないというお話し。
うつになり、事故現場に遭遇してPTSDになったこと
など、当然の被害者の痛みを話された。


「でもね。

被害者は被害者にしか分からない傷みがあるけど、
加害者にも痛みがある。加害者にしか分からない痛みがある。
ステレオタイプで問題はあるが、メディアも被害者には、聞く耳を持ってくれる。理解してくれるし、発言を聞いてもくれる。
でも、加害者はだれに対しても発言できず、耳を傾けられず
そして、そのことに負けて、したくなくても再犯を犯したりする。

私は、少年院に被害者の気持ちを話に行ったりしている。
私は、「君たちにこそ頑張ってもらいたい。」他の子たちが事件を犯さないように
先輩として毅然としてほしい。
それこそがカッコイイじゃない。カッコイイって語弊があるけどそう言いたい。
そうじゃなくちゃ救われない。
子どもを傷つけた上に、再犯されたらやっていられない。

私はこう考えるようになって「楽になった」
確かに、私の子は亡くなってはいないから、子どもさんを亡くされた方とは違うことはわかっているけど。
でも、そう思っている。  」


その方は、昨日手にした「セカンドチャンス!」の私の書いたところを読んで、
どうしても会いたいと思って電話を下さったということだった。
「加害者の痛み」
これを被害者がいわれたことに衝撃を受けた。

北海道で、本気でやり直したい人が働いて、00ブランドと名付けた商品を流通させたい。
そんな休耕田がいくらもある。
仕事は楽じゃないけど、そんなところで汗水して働いて、お金を得る地道な営みがしたい。

その方は、北海道の秋の青空に突き抜けるような夢を語ってくださった。
私も気っぷのいい、すがすがしさをもらった。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。