杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・共謀罪に国連特別報告者から安倍首相に権利侵害の懸念の書簡

2017-05-21 03:14:13 | 安保法制違憲訴訟
共謀罪について、国連の特別報告者から首相宛に権利侵害の恐れがあるものとの書簡が5月18日に送付されたということです。
国際的にも、問題のある法案です。

19日に混乱の中、衆議院法務委員会で可決ですから、首相はこれを無視したわけですが
世界からは日本はどのように見られているか、という視点でも考えるべきです。

以下です。(特別報告者の説明も)



2017.5.19
国連プライバシー権に関する特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシーや表現の自由を制約するおそれがあると懸念を示す書簡を安倍首相宛てに送付しました。

書簡では、
法案の「計画」や「準備行為」の文言が抽象的であり
恣意的な適用のおそれがあること、

対象となる犯罪が幅広く、
テロリズムや組織犯罪と無関係のものを含んでいることを指摘し
いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり
刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があるとしています。

さらに、プライバシーを守るための仕組みが欠けているとして、次の5つの懸念事項を挙げています。

1 創設される共謀罪を立証するためには監視を強めることが
 必要となるが、プライバシーを守るための適切な仕組みを設け
 ることは想定されていない。

2 監視活動に対する令状主義の強化も予定されていないようで
 ある。

3 ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前
 に許可するための独立した機関を設置することが想定されてい
 ない

4 法執行機関や諜報機関の活動がプライバシーを不当に制約し
 ないことの監督について懸念がある。例えば、警察がGPS捜査
 や電子機器の使用のモニタリングをするために裁判所の許可を
 求める際の司法の監督の質について懸念がある。

5 特に日本では、裁判所が令状発付請求を認める件数が圧倒
 的に多いとのことであり、新しい法案が、警察が情報収集のた
 めに令状を得る機会を広げることにより、プライバシーに与え
 る影響を懸念する。

書簡の全文はこちらからごらんいただけます。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf


*特別報告者とは、国連の人権理事会によって、特定の問題について調査し報告するために個人の資格で任命される独立の専門家です。
ジョセフ・ケナタッチ氏はIT法の専門家で、2015年7月に初めてのプライバシー権に関する特別報告者に任命されました。http://www.ohchr.org/EN/Issues/Privacy/SR/Pages/SRPrivacyIndex.aspx


*以上、自由人権協会からの情報です。
自由人権協会は、今年10月1日(日)午後に一橋講堂で開催する70周年記念シンポジウムで、
ケナタッチ氏をゲストスピーカーとして招聘します。(文責 藤本美枝)

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