「古史古伝」というのをご存知でしょうか?記紀や六国史など、中央の歴史書には載っていない、別角度から見た日本の歴史が記載された書物のことをいいます。
「竹内文献」、「富士文書」、「九鬼(くかみ)文書」、「真秀伝(ほつまつたえ)」、「カタカムナ文献」等々、中央から抹消された「真」の日本歴史を記述した文献だとして、トンデモ歴史好きの好事家や左翼系歴史家などに重宝がられた。
その古史古伝の一つ、「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」には、古代東北の知られざる歴史が記述されているとして、一時期ベスト・セラーにもなったほどの人気文献でした。
しかしこの「東日流外三郡誌」が、実は戦後になってから捏造された「偽書」だったということは、以前等ブログで紹介させていただきました。詳しくはそちらを。
大和朝廷に迫害されたアラハバキ族による、中央とは違った文明圏が古代津軽地方に存在し、彼らアラハバキ族が奉ずる神がアラハバキ神である。そしてその神は、遮光器土偶の姿で表される。まあ、大体そんなようなことが書かれていたかと思います。
遮光器土偶なんていかにも眉唾モノですが、コンプレックスを持った東北の中途半端なインテリ層やトンデモ歴史好きな人々、あるいは反皇国史観の左翼系歴史家などにとっては実に魅力的な代物だったのでしょうね。
このヴィジュアル・イメージはあちこちに転用され、アラハバキ神といえばいまだに遮光器土偶を思い浮かべる方もおられるのではないでしょうか。
断言します。アラハバキ神と遮光器土偶とは、なんの関係もありません。
「東日流外三郡誌」は120%「偽書」です。まったくの捏造書です。どうか信じませんように。
アラハバキ神の正体については諸説ありますが、私はやはり、元々の土地の神に、地元のために戦って命を散らした英雄たちの霊、「英霊」を合祀し、密かに顕彰し祀ったものであろうと思いたい。それは怨みを忘れないということよりも、霊を弔い感謝するという意味あいの方が大きかったように思う。
これを、中央との対立の象徴として、ある種「好戦的」に捉える方々もおられるようです。私に言わせればそれは、東北人特有のコンプレックスの裏返しに他ならなず、もっとご自身の心の内を見つめた方がよろしいかと思いますが、
まっ、人それぞれです。
アラハバキ神を祀った祠を見かけましたなら、どうかそっと手を合わせていただけると
ありがたい。