
穂積さんと云いますと、実の娘さんとの葛藤を描きドラマ化もされた著書、『積木くずし』が有名ですが、私はその『積木くずし』にはまったく興味はなかった。
私は役者さんとしての穂積さん、特に悪役としての穂積さんが好きでした。
現代劇、時代劇を問わず、メチャメチャ厭味ったらしい、本当に嫌なやつをやらせたら、これほど上手い人はいなかった。
だから、ドラマのラストで悪事が暴かれたときの爽快感ったら、それはそれは凄いもんでしたね(笑)
私がこの方を最初に認識したのは、村野武範主演の青春ドラマ『飛び出せ!青春』でした。穂積さんはちょっと嫌味でコミカルな教頭先生役で出演しており、柳生博さんが腰巾着のようにその教頭にくっついている。このコンビが大変面白くてね。後年、悪役の穂積さんを見た時には、あの教頭先生との役柄のギャップに驚かされたものです。
声優としてもご活躍されていた方で、特に洋画や海外ドラマの吹き替えでよく出演されていました。イーライ・ウォラックやクリストファー・ロイド、ピーター・フォークなどの吹き替えが特に多かったようです。
分かりやすいところで云えば、映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』でクリストファー・ロイドが演じていた「ドク」の吹き替えは、3作とも穂積さんでした。
私生活においては、家族関係で大変なご苦労をされたようですが、私はそれについて言及する言葉を持ちません。ただただ
ただただ、ご苦労様でした、とだけ申し上げたい。
私にとって穂積さんは、「素晴らしき悪役俳優」でした。
楽しい思い出をありがとう。忘れません。
87年、その波乱の生涯に敬意を表し
合掌。
穂積隆信さんのご冥福をお祈り致します。
こういうシンクロニシティって、あるんですよね。面白いです。